「何を当たり前なこと言ってんだ?」と思われた受験生が多いかもしれません。
でも、これを本当に理解していないがために、何年経ってもなかなか合格できない受験生が多いことをぜひ知ってもらいたいのです。
【1】手は外部に伸びた脳である!
カナダの脳神経外科医ペンフィールドは、てんかん患者の手術の際に切開した脳に電極を当てながら、脳細胞に当てた電気刺激と患者の反応を観察しました。
この実験により、脳は各部位で分業化しており、それぞれの脳部位とそれにつながる全身の体部位は対応関係にあることが発見されました。これをビジュアル化したものを「ペンフィールドの脳地図」と呼びます。
その結果、大脳皮質と大きなつながりのあるのが、口や手、そして目、であることが分かりました。
受験勉強において、目が大切であることは分かると思いますが、口は「音読」に関係があり、手は「問題を解く」のに関係があります。
また、その後の研究で、大脳皮質の約3分の1が、手の運動や感覚をコントロールしていることが分かりました。
ここから、「手は外部に伸びた脳」だと言われています。
つまり、手は脳へ効率的な刺激を与えるために必要な体部位なのです。
*確かに、指をよく使うピアニストは長生きの人が多いようですし、医療・介護の分野でも、認知症予防として「指回し運動」なんてありますね。手を使うと、手を使わない時に比べて脳の血流量が10%程度上がるという研究結果もあり、脳の活性化(記憶機能の活性化)に役立つと言われています。
【2】社労士受験生の腕組みなどに対する驚き!
私は、学生時代から高校・大学受験予備校で英語を教えていましたから、英文法や英文解釈の説明などにおいて、名詞節・形容詞節・副詞節などに記号等を手で記入しながら教えていました。
ですから、受験生も形容詞節や形容詞句などに手を使って印をつけながら英文法や英文解釈の問題を解くのが当たり前だったのです。
そして、平成8年、社労士試験講座の受験講師となったわけですが、不思議な光景を目にしてしまいました。
というのは、答練などの問題を解く際に、特に男性の年配受験生ですが、腕組みをしながら問題を解いているのです。また、定規を使って設問文を読んでいる姿にも驚きました。
①腕組みなんかしていたら、設問文中にある重要な個所を完全に見逃してしまうので、得点できません。
②定規を使って設問文を読むのは、次の行に視線を動かすのに、行を飛ばしたりしないようにするためなのでしょうが、行をまたがって、主語と述語との関係で受験生を引っ掛けたりすることが多いのですから、正解を得るのに定規はまったく邪魔です。
【3】手を使わないで不合格になった社労士受験生の悲劇!!
10年ほど前、普段実施される答練や模擬試験などの結果により、ほぼ100%合格できるだろうという女性の受験生がいました。
当時私は、問題を解くときはアンダーラインを引くなり、波線を引くなり、主語を四角で囲むなり、設問文中の気になる語句・数字を丸で囲むなりして、必ず手を動かしながら問題を解きなさい、と何度も何度も口酸っぱく言っていました。
「手を動かしている限り大脳は働き続けるからね」と。
それで択一式なら6~8点程度、つまり、7科目それぞれで1点ずつ得点を伸ばせるのですから非常に有利です(これは同じ予備校の別クラスの答練などの結果から判明したことです)。
さて、その女性受験生ですが、本試験では予想通り、択一式で50点を超える点数でしたし、選択式も文句なく合格点です。
と、ところが、なんと国民年金法の択一式で3点基準点割れ!
呆然、唖然としてしまいました。私もその受験生も…。
そう、問題用紙を見てみると、得意なはずの国民年金法の問題箇所だけが「白紙」なのです。
つまり、アンダーラインも波線も、四角囲みも丸囲みも何も記入していないで解いていた、言うなれば、手をまったく動かさないで(脳をまったく働かせないで)問題を解いていたのです!
不思議なことに、その受験生本人も、どうして国民年金法だけアンダーラインなどの印をまったく付けなかったのか分からないと言います(本試験には魔物が棲むと言われることが起きてしまいました)。
もしかしたら、得意な国民年金法だったからこそ、何もしないでも7~8点は取れると無意識に思ったのかもしれません。
他の受験生の結果から推測すると、8点は取れていたはずですから、手を動かさなかっただけで、なんと5点も失ってしまったのです!
もちろん、その翌年は、年が明けた1月から余裕で受験勉強を始めて、軽~く(本人は必死で勉強したはずですが)合格しています。
ですからね、手を動かさないで問題を解くというのは、合格から大きく遠ざかる道なのです。
予備校では「解答出し」といって、本試験のその日の夜に正解を出すのが普通ですが(ネットに各予備校見解の正解が出ますよね)、絶対に問題用紙は汚しますよ。
1文字でも見逃すと、講師だって間違えてしまいますから、アンダーライン、波線、四角囲み、丸囲み…、いろいろな印で問題用紙は汚れます。
しかも、「解答速報」と告知しているくらいですから、なおさら見逃しがないように、印を付けながら、速く正確に問題を解いていきます。
★およそ、本試験後の問題用紙がきれいな受験生は、点数がよくないことが多いのです。ですから、なかなか点数が伸びないという受験生は、しっかり手を使って解くことを強くお勧めします。
また、答練や模試で、後で解き直すからと、何も記入しないままで問題をきれいに解いてしまう受験生もいますが、それでは自分の弱点や欠点に気づく機会を一切失ってしまいます。明確な記録を残すからこそ、自分の考え方や解き方の悪い癖が分かるのです。
後で解き直すからと言っても、実際には本試験と同じように解き直すことはありません。答練や模試は、本試験と同じように真剣に解くからこそ意味があるのです。
【追記】
選択式が苦手な受験生は、難解な問題に出遭うと諦めてしまうことがありますが、ビジュアル化しながら、問題文の様子を「想像」してみてください。
「手を動かしながら想像する」・・・、法律の勉強では「想像力」が非常に大切なのですが、手を動かさなければ「想像力」が発揮できませんし、手を動かすからこそ、一文字一句のキーワード又はキーフレーズに気づく「観察力」が身につくのです。
ですから、以前のブログで「記録にとることが大切だ」と書いた理由も、ここにあります。
せっかくのGW(ゴールデンウィーク)ですからね。
以上のような目的意識をもって受験勉強に励んでください!