ここ数年の社労士試験では、労働統計に関する問題が「選択式」で出題され、受験生を困惑させています。労働統計が得意という受験生は少ないですから、非常に厄介です。
労働統計の代表と言えば、何と言っても、総務省統計局による「労働力調査」なのでしょうが、本日(平成29年2月22日)は、厚生労働省から「平成28年賃金構造基本統計調査:結果の概況」と「毎月勤労統計調査:平成28年分結果確報」が同日に公表されましたから、今回は賃金統計に絞って概略を書きましょう。
〔1〕毎月勤労統計調査(略称「毎勤」)からは、毎月の賃金の労働者1人当たり平均の水準と、その増減の推移が分かります。賃金の短期的な動向(推移)を知ることができるのが、毎月勤労統計調査です。
〔2〕毎月勤労統計調査は、1923年(大正12年)に始められた「職工賃銀毎月調査」、「鉱夫賃銀毎月調査」に由来します。当時は第一次世界大戦後、重化学工業化が進む中で労働組合運動が活発になっていた時期ですから、賃金水準を客観的に把握する必要性から統計調査が始められたものです。
〔3〕後述する賃金構造基本統計調査における賃金とは「所定内給与額」のことであり、ボーナスや残業代は除かれるのに対して、毎月勤労統計調査における賃金は「現金給与総額」のことであり、ボーナスや残業代も含まれます。
労働統計の代表と言えば、何と言っても、総務省統計局による「労働力調査」なのでしょうが、本日(平成29年2月22日)は、厚生労働省から「平成28年賃金構造基本統計調査:結果の概況」と「毎月勤労統計調査:平成28年分結果確報」が同日に公表されましたから、今回は賃金統計に絞って概略を書きましょう。
〔1〕毎月勤労統計調査(略称「毎勤」)からは、毎月の賃金の労働者1人当たり平均の水準と、その増減の推移が分かります。賃金の短期的な動向(推移)を知ることができるのが、毎月勤労統計調査です。
〔2〕毎月勤労統計調査は、1923年(大正12年)に始められた「職工賃銀毎月調査」、「鉱夫賃銀毎月調査」に由来します。当時は第一次世界大戦後、重化学工業化が進む中で労働組合運動が活発になっていた時期ですから、賃金水準を客観的に把握する必要性から統計調査が始められたものです。
〔3〕後述する賃金構造基本統計調査における賃金とは「所定内給与額」のことであり、ボーナスや残業代は除かれるのに対して、毎月勤労統計調査における賃金は「現金給与総額」のことであり、ボーナスや残業代も含まれます。
そのため、毎月勤労統計調査の「賃金」のほうが高額に算出される傾向にあります。
また、毎月勤労統計調査は、賃金のみならず、実際に労働に従事した「労働時間数」や「常用労働者数」の統計も作成されているのが特徴です。
※例えば、本日公表の両調査で比較してみましょう。
毎月勤労統計調査における平均月間現金給与総額が315,590円なのに対して、賃金構造基本統計調査における男女計の一般労働者の賃金月額は304,000円です。
〔4〕賃金の短期的な動向に比べ、より詳細な賃金統計を調べているのが「賃金構造基本統計調査」です(略称「賃構」)。
※例えば、本日公表の両調査で比較してみましょう。
毎月勤労統計調査における平均月間現金給与総額が315,590円なのに対して、賃金構造基本統計調査における男女計の一般労働者の賃金月額は304,000円です。
〔4〕賃金の短期的な動向に比べ、より詳細な賃金統計を調べているのが「賃金構造基本統計調査」です(略称「賃構」)。
年齢や勤続年数といった労働者個々人の情報まで調査されているため、各企業内の賃金構造がわかります。例えば、40歳、勤続年数17年の技能労働者の賃金水準はいくらか、といったことが分かります。毎月勤労統計調査は全体の賃金水準とその変化(推移)で、このような事項まではわかりません。これが分かるのが「賃金センサス」とも言われる賃金構造基本統計調査であり、年に1回、6月分について調査され、翌年の2月末頃に結果が公表されます。
従業員10人以上の事業所のうち、約6万6000事業所を抽出した大規模調査です。
※毎月勤労統計調査のほうは毎月行われるので、賃金構造基本統計調査の簡易版とも言われており、従業員5人以上の事業所のうち、約3万3000事業所を抽出し、個々の労働者のことではなく、事業所全体の状況を聞くことで回答負担を軽減しています。
★毎月勤労統計調査と賃金構造基本統計調査の相違点
毎月勤労統計調査の賃金統計は、労働者全体、あるいは各産業の労働者全体の賃金水準とその増減の推移です。物価や企業の生産活動などに関する他の経済統計と一緒に使用することで、経済全体、又は特定の産業の状況を知ることができます。また、労働者全体の賃金水準の変動を表すことから、労災保険法による保険給付等のスライド率の算定や、雇用保険法による賃金日額の上限額、下限額の改定などに利用されます。
一方、賃金構造基本統計調査の賃金統計は、年齢、勤続年数などの、いわば「労働力の銘柄」の別に賃金の相場を知るために利用されます。例えば、労災保険法による年金給付等の年齢階層別の最低・最高限度額や交通事故の損害賠償額算定の参考に使われるのは、賃金構造基本統計調査です。このように、両統計は役割が異なるのです。
※毎月勤労統計調査のほうは毎月行われるので、賃金構造基本統計調査の簡易版とも言われており、従業員5人以上の事業所のうち、約3万3000事業所を抽出し、個々の労働者のことではなく、事業所全体の状況を聞くことで回答負担を軽減しています。
★毎月勤労統計調査と賃金構造基本統計調査の相違点
毎月勤労統計調査の賃金統計は、労働者全体、あるいは各産業の労働者全体の賃金水準とその増減の推移です。物価や企業の生産活動などに関する他の経済統計と一緒に使用することで、経済全体、又は特定の産業の状況を知ることができます。また、労働者全体の賃金水準の変動を表すことから、労災保険法による保険給付等のスライド率の算定や、雇用保険法による賃金日額の上限額、下限額の改定などに利用されます。
一方、賃金構造基本統計調査の賃金統計は、年齢、勤続年数などの、いわば「労働力の銘柄」の別に賃金の相場を知るために利用されます。例えば、労災保険法による年金給付等の年齢階層別の最低・最高限度額や交通事故の損害賠償額算定の参考に使われるのは、賃金構造基本統計調査です。このように、両統計は役割が異なるのです。
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