友野雅志の『Tomo俳句』 -13ページ目
梅雨入りや地すべてを受けただ待てり
鳥と夢濡れ渡りたり梅雨の入り
梅雨の入りアダム聞く声我も聞く
梅雨入りの水の星樹々波となり
梅雨入りや傘先で地を占いて
南風おおぞら洗い星の波
銀の紙ふぶくむこうを南風すぎる
南風に乗りパイセス深夜跳ねにけり
鳳凰木と南風の香の朝淡し
南風響く夢の底バス待つ我に
死にし母死の床の父南風の声

生きんとちまき剥く過去の銀と赤
ちまき噛む屈原もだれもいない時
子よ食べたかちまき杏子吞みこめり
ちまき食うかなしみに空は染まれよ
地荒れる日ちまき口満たす目はあふれ
罪なきががんぼを潰す硝子の手
ががんぼの思い語る眼あおあおと
ががんぼと眠る明けることなき夜を
目つむるががんぼ紫の空を飛ぶ
ががんぼの雲にまぎれて河渡る
あやめ嫗の過ぎゆきし夕の風
あやめ揺れ群れなす鳥の雲の色
おくる静かな雨あやめに沁みたり
夜空降りたりあやめ朝藍になり
あやめが乱す夢シャボン玉満ちて
暑き日を今年もめぐる水の星
暑き日のアイスと傘のあざやかさ
暑き日天の怒り背にはりついて
暑き日とともにため息部屋入る
暑き日や神忘れよとうつむけり
神通るごと風過ぎる夏の朝
夏の朝地に沁む水の音かすか
ユーラシアの囁き聞ゆ夏の朝
天と地緑でつながる夏の朝
真っ直ぐな樹となるも良し夏の朝
夏浅しくるくる赤い傘が来る
スカイブルー地球包みたり夏浅し
揺れる影踏みつつ歩む夏浅し
夏浅し鳥のかたちの空を背に
夏浅し時がころころ聞こえたり
夏始め朧詰め込む引き出しに
植栽や音は痛みなり夏始め
鳩眠る半日すぎる夏始め
夏始め鳥ファルセットで渡りけり
陽のした日傘明かさかな夏始め
夜の底青葉潮聞き目覚めたり
青葉潮母のごとくに星洗う
青葉潮鳳凰の羽根風に揺れ
青葉潮ハープのごとく響く夜
南には水の国あり青葉潮

