友野雅志の『Tomo俳句』 -36ページ目
立ちながらなきがらとなり夏の雲
なきがらの群れ歩みくる夏の波
なきがらの好む甘酒雨の夜
瓜漬をなきがらかりり噛んでいる
薫衣香にふりかえるなきがら青し
隅田川都のそこの涼しさや
潮の香集め隅田川風薫る
夏の雨テント叩けり隅田川
隅田川はぐれたる鴨にやさしけり
向日葵の見上げるしたに隅田川
待ちわびし初蝉の声頰ゆるむ
とつぜんに空震えたる蝉時雨
朝蝉のアスファルト這う静けさや
身を捨てて蝉生まれる日のあつさかな
首伸ばすすでに煙の花火なり
隅田川傘のいろいろ花火かな
隅田川花火のしたの雨黒し
花火鳴る鯉のお尻ではねにけり
花火終ゆ身体に残りし花濡れて
泥鰌二匹川にきえたり花火あと
カレーの香額の髪の汗拭う
雷や雨音ひびき髪おおいたり
夕立や巻髪に煙草とどまりて
虹のした髪を梳かせば濡れヒール
夏の川夕べくるまで髪乾くまで
胸ひらきキスしすいこむ夏の空
アイスティー胸を透かしてまだらなり
烏賊釣りや胸はしりいくひかりかな
胸むこう西茜みゆ更紗ゆれ
焼酎のおちゆく胸もゆれており
きみいけり涙無く透きて夏の星
夏涙天地を刻みながれたり
氷河のひょうひょう削る涙かな
生節や涙しめらし膳を食う
鶏飯の涙の味する昼餉かな
河童忌の暑さかわらぬこの世かな
待ちていて蛍ひとつの河童忌や
河童忌やのせるものなし車行く
河童忌や窓より煙草匂いたり
狂いし血どこまで流る河童忌や
みどり吹くみどりの氷紅の口
口赤しアロハシャツの波に乗り
打水す子らの口がとおりけり
冷素麺ルイヴュトンの口するすると
口に泡ナイタービールとホームラン
夏帽子目しずか青い果実なり
梅干やご飯の山に目もきえて
伽羅蕗や水のみどりは目を染めり
葛餅を頰にはこびて目はとじて
裸芸扇子の隙に目まんまると

