友野雅志の『Tomo俳句』 -10ページ目

友野雅志の『Tomo俳句』

日頃書きのこしている俳句をのせます。好きなところだけお読みください。俳句の他、読書、ギター、詩、料理、絵、写真が趣味です。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono



冷夏のなかを走る子の足しずか

冷夏の底くねって鰭で叩きたり

レモン歯にしむ冷夏の太平洋

西瓜割る地もまた白い冷夏かな

サザン鳴るとなりでキスを冷夏にも

帰る床なければ蝶と軒のした

蝶の青南からまっすぐ線を引く

蝶の右ひだり上下と時を待つ

夜の灯のそのうえまでも蝶のぼる

蝶ひらりほそい足首は見えもせず


抱く耳のかたい世界を噛んで寝る

ピアスの耳のはるかまで藍ふかし

屍の足耳の奥へはしり去り

青はずかしげ地に落ちる耳透けて

夏を聞く耳にひろがる南北線

蟾蜍黙る煙草に火がついて

家流されて蟾蜍遠く鳴く

雨打ちつづけ悟りしか蟾蜍

蟾蜍銀に濡れつつ月をこゆ

蟾蜍仇待ちつつ石になり






浴衣中鬼灯と我軽く揺れ

鬼灯口に赤赤とした月空に

鬼灯と一緒に帰りしもの明かし

透かし見る鬼灯怒る顔ならぶ

星取ったよ幼女鬼灯握りしめ


地と血に冷酒の透けたブルー沁み

冷酒ひとより黒きもの追いたくて

冷酒ながるる夜氷河身削りゆき

青い冷酒星屑踏みつつ帰る

冷酒底にのこる滴身を燒けり



潮しぶきポセイドン落つ七夕や

七夕に星を踏む音さらさらと

七夕やベッドに寄せくる砂湿る

七夕に夏濡れたまま摺り足で

七夕や此岸を浸す水の星

白夜の旅人をひかり迷わして

獣が純白失う白夜の日

千年の青流れ落つ白夜かな

春白夜をあたたかさが駆けてくる

白夜の銀の高きまで声とどきたり


梅雨寒や鬼が列島をはしりぬけ

待ち人の白い顔出す梅雨寒や

梅雨寒や国凍え鳥戻り来ず

眠りでは梅雨寒の海渡りたり

梅雨寒箒は記憶を掃き集め

半夏生削ればのこる生きる意味

生けずり湯に入れる朝半夏生

道なかば既に濡れている半夏生

半夏生きみのファルセット夜をみたす

観るのみ残した半夏生かなしき