友野雅志の『Tomo俳句』 -20ページ目
きみ枯れてモノクロなれど福寿草
福寿草求め夜泣きの骸かな
福寿草食べるほどまで闇を生く
福寿草夜叉触れたる甘さかな
福寿草指でなぞりてきみのなか
義仲忌声の天へと透きとおり
玻璃踏みて先行くきみの義仲忌
義仲忌こごえるきみの過ぎし夜や
雲となり思うまま流る義仲忌
いつまでもつよく抱いてと義仲忌
七草や天あらたなりまだ生きん
七草や生きる思いのおおいたり
七草や幾年かわらず食べにけり
七草をきみ食べたるかまだ生きよ
ひとくちの七草に野のあふれたり
初東風に襟をひらいて見上げたり
初東風やおおぞら一面飛ばしけり
初東風や海洋かおる髪の波
初東風に身のゆるみたる一夜かな
夢に初東風指の跡残したり
元旦の朝に鋭き赤い芽や
元旦や昨日の闇を隠しおり
街角に声いろいろの元旦や
元旦は空を見あげて陽の中に
正月に過去を捨てたる部屋明かし
大晦日青き天より声澄みて
ふりむけば高き風の音大晦日
道はしる大つごもりの光かな
大晦日嫗の眼写す時代かな
大晦日かすかに声の届きたり
宙にきみ消えゆけり師走の夜
前向きて黄色の道の師走生く
師走の青に銀撒ける手の平や
子の声の師走の道をきらきらと
青に銀羽からこぼれる師走かな
息耐えて良し 雲のすじ落し水
足冷える思うこと多し落し水
落し水 これで生きるをすぎにけり
落し水 あしあとのこるゴムシューズ
一年をいっきに見たる落し水
秋 窓よりはいり銀降るひびき
足裏のすなのながれる秋の泡
おはようと秋ひろがれるレースかな
雨は藍 地にひろがる秋の音
秋 罪叩きたる雨の音のみ

