私自身は、業務委託契約(今風に言えば「フリーランス」)で就労していた期間が非常に長いため、労働基準法も、最低賃金法も、労働契約法も、パート・有期雇用労働法も、労災保険法も、雇用保険法も、健康保険法も、厚生年金保険法も適用されずに働く辛さ・苦さは身に染みて分かります。
[注] フリーランスを一面で保護する「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」は令和6年11月1日から施行されていますし、「労働安全衛生法」については、令和8年4月1日から、フリーター(業務委託契約就労者、一人親方等)も保護の対象になります。
ここでは、少子化対策、次世代育成支援対策の観点から整備された、フリーランスに対する国民年金保険料の免除制度、国民健康保険料(税)の減額制度について整理しておきます。
⑴ 平成31年4月1日施行(産前産後期間中における国民年金保険料免除制度)
フリーランスについては、労働基準法第65条の規定による「産前産後休業」の適用はありませんが、次世代育成支援の観点から産前産後期間中の国民年金保険料が免除されます(休業しているかどうかは問われません)。
国民年金保険料が免除される期間は、単胎の場合は出産予定月の前月から「4か月間」、多胎の場合は出産予定月の3月前から「6か月間」です(下図参照)。
産前産後期間免除制度により国民年金保険料が免除された期間は「保険料納付済期間」とされるため、将来受け取れる老齢基礎年金の額について、この免除期間分が減額されることはありません。
【財源は?】
この産前産後免除分の財源としては、すでに平成29年度から法定保険料額の上限に達していた「16,900円」を100円引き上げて「17,000円」とすることにより、国民年金第1号被保険者に求めることとしました。
⑵ 令和4年4月1日施行(国民健康保険料(税)における均等割額の5割減額制度)
国民健康保険が適用される世帯の中に、6歳に達する日以後の最初の3月31日以前にある被保険者(未就学児)があるときは、当該未就学被保険者に係る均等割額について、未就学児以外の者に係る均等割額の「10分の5」(5割減額)とします。これは、育児にかかる世帯の経済的負担を軽減させるためです。
ここで、国民健康保険料(税)の徴収計算方式を整理しておきましょう。
さて、平成31年4月1日(令和元年度)から、「産前産後期間中における国民年金保険料免除制度」が実施されているのだから、「産前産後期間中における国民健康保険料(税)の免除制度」があってもよいではないかと考えるのが普通でしょう。しかし、積立金を有する国民年金制度より財政逼迫しているのが市町村等が運営する国民健康保険です。
とは言え、出生数の急速な減少や合計特殊出生率の低下などの深刻な状況にあることから、国民年金保険料が免除される産前産後期間において、国民健康保険料(税)についても、令和6年1月1日から、出産被保険者に係る「均等割額」と「所得割額」を減額することにしました。
[注1] 法令上は「減額する」とあり、「免除する」とはなっていません(国民健康保険法施行令第29条の7第5項第8号)。これは、「平等割額」や「資産割額」については、減額の対象とはされないからです。また、国民健康保険料(税)は、1年間における保険料(税)の全額について計算して算出するため、出産被保険者に係る「均等割額」と「所得割額」を免除したとしても、年間の国民健康保険料(税)の全額が免除されるわけではないからです。
[注2] 国民健康保険料(税)については、年間賦課(課税)限度額(令和7年度は「109万円」)が定められているため、世帯の所得が高く、産前産後の保険料(税)が免除されても減額後の保険料(税)が賦課(課税)限度額を超えている場合には、国民健康保険料(税)の額は賦課(課税)限度額となるため、結果的に減額がなされないことがあります。
【財源は?】
出産被保険者の減額分については、国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1を負担することとしています(全額公費負担)。
フリーランスには、育児・介護休業法による育児休業等も適用されません。
しかし、令和8年(2026年)10月1日から、子を養育する国民年金第1号被保険者である「父母(養父母を含む)」を対象とした育児期間中の保険料免除制度が施行されます(育児のための休業をしているかどうかは問われませんし、所得要件もありません)。
育児期間中の保険料免除の対象となる期間は、「実父又は養父母」の場合にあっては、子が出生した日又は養子となった日から子が1歳に達するまでの「最大12か月間」、また、「子を出産した実母」の場合にあっては、産前産後免除期間に引き続く「最大9か月間」となっています。
※ 育児期間における保険料免除期間は「保険料納付済期間」とされるため、将来受け取れる老齢基礎年金の額について、この免除期間分が減額されることはありません。
【財源は?】
令和8年(2026年)4月から各医療保険制度の医療保険料に上乗せされて徴収される「子ども・子育て支援(納付)金」をもって充てることとしています。
[注]令和7年9月現在、詳細な申請手続方法については未定です。おそらく令和7年度末までには公表されると思われます。



