友野雅志の『Tomo俳句』 -37ページ目
鳥の影ゆらゆらこぼる木下闇
炎帝に鳥かくれたる都かな
夕立や影をぬらせり鳥のむれ
さらさらと鳴らして鳥の夏野かな
隣にて鳥のど鳴らす青清水
蝶ひらり裾ゆらしたる紺絣
サンドウィッチトマトにゆらり蝶の青
綿の花夢で蝶のむれ眠りおり
滝壺や銀の蝶ののぼりゆく
蝶ひらり梯梧はなびら茜なり
ダリア抱く耳に花弁のかたさかな
夕立やピアスの耳の青うすし
屍の音耳から耳へと夏の雨
雹はじけ割れたり耳朶優し
瓜叩く耳に澄みたり銀河かな
ラムネ泡濡れた眼を見つめる眼あり
日焼けの眼太平洋がゆれており
雷が眼見ひらきかなしさ語りたり
かなたより泉湧く眼の闇の奥
夕凪に眼閉ずべにいろの花弁かな
陽海に落つゼリーガラスの冷たさよ
日傘飛ぶガラスの大地に罅はいる
ガラスのからだきみの香水通りすぐ
草笛をガラスの森で聞きし夜
水中花残せしガラスに水は無し
ベルト断ち野にあゆみだす半ズボン
跣あゆむ荊棘は黄色赤に青
星の端まであゆめば虹立つところ
炎昼をあゆむ膝まで水は銀
あゆみ終えはだかで帰る地の埃
生き生きる赤子泣く日の積乱雲
闇生きる鮎はひかりて身を返す
炎ゆ昼に胸とおりたり生きる音
燃え生きる向日葵のかなた潮白し
夏煙天のぼる一年生きてみん
夏の陽に透けて宙の芯に立つ
過去未来万華鏡夏が透けている
初蝉や数世紀透けて死が見える夏
額傷夏透けて天の刃立つ
さようなら文のむこうに夏透ける
スカートシャツをくぐる雲夏の風
夏の風ソーダグリーンキス香る
夏の風青ガラスの綾に星を染む
緑葉と記憶をゆらす夏の風
夏の風珊瑚のささやき銀座いく
蝿飛ぶ路地はまっすぐ名をもたぬ闇
黙すかな手する托鉢蝿渋谷
蝿落ちるいのちの終わりプリン匙
蝿に空見えず都はなお見えず
西瓜捨つ蝿が飛び交い日がかわる

