友野雅志の『Tomo俳句』 -28ページ目
新たなる年の青星をめぐりたり
新年の天で切りたり薔薇の爪
新年へながれ去るもの追い生きて
新年に枯れた身の鳴り続けたり
新年や氷りたる芯に赤のあり
袖ゆれて香るしずけさ双六や
双六や来し方へ夢は迷いけり
双六や無き膝どの空歩むやら
双六や賽の音にかたい膝を撫で
卓に青のあふれ寄せたる田作りや
田作りの口閉じているしずけさや
田作りやかりっと地軸の折れるごと
夜しずか田作りの記憶噛みくだく
田作りの終わりの形で歩み初む
あたたかさいつの腕のした初夢や
抱きしめる初夢にきみは溶けた青
初夢や覚めても音のつづきたり
初夢ですれちがうきみの胸の青物干しで香りに元日感じたり
元日や昨日のままに門湿る
元日や地図展げれど紙魚ばかり
元日やなにも残らぬ先の道
青のかなしみ去年のまま元日や
大年や過ぎしは飛びて鳥となり
大年のキス林檎の甘さかな
大年や濡れている眼に水の星
鳥と罪空わたりゆく大年や
大年や貧しき道を思うまま
葱二本懐かし風のついてくる
葱二本帰り道にふる金あかり
空は藍葱が揺れれば銀が降る
葱二本鍋に浮くとき鳥発てり
葱を噛む過ぎし苦みのしみわたり
枯葉かささ時はワルツで歩みさり
青銀河枯葉まいあげ走りけり
アダージョそして乱れ落つ枯葉かな
生きめやも枯葉に吹かれて歩みけり
ひととせの彩りかさねて枯葉かな
天狼の青き劔にて天止まる
天狼は氷を裂きて国砕く
河崩れ荒れし地の上天狼あり
天狼へ歩みのぼるごと嫗生く
青きもの駈けぬける夢や天狼
冬休み並木吹けぬく子らの脚
スーツケース笑い転がり冬休み
影の色かわりて帰る冬休み
冬休み藍に終りたる一日かな
子らの声天降らすかな冬休み

