友野雅志の『Tomo俳句』 -34ページ目
夜花ゆれて星見上げたるオクラかな
夜風ふくオクラ二本はまな板に
オクラ切る銀河ながれる花の列
薄く白くオクラこぼれるひとりかな
オクラ吸う真紅の口に花弁あり
赤カンナはなやかな名のなが命日
カンナ雄蕊折りゆく赤ワンピース
渋谷裏カンナかなしや紅カンナ
空を刺す真紅のカンナ揺れており
カンナ十三直角曲がる朝と夜
秋の空俎板の鰯アンドロメダ
鰯秋刀魚尾の跡残す秋の空
生と死の綾秋の天に海の波
空鰯うめつくすさみし秋風
秋の空魂と魚とフワフワフワ
葡萄水の星粒ごとのかなしみや
記憶青葡萄青のままもがれたり
生きよとて葡萄の希望のまくらもと
葡萄噛む一粒一日いのちかな
葡萄剥く夜空ながるる星数え
田荒れて蝉を埋めつつ畔たたく
深夜なく蝉を聞きたり雨過ぎぬ
語りても語りてもかなし蝉の声
枕にて蝉の声聞くかなしさや
終わりかな蝉がなきやむ粥の味
きみあいす確かにあいす最後の日
さらさらときみ銀とふる最後の日
掬いし煤を風ふきあげよ最後の日
ああきみの最後の日に酒鰹
最後の日死にし父母食う煮付けかな
月染まるどこのかなしみ赤深し
見る月のむこうの果てに立てるひと
さようなら口噛み涙目月赤し
今日の月最後もよかれ月なれば
月見つつ一夜聞きたり時の音
西茜秋さやかなり死を待てり
眠るかな蝉、恋、生に、秋の雨
羊羹に蛍のあきのかなしさや
ことばなく指さすさきはあきあきあき
立つもよし立たぬもよしあきの盃
きみの身をながれる忌日の爽やかさ
風よぎる死がおおう朝爽やかに
きみ生きん鳶ちぎる青爽やかに
爽やかに道落つ鳥のあと追いし
いくえにも重ねし時の爽やかに
そ
敗戦日タバコと米と、遠き菊
粥に骨のにおえる飯なり敗戦日
忘れたり死にし笑顔の敗戦日
敗戦日腹裂く背の暑さかな
敗戦日両手でたりぬ位牌なり

