ちょうど10年くらい前、本物の「担任制クラス」を担当していたときのことです。

受講生1人につき30分程度、輪番制で「個別面談」というものをしていました。

 

1人1人の受講生と、学習内容についての質問や受験勉強に関する相談を受けたりするのですが、最も多かった質問が「テキストの読み方が分からない」というものでした。

 

担任制ではない一般のクラスでは、ほとんど講義内容についての質問しか出なかったものですから、興味深い現象だと思いました。本当は、テキストの読み方そのものが分からない受験生のほうが多いのではないか、だから、講義内容についての疑問すら浮かばないのではないか、そう思いました。

 

いろいろな読み方はあると思いますが、最も重要なのは「何のためにテキストを読むのか?」ということです。

 

それは、問題が解けるようになるためですよね。

 

私自身はそもそも予備校の講師でしたから、出題者がどのような引っ掛け問題を作るかはおおむね想像することができましたので、私だったらこのように出題するな、とか思いながら読んでいました。

ですから、初学者の場合は、先に過去問を読んでおくという手もあるのです。解く必要はありません。だいたいどのようなことが問題になるかが分かればいいのです。

すると、「厚生労働大臣は」とか、「都道府県労働局長は」とか、「保険者は」とか出てくるのを目にするはずです。また、ときどき数字も出てきます。さらに、問題を読むだけでは気がつかないかもしれませんが、文末表現で引っ掛けることも多いのです。

 

そうしたら、主語、文中の法令用語(らしきもの)、数字、文末表現を覚えるつもりでテキストを読むのです。そして、ツッコミを入れましょう。自分が出題者だったら、どうやってテキストの内容を引っ掛けて問題を作るかと・・・。あるいは、自分が本番の試験でどのように引っ掛かるかを想像しながらテキストを読んでもかまいません。

 

どうして、この文の主語は「都道府県労働局長」ではなくて「厚生労働大臣」なんだろう?

あれれ、左ページでは「内払とみなすことができる」と書いてあるのに、右ページでは「内払とみなす」となっているけど、これはなぜだろう?

なんて疑問に思いながら読むのもいいですね。実際、そういう問題に引っ掛かるわけですから…。

 

で、独学だったらどうするか。

勝手に理屈をつけちゃえばいいんですよ。

例えば、

およそ1つの都道府県の中だけで解決できることは都道府県労働局長、

2つ以上の都道府県にまたがることは厚生労働大臣だと思って読めばいいんです。

内払とみなして都合が悪くなければ「内払とみなす」、内払とみなすわけにはいかないときは「内払とみなすことができる」ことになっているんです。

自分が覚えやすいように勝手に理屈をつけてください。

 

それでやってみて時間がかかるようでしたら、太字の部分だけ、色がついている部分だけが選択式問題で空欄として抜かれていると想像しながら、テキストを読んでもいいでしょう。

 

択一式問題については、ある程度数をこなせば引っ掛けパターンが見えてきます。

でも、選択式問題については、じっくり読む癖をつけておかないと、必ず1問か2問出てくる難問で、基準点である3点を逸することになります。

 

やはり、得点につながる自分なりのテキストの読み方を見つけた受験生が、勝ちです!