友野雅志の『Tomo俳句』 -16ページ目

友野雅志の『Tomo俳句』

日頃書きのこしている俳句をのせます。好きなところだけお読みください。俳句の他、読書、ギター、詩、料理、絵、写真が趣味です。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono



春の闇迷いたどるは闇の香か


春闇や行き先なしの旅出する


枕なかかおる春闇これで良し


春闇に転げおちゆく深いキス


春闇にわが闇とけてひとつなり




指おけば新芽やわらか乳かおり

みどりごのごと夜明けて新芽伸び

新芽の根もとに残るまま蝉骸

新芽に露ひとつひとつが陽となりて


顔埋める頰と袖新芽の色になり


さきからは風のまま生く春埃

春塵笑顔おおって消えにけり

足吹きさらう千年の春埃

手の隙に春塵天竺の香のほのか

浄土春塵の三越のその先に


花冷えを抱いて寝るゴッホの藍の夜

花冷えや金散る波に流れおる

花冷えの都の塔は銀になり

花冷えや月の白さの地球浮く

花冷えにバイクムラサキの熱跨ぐ

昼の鳥二本そのまま春の雷

銀写真の顔になり春の雷

ひらより薬いっきに落ちる春の雷

春の雷水晶の天に目をふさぎ

春の雷花すべて負いてまっすぐに



戦あり天染めつづく春雨は

天と地とひとつに濡らし春の雨

春雨の傘には春の模様あり

きみの名で鳴る春雨は夜に鳴る

春雨の赤い斑紋鯉くぐる



星桜西行僧衣に陽斑ら

病みたれば花満開の夢のなか

春の夢枕の花に顔うずめ

残酷な四月花と死ともに降る

また一度さめても花を夢にみて



ももいろのオールの先から罅はしる

音ひとつ地が割れて水あおきまま

天落ちて水まえの色今の色

ひとの影消えそのままの天地あり

春夏秋冬地はうけいれる名は訊かず



島唄や清明の空にファルセット

清明の陽へ昇りゆく虫の群れ

清明や誰とも会わぬ丘の道

清明に枕もと来よ赤い花

背あかるし清明くぐる陰の色


木蓮ののぼりゆくさき天頂に

紫を脱ぎて木蓮透きとおり

蝶がとぶ木蓮の耳のいろどり

白鳥の天のぼるごと木蓮は

木蓮の天とブラウスに神聖文字