【1】令和6年度の参考指標

①物価変動率:3.2%

②名目手取り賃金変動率:3.1%

③マクロ経済スライドによる調整率:▲0.4%


《詳細内容》

①物価変動率は前年(令和5年)平均の全国消費者物価指数の総合指数を用いるため「3.2%」の上昇

※「3.2%」の上昇を法令上の指数で表すと、「1.032」となります。社会保険労務士試験においては、指数で表すことにも必ず慣れていきましょう。例えば、もし仮に「0.0%」となっていたとしたら、それは前年度の年金額を当年度も据え置くという意味なのですから、その指数は「1.000」となります。


②名目手取り賃金変動率(3.1%

=(令和2~4年度平均の)実質賃金変動率(▲0.1%)+(令和5年の)物価変動率(3.2%)+(令和3年度の)可処分所得割合変化率(0.0%)


これを指数で表すと…

名目手取り賃金変動率(1.031

=0.999×1.032×1.000

と掛け算で表すこととなります。


③マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.4%)

=(令和2~4年度平均の)公的年金被保険者総数の変動率(▲0.1%)+法定された平均余命の伸び率(▲0.3%)


これを指数で表すと…

マクロ経済スライドによるスライド調整率(0.996

=0.999×0.997

※この「0.997」という平均余命の伸び率については「調整期間における改定率の改定の特例」として、国民年金法第27条の4第1項第2号に規定(法定)されているものです。この数字は必ず覚えておいてください!


以上により、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回っていることから、新規裁定者も既裁定者も名目手取り賃金変動率(3.1%)を用いることとなりますが、マクロ経済スライド調整率(▲0.4%)がフル発動されるため(キャリーオーバー分は発動されない)、令和6年度の改定率は令和5年度から「2.7%」の引き上げとなります(指数では「1.027」となります)。


〔注〕以下では、法令等に従い「指数」で表すこととします。


【2】令和6年度の老齢基礎年金の満額

《参考指標》

まず、令和5年度の改定率は、新規裁定者(昭和31年4月2日以後生まれの者)は「1.018」、既裁定者(昭和31年4月1日以前生まれの者)は「1.015」でした。


令和6年度について、昭和31年4月2日~昭和32年4月1日生まれの者は既裁定者となるべき者なのですが、物価変動率によって年金額を改定される者(既裁定者)がいなくなるため、令和6年度における老齢基礎年金の満額は、以下のようになります(端数処理の解説については割愛します)。


(1) 新規裁定者となるべき昭和32年4月2日以後生まれの者


780,900円×1.045=816,000円


※「1.045」とは、令和5年度の改定率である「1.018」に令和6年度の改定率「1.027」を乗じて得た率であり、令和6年度の年金額の改定率を表します。


つまり、本当は…

780,900円×(1.018×1.027)=816,000円

と計算しているのです。


(2) 既裁定者となるべき昭和31年4月2日~昭和32年4月1日生まれの者(昭和31年度生まれの者)


780,900円×1.045=816,000円


※この者は、令和5年度は新規裁定者であったため、その改定率は1.018×1.027=1.045

と算定するしかありません。


(3) 既裁定者となるべき昭和31年4月1日以前生まれの者


780,900円×1.042=813,700円


※「1.042」とは、令和5年度の改定率である「1.015」に令和6年度の改定率「1.027」を乗じて得た率です。この者は、令和5年度においても既裁定者でしたので、令和5年度の改定率「1.015」を用いて算定するしかないのです。


つまり、本当は…

780,900円×(1.015×1.027)=813,700円

と計算しているのです。



【3】ゴロ語呂での暗記

ということで、令和6年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの者については「816,000円」、昭和31年4月1日以前生まれの者については「813,700円」となりますので…

国民年金に “入ろう(816,000円)はいみんな(813,700円)” となりますね😋


社会保険労務士試験対策として「改定率」も覚えなければなりませんから…

人は死後(1.045)死人(1.042” とでも覚えておきましょうか😅


むしろ令和6年度の改定率をこそ覚えておかないと、来年度、つまり令和7年度(2025年度)の老齢基礎年金(満額)を計算することができなくなってしまいますからね😱


最後に、個人的な話になってしまいますが、私自身はフリーター又はフリーランスであった期間(国民年金第1号被保険者)が非常に長く、厚生年金保険の被保険者であった期間(国民年金第2号被保険者)が短いため、たとえ繰下げ受給を考慮したとしても、「老齢厚生年金」を当てにすることができません。

というわけで、何とか「老齢基礎年金」については満額を受給することができるようにしているのですが(現在は「国民年金の任意加入被保険者」となっています)、だからこそ、老齢基礎年金の満額支給の金額については、非常に気になるのでしょうね~(笑)