友野雅志の『Tomo俳句』 -22ページ目
陽だまりを時ゆるやかにさくらもち
さくらもち記憶あたたか遠くなり
眠りより覚め甘さありさくらもち
さくらもち風色かえて音かえて
さくらもちひとくちのみや昼ながし


いくつもの生死ならびて躑躅かな
水底に躑躅ひそかに残りたり
万華鏡躑躅くぐりて道つづき
老いの眠りを赤に染む躑躅かな
躑躅に髪からめながら林檎飴


手で受けるもの光のみ放哉忌
放哉忌柱にもたれ柱なる
赤二葉頁でくだける放哉忌
天の青骨を染めたり放哉忌
放哉忌黙したままで闇になり


花時のかなしき色の眼のきみと
花時はピンクなるかな流れすぎ
花時は歩みに吹けりあたたかく
一夜にて花時の眼にみどり満つ
花時過ぎにけり朝の雨と鳥


豚と過去陽にひかりたる清明や
老いて声深きより聞く清明や
清明に海聞こえたり丸の内
清明におじいちゃん何処とちいさな目
清明のいなり二個食べ新橋へ


花いろの川面を砕く銃の音
銃声や水すずしく血とかしたり
紅の葉の流れとなりたし銃の音
銃赤く極点で天ふるわせる
春夏秋冬凍土は名を求めず


空と地は白蕾ピンクのイースター
イースター汚れた靴であるくみち
泣き声に知るいのちかイースター
イースターやわらかき風に手をにぎる
また生きんかな卵割りイースター


生き死にも万愚節のわらいひびかせや
万愚節きみにキスして死にたいや
笑い泣いてめくる一世紀万愚節
万愚節腕の痛さかんず世なりや
きみとわれ死して会わんと万愚節
やよい色通勤電車に香りけり
やよいめくれば素足のきみ音もなし
よろこびとなみだ伴なるやよいかな
地をおおうやよい優しさ裂ける空
やよいだって幼女はしろい耳をあて


いのち吸い桜の天に透けてあり
青くなり桜のごとくきみ立てり
ひとの波桜とともにゆれており
口に触れ浅漬けかおる桜かな
桜くぐるコートをとりて時を知る



