友野雅志の『Tomo俳句』 -11ページ目

友野雅志の『Tomo俳句』

日頃書きのこしている俳句をのせます。好きなところだけお読みください。俳句の他、読書、ギター、詩、料理、絵、写真が趣味です。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono



梅雨の浅草で一粒を受ける

梅雨と梅雨合間をぬって逢引す

蛇乱れ道滑りつつ梅雨を来る

天溢れ地で波打てり梅雨の水

暴れる梅雨山肌で捩れる蛇



都の底をサングラスでかけぬける

きみの隙間の炎見ゆサングラス

サングラス天の劔で割れにけり

光の国サングラスで行けるかな

過去も未来も見えないサングラス



数千年の陽杏子に詰まっている

瓶のなか杏子夜中に泳ぎだす

杏子金の卵を皮ままかじる

ポケットであたためても杏子は杏子

杏子キスの香のただよう首まわり


死んだきみは好きだろか伽羅蕗を

ぬるぬると記憶から出る伽羅蕗や

駅みっつもどる伽羅蕗に母隠れ

伽羅蕗の音たて折れる祖先かな

伽羅蕗をつめたい青に染める水


麻婆豆腐四川から夏の風

夕焼けとひとつ色麻婆豆腐

麻婆豆腐キスの辛さも溶けている

紫陽花を煮詰めたり麻婆豆腐

麻婆豆腐昨日明日見分けれず


枇杷と月天にひとつと手にひとつ

火のごとき枇杷腕伸ばし届きたり

水風船枇杷ポケットに握りつつ

枇杷地球の秘密木からぶらさげり

父のごと枇杷は金色川向かい

梅雨晴や空銀粉に砕け降る

梅雨晴が乱反射するきみの眼に

梅雨晴やヨブの背のごと樹を撫でる

ソーダ水の梅雨晴を鳩わたり行く

青ガラスの馬梅雨晴を駈けぬける

牛蛙わたしを待つか傘もなく

牛蛙わたしを見つつ蝿を飲む

雨に洗われ三日目まだ牛蛙

雨と現れ雨と消え牛蛙

牛蛙モウと啼けよと幼女のモウ


魂揺れるごと梯梧揺れ慰霊の日

慰霊の日鳥海より生まれおおう

慰霊の日神の風地にそよかなり

網に添い影立ちてあり慰霊の日

三線と梯梧谺す慰霊の日


桑の芽をドレスで染める夜の霊

冠の桑の芽濡らし木霊立つ


一夜のキスのごと朝桑の芽落ち

桑の芽を咥えし鳩は海向かう

桑の芽を切り落とす陽の刃かな