友野雅志の『Tomo俳句』 -38ページ目
蟾蜍黙る焚き火の炎かな
窓のそと雨打ちつづく蟾蜍
蟾蜍眠りを流れる雨は銀
蟾蜍靴音合わせ泣いている
眼心臓つま先へ落ちる夏の川
夏の川青閉じこめり影は黒
夏の川呑めるひとりと空すべて
地いのち海に運べり夏の川
夏の川向こうの岸の青明かし
地に立てる身のなお立てり冷酒かな
冷酒飲む黒き思いの色ぬけり
冷酒ながるる夜を過ぎ身を洗う
青冷酒咽喉ながる星屑かけら
冷酒飲む陽が溶け底にのこりおり
蝶ひらり地下鉄の汗香りたり
暑き朝汗をあじわい生きるかな
見えぬこころ汗が描きし背のかたち
ひとり鍋身を煮る汗や万太郎
紫陽花のそれぞれ夜の化粧かな
朝の雨紫陽花に夜の記憶あり
紫陽花に娘の夢のいろいろや
紫陽花に空くだけたり白と青
皺ばむ手伸ばせば紫陽花首落とす
黒き肌白き玉となる夏の水
夏の水花弁開きて運びゆく
峰青しあふるる夏の水みどり
夏の水墓冷やし夜を湿らせる
夏の水帰らずかなたにひかりたり
投票お願いいたします声過ぎて
ポスターに鳥とまり去れり投票場
夜またいつもの夜投票過ぎて
投票す雄蕊まっすぐ帰り道
投票し鰯に生姜空深し
半夏生生まれしままの苗柔し
半夏生うどんにこしあり風湿る
壊れたる畔に鴉群れ半夏生
襖ごしまだどすえ暑い半夏生
半夏生蛸は脚開き売られたり
暑き日にまるき顎あり傘の陰
枕汗なめくじ動かぬ暑き日や
暑き日やマングローブ見ゆ海かなた
暑き日の夢は桃源郷猫木陰
暑き日や昼寝の青蚊揺らしけり
種飛ばすオリーブの花知らぬ紅
オリーブの花もとめ鳩まよう青
オリーブの花陰に女神の脚があり
枝折れりオリーブの花落ちる白
オリーブの花かなたにて冠か

