藤沢市民会館再整備は「未来への希望が見える施設」になり得るのか。

昨日、都心部再生・公共施設再整備等特別員会(以下、都心部再生委員会)に藤沢市民会館再整備における基本理念及び再整備基本方針や複合化する公共機能等についての構想素案が示された。
コロナ禍により当初予定より1年ほど遅れて報告となった。
この間、この再整備事業には、再整備に120億円規模を想定していたが、新たに浸水対策として排水ポンプ場及び貯留管、導水管等の整備が必要となり90億円規模の浸水対策費及びその事業用地として4000㎡(将来の建替え用地を含めると倍の用地)が必要となった。その大きさは地上10M、地下30Mという巨大な施設である。
この再整備エリアは市内浸水リスク1位の危険エリアとなっている。
ここまで大きな浸水対策施設が必要である以上、もはや藤沢市民会館再整備を同じ場所で整備する必要がどこにあるのか、私は大きな疑問を持っている。

これまで都心部再生委員会や建設経済常任委員会には藤沢市民会館再整備の複合化施設についての報告があったが、いずれの各委員会においての質疑・意見では各会派から厳しい意見と指摘が相次いでいる。
この再整備について示された基本的な考え方・方針・構想については、肯定的な意見を述べる委員はないといってもいい。
これまでの間、都心部再生委員会の各委員からは、複合化施設の選別から、藤沢駅への回遊性賑わい創出の視点がない、民間活力による整備の視点、将来的な社会状況への視点がない点、などなど、他にも多くの様々なごもっともな厳しい意見が出されてきたが、今回、市側が示された再整備構想素案には、そうした意見についてはほとんど反映されることはなかった。
一方で、有識者会議でもある藤沢市民会館等再整備基本構想策定委員会を中心に、市民ワークショップや中高生ワークショップ、関係団体の意見については、多くの意見の記載や反映がある。そうした関係諸団体の意見を元に構想素案を完成させているわけである。
今回の委員会での市側の答弁で特に驚いたのは、「収益性は考えていない」という答弁である。
市民会館は収益性は考えていない施設になるが、施設整備に民間活力を使い事業費を圧縮したいという矛盾である。
私は、この間、議会・特別委員会での各委員の厳しい意見について、その位置付けを市側がどう捉えているか大きな疑問を持っている。その点について、委員会においても指摘をさせて頂いた。

また、好立地な場所であるがその優位性をどう活かすかという視点がなく単体の公共施設の再整備と同様の再整備構想であり、藤沢の街づくりという視点での再整備ではない点、再整備の完成予定が2029年ー30年あたりであり市内の予想される人口ピークに完成することとなる。その後は市内人口減少・超高齢化という中において、その後50年をどう捉えているかが構想に全く考慮されていない点などを疑問視している。



ここからは私の妄想として聞いて欲しい。
藤沢市民会館再整備は現在の場所に拘らず、藤沢駅前のデパート建替えのタイミングをみて、デパートと協働で建替えをし、藤沢市民会館機能・図書館機能・文化芸術機能を複合化し、そちらに移転する。
そして現在の市民会館跡地と奥田公園については浸水対策が必要である点を考慮し、プロスポーツ施設を誘致する。または広大な緑地公園として整備し(ニューヨークのセントラルパーク的な視点で)街の価値を高めるものにしたい。
兎に角、市には、単なる寄せ集めの複合化施設で終わるのではなく、この藤沢市民会館再整備が、藤沢市にとって「未来への希望が見える施設」となる再整備構想にしていただきたいものだ。