桐朋学園演劇科回想録 山崎さん 西川さん 児玉さん vol,10-3 | 桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻         同窓会

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 ■「桐朋演劇科を築いた人達。第10弾!
    事務職 山崎 武信さん 西川 萬亀子(旧・丸山)さん 児玉 ミヨコ(旧・大森)さん」



山) 狂言のお家元でお亡くなりになった、大蔵彌右衛門(当時・彌太郎)先生もやはりその世界のきっちりした、格式、品格を身に付けていらしたから、存在そのものが凄く感じられましたね。

福) 歩いていらっしゃる後ろ姿でも、何か美そのものの様な。

山) そうそう、武士道じゃないけど、いつも隙のない姿というかね。

西) そこいくと花柳先生は少し違うのよね。いつも袂に手を入れて、ヒョコヒョコおどけて見せたりしてね。

山) そう、一見遊び人風よね。でも、華はあったね。

福) 色んな話が出ましたが、昔と今の違いを何でも結構ですから、思いつくままお話し頂けますか。当然時代とともに移り変わってきているものですが。

児) 昔は変な話、授業料の未納は日常茶飯事というか、沢山いたけど今は全くいない。これはどうなんだろう、昔は夢だけ大きく持って入学して来たから、金は二の次だったのか・・・、今はそれぞれの家庭が裕福になってきているのか・・・。時代が違うといえばそれまでなんだけど。昔は学食でご飯だけ買って、塩かけて食べてたり、パンのミミを貰って食べてたりしてたけど、今は殆ど皆ちゃんと食べてるみたい。中には苦学生みたいな生徒も居るけど、昔は皆苦学生というか、貧乏学生が殆どだったですね。

福) 西川さんはどうですか。

西) 私も児玉さんと同じ様な意見だけど、今の学生は、何か「ガッツ」みたいなものが感じられないね。昔の学生達は、ここに演劇をしにきてるって感じが、ひしひしと私達にも伝わってきたけど、今は少し物足りないところがあるね。「これで将来食べて行けなくてもいいや」みたいな、いわゆる執着心みたいなものが感じられない・・・寂しいね・・・。

福) 同窓会にというか、卒業生に何かメッセージはありますか。

西) 演劇を志して桐朋に入って、又それぞれの道へ出て行った訳だけど、桐朋の演劇科を卒業したということは、私にすれば凄いことだと思うのね、色んな意味で。だからいつまでも誇りを持っていて欲しいのと、演劇科に対しても何等かのバックアップを出来ればして欲しいなって思います。

福) 山崎さんはどうですか。

山) 「学生時代にもっと勉強しとけば良かったな」なんてことをよく卒業生に会うを聞かされるんだけど・・・。現役生に関していえば、卒業生の実感を肝に銘じて、一生懸命演劇を学び、それなりに後悔を残さず卒業していって欲しいな。又、卒業生には、さっき西川さんも言ったけど、人間としての情操教育の最高峰ともいえる演劇を桐朋で学んだという、大きな誇りをいつまでも忘れずに持ち続けて欲しいなって思います。だって、歌や踊り、芝居、日本の古典芸能に一般教養と、俳優にとっての教養を身に付ける為に勉強しているんだもの・・・。こんな凄い学生は他にいないよ。

西) 私の人生の中で桐朋に関わったことで、素敵な先生、個性的で素晴らしい学生達にめぐり合えた・・・。これは一つの私の財産だし、とても楽しかった。貴重な人生体験をさせて頂いたと感謝してます。学生達には随分いじめられたけどね・・・(笑)

福) 児玉さんは如何ですか。

児) 母親の一人として言わせて頂くと、今の子は「表現力」が無いと思うんですね。下手というか。でも演劇を勉強することで、人間的にも幅ができるし、又自分を表現するのも上手くなれると思うんですね。それほど演劇ってオールマイティーで凄いものだと思うんです。だから大きくいえば日本中の学校教育にもどんどん演劇が取り込まれれば良いと思います。

西) 最後に一ついいですか。以前短大の研修会で神戸に行った時、色んな話が出たんだけど、その中で興味深かったのは、卒業生と現役生が交流できるような、そんな授業を取り入れて実際に短大に生かしている学校があったんだけど、素晴らしいな、羨ましいなって思いました。これからは演劇科も卒業生と現役生が交流出来る様な、縦の関係で何かが出来る様な、そんな学校になっていって欲しいなって思います。だって桐朋を卒業して各界にちらばったOBが沢山いるんだもの。交流を持てる場が出来れば現役生にもプラスになるし、卒業生にも刺激になると思うんだけどね・・・。夢かな・・・。

福) なかなか簡単な様で難しい問題を投げかけてくださったところで、残念ながら時間が来てしまいました。同窓会としても現役生との交流に関しては考えてきたんですが・・・。縦の繋がりが出来るというのは望ましくそうなっていってくれれば、本当に素晴らしいことだと思います。卒業生と現役生の芝居でのコラボレイトも近い将来実現できるといいですね。本日は貴重なお時間を割いて頂き、本当にありがとうございました。

<編集後記>
先生方とは別の目線、違う視点で私達や学校を見続けてこられた事務職員の方々・・・。ただ単に昔を懐かしんでおられるだけじゃなく、先生方や卒業生、在校生や、はたまた桐朋の演劇科、如いては演劇そのものを、こよなく愛し尊敬し続けてくださっているんだなー・・・っと。いろいろお話を伺い、何か胸の熱くなる思いで一杯でした、本当にありがとうございました。これからも桐朋での残された時間、今まで同様ありったけの情熱を、学生達にぶつけてやってください。私達も演劇に対する情熱と誇りを忘れず、歩み続けたいと思います。   5期生  吉川 淨