もうだいぶ経つけど。
あれは、私の視点をおおもとから変えた出来事で。
ゆえに世界は違うものとなった。
それでいて自分が、思いのほか頑健でたくましくて、案外変わらないことも気付かせてくれた。
誰かに吐露して、負担になることも耐え難くて。
痕跡残らず澱が出て行くように、ただ、呼吸を整えて、血が流れ続けるに任せて。
ぴったり1ヶ月過ごした。
歩いているだけで涙が出てきたことがあったけれど、それも当然だと思ったし。
あれがなかった今を、想像はできない。
きっと、2年間の海外生活もしていなかっただろう。
ただ一つのことが私を支えるものになった。
誰かにさせなかったこと。自分ですること。
それだけが望みで、それだけが守るべき一線だった。
だって、手を汚すのは当事者だけで充分なはずだから。
褒められたことなんかじゃないけれど。
あれから10なん年経つのに、いままだ、それが許されていないことに、少しびっくりする。
医者が、いじりたいだけ。
鈍感だよね。
まぁ、私もなんだけど。
(2019.03.05)