昨日、珍しく朝からロンドンに出かけました。

 

今の場所に引っ越してくる前まで

ロンドン市内に10年程住みました。

 

郊外からこうやって久しぶりに行くと

とても懐かしい気持ちになります。

 

写真はトラファルガー広場です。

 

お天気に恵まれて、

青い空と雲のコントラストが美しかったです。


 

Finsbury Parkのカウンシルフラットに

住んでいた時の大家さんのお話を。

 

大家さんは日本人の女性で、

確かご自身が一人で住んでいるフラット1軒、

その隣りのフラット、

私が住んでいたフラットと

もう一軒隣りのフラットの計4軒を

所有していました。

 

イギリスには学生として来て、

イギリス人のご主人と結婚したものの、

ご主人の家族すら同情するぐらいの、

ひどいご主人だったそう。

 

その後離婚して(フラットを所有出来るぐらいのお金を貰って、

フラットそのものを貰ったかだったか、そういう話でした)、

一人暮らし。

 

大家業だけで生計を立てていました。

 
 
 

別の所に住んでいたとは言え、

近くだったので、

よく大家さんは所有しているフラットに

足を運んでいました。

 

確か週に1度ぐらいは来ていました。

 

一人一人の部屋に入ることはなかったものの

台所やトイレ、バスルーム等の共有の場所を

定期的にチェックしていました。

 

何人かのフラットメイトは大家さんが

「これを綺麗にしてください」とか

「○×には注意してください」等の

タイプされたメモ書きが残されたりするのに、

干渉されているようで嫌と不満を持つこともありました。

 

私はと言えば、最初に大家さんに会った時に

キチンとやることをやっていれば、

問題はないだろうというのは分かっていたので、

そういうことは全然気になりませんでした。

 

大家さんとは仲良くしていましたし、

よく台所で長話をすることもありました。

 

 

 

そもそも、大家さんは最初から

私のことを気に入ってくれたようで、

ロンドンが初めてという私のために

引越してきたその日に「歓迎会」と称して、

彼女の物件に住む、日本人の女性達全員を招いて、

彼女のフラットのお庭でパーティーをしてくれました。

 

そこでフラットメイトだけでなく、

他の物件に住む日本人の女性にも会えたので、

有り難いと思っていました。

 

海外に長く住んでいる日本人の人に会うと

いわゆる日本を出た時から

日本での時間が止まっているという

タイプの人に会う事がありますが、

大家さんもそのタイプだと思いました。

 

細かくキチンとしている方でした。

 

 

 

ただ、あれ?と思ったことが一つ。

 

ガスのボイラーが壊れたり、

上のフラットから水漏れがあった時等、

普通は大家さんに連絡をして、

そこから大家さんが対応してくれるはずなのですが。。。

 

「英語の勉強になるし、

いい勉強になるから、

ご自分でやってください」と

最初からなぜかいつも私が対応することになり。。。

 

「こういうことこそ、大家業の一つなのでは?」と

いうのはありながらも。

 

誰かやらないと困るので、

私がやっていました。

 

ボイラーの場合は幸い、

契約していたガス会社の保険に入っていたお陰で

24時間以内に対応してくれるシステムだったため、

そんなに大変ではありませんでしたが。

 

大家さんの言い訳は別として、

確かに自分のため、

この国のシステムを知ることや

電話で交渉、対応する勉強にはなりました。

 
 
 

大家さんにはとても信頼されたようで、

彼女のホリデー中、大家さんに代わって、

電話で、部屋に興味がある人への対応をしたり、

見学に立ち会ったり、説明をすることもありました。

 

そのお礼にと、彼女のボーイフレンドの男性が会員の、

いわゆる昔、紳士のためのクラブ

(今では女性も入れますが)に連れて行ってくれて、

ご馳走になったこともあります。

 
 
 

最終的に出ることを決めたのは、

ロンドンには慣れたこと。

 

イギリスに住んでいるのだから、

日本人ではなく、

イギリス人の大家さんの所で

こちらの暮らしをしたいと思ったことでした。

 

他に、水周りのトラブルが続いたことも

出ることを決める大きな要因になりました。

 

よく風水的にも水周りがよくない所は

よくないと言いますよね?

 

水周りの問題がある話しをした時にある友達に

「そこはもう出た方がいいね」とアドバイスもされて。

 

私の中でもそういう時期かなあ、

このまま居たら居たで居心地は悪くないけれども、

動かなかったら、滞る、ぬるま湯の中にいるような

感じになってしまうとも思いました。

 
 
 

大家さんは私が出ると言った時はガッカリして、

「何とかずっといれませんか?」と引き止められました。

 

住いを出る時に最初に払った

デポジットが戻ってきますが、驚いたことに。。。

 

ベッドのヘッドボードが少しゆらゆらしていたので、

「その内、買い換えましょうね」と

数ヶ月前に言っていた大家さんでしたが、

それがダメージの分として

デポジットから差し引かれていました。

 

そして、大した金額ではなかったはずですが、

一つお茶碗が足りないだったか、

ヒビが入っていただったか覚えていませんが、

その分を誰がやったか分からないので、

3で割った金額(私の他に2人フラットメイトがいたので)で

差し引きましたとありました。

 

全部のお茶碗類もチェックして、

数も数えたという事実にも驚きました。

 

家具付きの住いというのは

こちらではよくありますし、

退去する時に大家さんがチェックするというのは

慣例的にはあることですが。。。

 

揃えてあるのは、安くて、

価値のあるものではなかったですし、

そういうものが壊れたり、

無くなったりすることも計算の上での家賃。

それなりの金額の家賃でしたから。

 
 
 

今の主人とその時は

もうお付き合いをしていたので、

それを知って、彼は呆れて、怒っていました。

 

既に差し引かれた金額の小切手が

送られてきたので、

ここで文句を言ってもしょうがないですし、

彼女の中では理屈が通っていることなので。

そのままにしました。

 

 

 

その後、私の後に入ったという若い日本人女性の話を

フラットメイトから聞きました。

 

「大家さんが勝手にフラットの中に

不必要に入って来るのが嫌」と言って、

それができないように、

その女性が内側から鍵をかけるようになったと

笑いながら、話していました。

 

ロンドンの住いの状況は年々厳しくなっています。

 

買うのも借りるのもどんどん高くなっていて、

ロンドンに住み続けるのは大変だと思います。

 

そういう状況で、貸す側もそれを利用して、

悪質なケースを耳にすることがあります。

 

貸していることを内緒にしている場合

(貸してはいけない物件だったり、

税金申告を避ける等の理由で)だと思います。

 

その場合、よくあるのは契約書がなかったり、

全て現金払いで、領収書が貰えなかったり。

 

この国は契約社会です。

 

絶対、契約書、領収書は

何かがあった時の証明に必要です。

 

それが無ければ払わないで下さい。

 

ちょっとだけ安いから、

しょうがないとそういう所に住んでしまうと。。。

 

突然、退去を命じられたり、

退出時にデポジットが戻ってこないことがあったり。

 

それで泣き寝入りする人の話も聞きます。

 

リスクがそこにはないか?というのを

これからはますます慎重に

調べる必要があると思います。

 

私の場合、大家さんが

ちゃんとビジネスとして申請もして、

きちんとしていたので、

そういう心配は一切しなくて大丈夫でした。

 

そういう意味での安心を買っていたとも思います。