友野雅志の『Tomo俳句』 -24ページ目
雛祭り綾なす願いの流れけり
雛祭り幼女の声まで赤くなり
雛ひとり静かに眠る祭りの夜
足音にふりかえれば雛の香や
雛の鼻のこりし紅に触れずおき
※旧の暦ではまだですが、新しい暦では今日です。


団子ニ個白湯にしずまる小正月
小正月背にうずまりて春を吸う
小正月見ぬ子のために団子食う
襟ゆらす風変わりたり小正月
静かな漢の弦ひびく元宵節


紅梅をくぐり記憶に口濡れて
紅梅や鳥二羽目閉じ影長し
紅梅や藍の夢までてんてんと
紅梅を食べたいという声澄みて
紅梅の残らざる香やたなごころ


鶯餅きみが語りし言おぼろ
鶯餅ひとりで店を過ぎにけり
鶯餅指も茜に染まりたり
鶯餅過ぎたる甘き時の味
鶯餅顔口まるし緑なり


あんこう下がる安吾忌の幻や
安吾忌の新潟白に迷いけり
安吾忌はダールカレーとナンひとつ
あてなく深き歩みゆく安吾忌夜
安吾忌や髪からむ身体乾けり


花火はしり春節の紅頰にあり
春節や星きみもピンクなるかな
ひとり見る春節の花はじけたり
ふりかえる闇アンドロメダ旧正月
きみ来たる遥か遠くの旧正月


蕎麦山葵夜まで口にバレンタインの日
バレンタイン気づかぬ白髪ふたりかな
もち帰り花乾きたるバレンタイン
バレンタインアラビアータの赤辛し


春聯のかすかな風の郷の香や
鬼よ来よ女ひとりの春聯や
韮におう春聯くぐるひとはなし
春聯や去年の赤の褪せにけり
春聯や子笑顔はじける花火ごと

寒明けの夜熱帯魚のゆらゆらと
猫ひとり寒明けの門くぐりけり
寒明けや雀二羽赤い球になり
ミニスカート列から脚出る寒明けや
褪せた写真のならびたる寒明けや


余寒の夜罅はしりゆく都かな
天透けて余寒の鳥のとまどえり
余寒朝声まで赤き鴉かな
陽の矩形余寒の独居の裏口に
余寒には雀とならび丸くなり


