昨年6月、実家の福岡を発った日の母のイメージが消えていました。
ありがとうございます。
行き帰りは東京経由で
東京に前後数日泊まり、
そして小旅行も挟んで
ほぼ1カ月の滞在。
その間の大半を
福岡で過ごしました。
母との時間もゆっくり
取れると思っていたのですが、
思いの外、時間の経つのが早く。
それほど一緒に
出かけることも
(母の調子も悪く)
できなかったという想い。
母が私が発つ前から
何度も「早かったねぇ」と
連発する言葉に
胸がチクッとしたり。
それでもそういう想いも
全て絶ち切って
明るい顔で
「またね」の予定が。。。
東京に向けて発つ前の
夜のこと。
深夜を少し回った頃、
二階の部屋で寝ていた私は
下の階から聞こえる物音が
気になって、
降りてみました。
母がウロウロしている。
様子がどうもおかしい。
階段からフロアに
足を降ろすと
床が水浸し!に
やっと気が付きました。
降りてすぐの
台所とリビングルームは
水浸し。
隣り合うお風呂場は
入り口まで水がきていたものの
中には入っておらず
大丈夫。
トイレの床は水浸し。
水は兄の部屋の
前まで迫っていましたが、
大丈夫。
母の部屋は
ちょっと濡れていましたが、
ほぼ大丈夫。
母をよく見てみると
濡れた布団を抱えて
横切っていって。
血相を変えて
お風呂場にある
洗濯機の中に押し込んでいました。
既に濡れた衣類やら毛布やらが
洗濯機の中に押し込まれていて。
パニックになった母が
自室の奥にある押し入れから
全ての布団類を出して
布団で水気を吸って
広がらないように
していたことが分かりました。
すっかり取り乱していた母。
衣類も濡れて
片っ端から出して
着替えをしたようで、
うん?下着のパンツが
ズボンの上に???
「お母さん、パンツは?」と。
順番がめちゃくちゃに
なっていた様子。
内心、「いやあ、こんな状況って?」
という悲壮感と共に
母の姿があまりにも
滑稽で。
プーっと吹きだすような
笑いが漏れて。
きっとこの不謹慎とも思える
笑いが私を救ってくれたのだと
思います。
冷静になって、
母に「大丈夫。
ここは私が全てやるから」と
自室に戻ってもらい。
ウロウロとそれでも
落ち着かない母を
何度もなだめながら。
雑巾など
水を吸えるもので
どんどん吸っては
お風呂場に水を流す
繰り返しを根気よく。
全て拭き終ったのが
明け方の4時半近く。
父はこの日は朝早くから
仕事があるので、
起こしたくなくて。
(幸い、耳が遠いので、
一連の出来事は気が付くことなく)
何が起きたかだけは
台所のテーブルに
メモを置いて。
「東京に行くのを
遅らせてもいいから」と。
一旦、寝室に戻り、
まんじりともせず
眠りに落ちて。
父が起きてきた後に
メモを読んだ
父と話をするために
降りていってみると。
父が「ここは大丈夫だから、
今日、予定通り発ちなさい」と。
父とお別れを言った後、
仕事先から父が電話をくれて
「ありがとう。心配せずに
飛行機に遅れないように
出なさいね」と。
母はこの事件のショックが
あまりにも大きかったようで
まるで正気を失ったように。
怯えた子供のようになってしまい。。。
困ったなあ、
こんな母を残してはと
心残りだったものの。
不思議なことがあるもので、
高校の時からの親友から
突然、連絡が入り、
「今日、発つんだよね?
何時の飛行機?
送っていくよ」と。
後ろ髪引かれる思いで
これも何かの流れかと思い、
素直にその言葉に甘えました。
もし彼女が一緒に
空港まで行ってくれなければ
私の心は前の晩から起きた
出来事でいっぱいになって
心配でたまらない気持ちに
なっていたことでしょう。
こんなに追い風が吹いて
数日、滞在した東京での時間が
波立つ心を随分癒してくれたのに。。。
イギリスに戻ると
母が肺炎にかかったことが分かり。
父がとうとうキャパオーバーに
見舞われたりした時期もあって。
私の心はまたここから
振り子のように揺れに揺れて。
自分と向き合う時間、
たくさんの人達からの助け、
過去にいただいた言葉などもあって。
昨年の秋の終わりぐらいから
全てにいいも悪いもなく
全ては〇。
こんな自分でも
完璧でない
突っ込みどころのある自分もOK。
ここが思考からではなく
感覚として腑に落ちた時から
母への想いも変化していきました。
母がどうであっても
過去の母も
そして今の母も
そのままでいいということ。
それを母に電話で伝えられて。
そこから母も楽になったのか。
少しづつ変化が見られるようになって。
2週間前の電話では
「忘れることも
心配しなくなった」という
言葉が出るぐらいに。
母が自身が老いていくこと
過去のことも
全ては〇と
そのままを受け入れ。
やっと楽に
そして見える世界が
少しづつ広がっているのを
感じられる言葉、
出来事。
あんなに心乱された
母の表情。
昨年は瞼に焼き付いて
離れなかった
時期もあったけれども。
今ではまるで
何もなかったかのように。
穏やかな母の表情が
はっきりと浮かぶのです。
今週は寒い、そろそろ温かい陽射しが恋しい
最後までお読みくださいまして
ありがとうございました。