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【2040年、日本の土地は誰のものになるのか】
日本では今後、人口が減り続けることが確実視されています。
2040年には総人口が1億人を割り、高齢者が全体の35%以上を占めるという、かつてない超高齢社会が到来します。
当然の帰結として、土地を相続する人も、土地を購入する日本人も減っていきます。
地方では空き地、放置された山林、水源地などが拡大し、所有者不明地も加速度的に増える。
いま各地で見られる現象は、決して一過性のものではなく、構造的な問題なのです。
都市に人口が集まり、地方が空白になる
人口と社会インフラは、効率化の名のもとに都市へと集中していきます。
地方に住む理由を見出せなくなった人々は都市部へ移動し、都市では集合住宅(マンション)が主な住まいの形となっていきます。
こうして利用されない地方の土地は、誰も買わず、誰も住まず、誰も管理しない。
するとどうなるか。
その空白を埋めるのは、資本力を持つ外国人や外国資本であることが、すでに各地で起こっています。
2040年、「買う人」と「売る国」の意図が交差する
2040年はもうひとつ、重要な意味を持ちます。
それは、中国・韓国・ASEAN諸国の中間層人口がピークを迎える時期であるということです。
中間層の拡大は、海外不動産投資を活性化させます。
彼らが求めるのは、インフラが整い、資産価値が安定し、法治がしっかりしていて、長期的に保有できる土地。
その条件を満たす国——それが「日本」です。
しかも、円安や土地価格の下落も手伝い、日本の土地は相対的に割安な長期資産に映っている。
水源、森林、沿岸部といった地政学的に重要な地域でさえ、外国資本の取得がじわじわと進行しているのが現実です。
土地だけでなく、「労働力」も外国に依存している
問題は土地にとどまりません。
すでに日本は、多くの産業現場において外国人労働者なしでは成り立たない構造に突入しています。
実際、令和6年6月末時点の在留外国人数は358万8,956人に達し、前年から17万人以上増加。
過去最高を更新しました。
特に多いのが中国籍(84万人)、ベトナム籍(60万人)で、単純労働・技能実習・留学・家族滞在など、さまざまな在留資格で現場の担い手として存在感を増しています。
しかし、この状況は単に「支えている」と美化すべきものではありません。
本来活かされるべき日本人の労働力が、制度的・構造的な問題によって眠らされてはいないか。
たとえば低賃金労働や地方の産業構造が、日本人の就労意欲を削ぎ、外国人依存を前提とした労働設計に傾いていないか。
そうした問いを封じたままでは、労働力の“外部化”は加速し、日本社会の自己修復力を失わせていく危険があります。
このまま何もしなければ、誰の国か分からなくなる
制度上、日本には包括的な外国人土地取得規制が存在しません(一部の安全保障区域を除く)。
また、土地を持ち続けると相続税などの経済的負担が重く、相続放棄や売却を促す制度構造になっている。
このまま流れが続けば、2035年〜2045年が“不可逆な分岐点”となる可能性が高い。
形式上は日本の法律に守られていても、実質的には「誰の国かわからない国土」が広がっていく。
それは、経済安全保障だけでなく、文化的・地政学的主権の喪失をも意味します。
「わかりきった未来」を変えられないなら、国会議員はいらない
過去に政府は、人口減少社会の到来を1990年代から知っていたのに、的確な政策を打てなかった。
いままた、誰の目にも明らかな国の存亡という未来が目前にある。
それなのに、それを防ぐ法整備も、制度改革も行わないのだとしたら——
この国に国会議員がいる意味は、どこにあるのだろうか。

