労働安全衛生法は、暗記すべき細かい事項が多いので、本試験直前になって慌てて勉強する受験生が少なくないですが、条文をしっかり読むのに格好な法律なんですよ。

 

さて、労働安全衛生法において「都道府県労働局長⇒指示」と出てくる条文を確認してみましょう。

 

〔1〕労働安全衛生法65条5項(作業環境測定)

都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。

 

〔2〕労働安全衛生法66条4項(臨時の健康診断)

都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。

 
〔3〕労働安全衛生法79条1項(安全衛生改善計画)
都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第1項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。
 
〔1〕と〔2〕については…
都道府県労働局長⇒労働衛生指導医の意見⇒指示」、という流れが共通していますね。
労働安全衛生法において、このような条文フレーズの流れになるのは、「作業環境測定」と「臨時の健康診断」の2つです。簡単でしょ。
 
ただし、次のような選択式問題が出題されたとしたら、どうでしょう?
 
【選択式問題】
都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、[ A ]の実施その他必要な事項を指示することができる。
 
さて、空欄Aには、「作業環境測定」が入るでしょうか、それとも「臨時の健康診断」が入るでしょうか?
 
安衛法65条5項には、「作業環境の改善により」という文言が出てきますね。でも、上記選択式問題には、それがありません。
したがって、空欄Aに入るのは「臨時の健康診断」です。

もちろん、「労働者の健康を保持する必要」と来れば「作業環境測定」、「労働者の健康を保持するため必要」と来れば「臨時の健康診断」、と判別できないわけではないですが、社労士試験に合格するためには、そこまで細かく読む必要はないでしょう。
 
労働衛生指導医」は、厚生労働大臣により任命され、都道府県労働局に置かれる非常勤の国家公務員です(任期2年)。平成8年度の記述式と平成14年度の選択式、そして、平成元年度、平成23年度の択一式に出題されています。
 
この「労働衛生指導医」については法96条4項にも出てきますよ。
 
〔4〕労働安全衛生法96条4項
都道府県労働局長は、労働衛生指導医を前条第2項の規定による事務(都道府県労働局長の指示等に関する事務)に参画させるため必要があると認めるときは、当該労働衛生指導医をして事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は作業環境測定若しくは健康診断の結果の記録その他の物件を検査させることができる。
 
ここで、もし主語の部分が空欄で抜かれたとしても、「厚生労働大臣」ではなくて「都道府県労働局長」が正解になるな、と分かりますね。
労働衛生指導医は、都道府県労働局に置かれているのですから…。
 
※「特別安全衛生改善計画」及び「安全衛生改善計画」について、前者については「厚生労働大臣」が、後者については「都道府県労働局長」が、事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントの意見を聴くべきことを「勧奨することができる」(法80条)、とのフレーズにも要注意ですね。