帯状疱疹ワクチン接種については、2023年10月10日、NHKの「クローズアップ現代」において『増加する帯状疱疹』との番組が放送されて以降、SNS等で「帯状疱疹ワクチンを受けてきました!」などという報告を多く目にするようになりました。

 

 

帯状疱疹の発症率は、50歳以上で急激に高まり、80歳までに3人に1人は罹患するとされる疾病です。男女比でみると、女性に多く見られます。

 

【帯状疱疹ワクチンファクトシート[第2版]・国立感染症研究所】

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001328135.pd

 

 

帯状疱疹による死亡率は高くはないものの、合併症(後遺症)として「帯状疱疹後神経痛(PHN)」があり、1年、2年もの長い期間にわたり激痛が続くものがあります(ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの抗炎症鎮痛薬を服用してもまったく効かないため、医療用麻薬を使うこともあります)。

 

[注意]帯状疱疹は、体の片側(右半身又は左半身)に赤い皮疹や水疱が帯状にでき、チクチク、ピリピリ、ビリビリとした針で刺したような痛みがありますので、素人でも分かることがあります。およそ上記のような針で刺したような痛みが出た後に皮疹等が生じることが多いので、皮疹等が発生したら、3日以内に「皮膚科又は内科」で診療を受けることが必要だと言われます。なお、目の周りに帯状疱疹ができた場合には「眼科」に、耳の周りに帯状疱疹ができた場合には「耳鼻科」に行きます。重要なことは、とにかく早く治療を受けて、帯状疱疹後神経痛(PHN)、ラムゼイ・ハント症候群(RHS)、失明につながる眼合併症などの危険な合併症(後遺症)にならないようにすることです。

 

耳の周辺(「外耳道(耳の中)」に帯状疱疹が発生することもある)に帯状疱疹ができるような場合には「ラムゼイ・ハント症状群(RHS)」といって、左半分又は右半分の顔面神経麻痺難聴が生じる危険な合併症が発生することがあります。

 

さらには、眼合併症、髄膜炎・脳炎、血管炎・脳梗塞、横断性脊髄炎・運動神経炎、内臓播種性VZV感染症など、重篤な合併症があるとされています。

 

【1】帯状疱疹ワクチンでも接種しようかな

私自身は、子どもの頃に「水痘(水疱瘡)」に罹患した記憶はないのですが、6畳と4畳半の二間しかない狭い実家の中で、幼稚園児だった弟が水痘(水疱瘡)に罹患していますので、弟を介して私は「水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)」に感染している可能性があります(そうでなくても、日本人の9割以上は「水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)」に既感染であると言われています)。

 

また、30代から40代にかけての若い頃の私は、帯状疱疹ではありませんが、ストレスがたまったり疲労が蓄積すると、皮膚に発疹などが生じる皮膚疾患に悩むことが多々ありました。

 

※ イギリスの研究では、帯状疱疹ワクチンの接種により、認知症予防効果が20%あったという報告もあるようです。

 

というようなことや、いよいよ加齢を意識するお年頃になったこととも相まって、先週の7月10日、帯状疱疹ワクチン接種(1回目)を受けてきました。

 

【2】帯状疱疹ワクチンは値段が高いんですよ

現在、日本で受けられる帯状疱疹ワクチンは、次の2種類です。

生ワクチン(阪大微研:乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)・・・皮下接種

不活化(組換え)ワクチン(GSK社:シングリックス)・・・筋肉内接種

※ 生ワクチン「ビケン」は1回の接種で済みますが、不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」は2か月以上の間隔を置いて2回接種する必要があります。

 

問題は、その値段が高いことです。

一般に50歳以上の人が受ける任意接種において、生ワクチン「ビケン」は1万円程度、不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」は2万円程度×2回で計4万円程度です(ワクチン接種を実施している医療機関等によって値段は異なります)。

 

ただし、令和7年度(2025年度)より、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期予防接種になりましたので、原則として、当該年度において65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳を迎える者又は100歳以上である者が帯状疱疹ワクチン接種を希望する場合には、自治体による補助を受けることができます。

 

ただし、どのくらいの補助になるかは自治体によってまったく異なりますので、詳細については、お住いの自治体にお尋ねください。

 

ちなみに、私が住む自治体では、生ワクチン「ビケン」の自己負担額は4,000円、不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」が1回分10,000円で計20,000円です。

 

【3】悩ましいのは値段ばかりではありません

悩ましいのは帯状疱疹ワクチンの値段ばかりではありません。

帯状疱疹ワクチンの種類による予防効果がまったく異なるのです。

 

厚生労働省による、生ワクチン「ビケン」と不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」の帯状疱疹予防効果を見てみると、歴然としています。

 

 

生ワクチン「ビケン」の帯状疱疹予防効果は、接種後2年を経過すると5割未満に低下し、5年経過後では4割程度の予防効果しかないとされています。

 

一方、不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」は、接種後5年経過後においても9割程度の予防効果が、接種後10年経過後においても7割程度の予防効果があるとされています。

 

ですから、値段が非常に気になる方は、まず生ワクチンの接種をしておいて、接種後5年経過する頃に不活化(組換え)ワクチンを接種するという方法も考えられます。

 

この方法は、5年後までには帯状疱疹ワクチンが「無料化」されているかもしれないことを期待してのことです。

 

※ 医療機関によっては、生ワクチンしか打てないところや、不活化ワクチンしか打てないところもありますので、事前にしっかり確認しておきましょう。

 

【4】さらに悩ましいのは副反応でしょうか?

さらに悩ましいのは、帯状疱疹ワクチン接種をした後の「副反応」だと思われますが、これは、新型コロナワクチンを接種した後の副反応が人それぞれだったように、帯状疱疹ワクチンについても、人それぞれとしか言いようがありません。副反応等が心配な方や基礎疾患をお持ちの方は、必ず医師に相談してください。

 

比較すると、生ワクチン「ビケン」のほうが副反応が少ないようです。

 

私自身は、不活化(組換え)ワクチン「シングリックス」の接種を受けたのですが、注射をした箇所(上腕部)が3日間近く痛かったことを除くと、副反応はほとんどありませんでした。

 

ただし、帯状疱疹ワクチン接種を実施している医師から話を聞いたところによると、38.5度くらいの発熱が現れる人が多いということです。

 

なお、不活化(組換え)ワクチンについては、1回目よりも2回目の接種の方が副反応が強いとも言われていますが、私自身、再来月の9月中旬に2回目のワクチン接種を受けますので、もしも副反応が強く出ましたら、この場を借りてご報告したいと思います。