ホーム住まいの母を
補聴器のメンテナンスに連れて行ったある日
いつもは買い物で終わってしまうけれど
久しぶりにお茶をすることにしました
普段は飲めないロイヤルミルクティーを
ロイヤルコペンハーゲンのカップで頂く時間
母は陶器が好きだったので
マイセンやウェッジウッドのカップで
よく紅茶を淹れて飲んでいました
そんな懐かしいひと時に
ふと、母が手のことを話し始めました
「私、手が大きいの」と母が差し出した手
もともと指が細くて長いのは知っていましたが
手のひらも私の手と比べて、ひとまわり大きい
あまりに大きくて驚いた私に、母は
「小さい手ね」と、私の手を見て笑いました
そう言えば、私には母と手を繋いだという
鮮明な記憶がありません
4人きょうだい、しかも、私は双子
父や母の手は、なかなか私に回ってこなかったのか?
7人家族
一緒に買い物に行っても
母と私の手はいつも荷物でいっぱいで
手を繋ぐ余裕なんてなかったから?
お互いに、お互いの手を見て笑ったその日
帰り際、母と二人並んで歩いていると
「可愛い手」と言って
母が手を繋いできたのです
一瞬、戸惑う私…
でも、しっかり握り返して
車へ向かうほんの少しの間
手を繋いで歩きました
母と手を繋いだ、という鮮明な記憶が
アラカンになって出来ました![]()