福岡を離れる日の午前中、

兄と最後に話が出来るようにと30分程、

近所に散歩に出ました。

 

何年か前に飼っていた愛犬が

17歳で亡くなってからは、

近くてもこの辺りは歩くことがなくなっています。

 

それまではずっと土手を散歩させていたので、

いつも通っていたのに。。。

 

 

離れる前に、せっかくだから、

山に囲まれた景色を

一目見るのもいいなあと思いました。

 

 

ロンドン周辺は高い山はありません

(丘には囲まれていても)ので、

今となっては、山が目前に広がる景色が

身近にあるということが

とても貴重に感じられます。

 

しっかり瞼に焼き付けてきました。

 

 

 

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今回の日本滞在でも新旧含めて、

素晴らしい人達との出会いがありました。

 

 

タイトルの「奇跡と感謝に満ちた」というのは、

人との繋がり、ご縁について文字通り、

そう感じることの連続でした。

 

 

幾つも書きたいことはあるのですが、

まず一つ、とても印象的だったことをご紹介します。

 

 

福岡で、10年以上ぶりに

歯の治療に行った時の話です。

 

 

今住んでいる所の近所で、

昨年の夏、歯医者の治療を受ける際、

色々とトラブルがありました。

 

 

簡単に言うと予約が取れないということでした。

 

2ヶ月待ちだったり、1ヶ月待ちだったり。

 

そして何人も歯科医が所属している所だというのに、

その時、その時に空いている歯科医に

変更することもできないと言います。

 

そして、その場合は最初から治療をやり直すので、

またレントゲンを撮るから始って、

料金も課されるというなぜ???というシステム。

 

 

それで、最初に一回行っただけで、

そこの歯科は止めてしまいました。

 

何せ次の予約が8週間後。。。。という。。。

 

 

 

 

そもそも、痛みがあったので、行ったのに、

行った日に痛みがないからと何も治療もせず、

ただレントゲンを撮っただけで終わろうとした

歯科医にもガッカリさせられました。

 

 

ごり押しをして、「次の予約まで長いから、

その間痛みが出る可能性があるけれども

どうしたらいいの?」と。

 

 

そんなの知ったことじゃないという

態度を取られました。

 

 

でも、こちらは必死。

 

「レントゲンの結果が分からないから」という

言葉で逃れようとする歯科医を制して、

「このままじゃ帰れない」と言って、

詰め物が取れた歯の救急処置だけはしてもらいました。

 

 

 

 

それから、かなりの時間が経ち、

今回、日本にいる間に福岡で

中学の頃からずっと行っている歯科に

行くことにしました。

 

とはいえ、短期間の滞在で、

間に合うのかは分かりませんでした。

 

 

先生はもう80を超えていらっしゃるはずで、

息子さんがメインで歯科をやっていらっしゃいますが、

先生と歯科衛生士の奥様は

夕方だけは出ていらっしゃるそうで、

まだ現役です。

 

 

久しぶりの再会に先生、

奥様がとても喜んでくれました。

 

 

兄がここ何年かはこちらの歯科に通っていて、

いつも奥様と話を色々とさせてもらって、

日頃からお世話になっています。

 

私が来ることは兄から聞いて、

待っていてくれました。

 

 

初日に「先生の所には元々、

同級生のCちゃんから聞いて、

来るようになったんですよ」と言うと。。。

 

 

奥様が「え?今ここにいらっしゃるのは

Cちゃんのお父様ですよ」と

私の隣りの治療台で治療を受けている男性を

指差すではないですか。

 

 

Cちゃんと最後に会ったのは、

東京に遊びに来てくれた

20年ぐらい前のことです。

 

 

お父様から連絡先を貰って、

彼女の消息も分かって、

まずこの奇跡のような出来事にびっくり。

 

 

そして。。。

 

 

歯の治療ですが、

結局、私が滞在した間、

毎日通うことになりました。

 

先生は一生懸命、

この短期間で

治療を終わらせてくれようとしてくれました。

 

 

でも。。。最終的に分かったのは、

神経がもう駄目になっていて、

少し、時間を置かないと治療をスタートできないのがわかって、

時間切れでした。

 

 

最後の日に「ごめんね~。

治療をあっちに持って帰ってもらおうと思っとったっちゃけどねえ。」

(博多弁です)としきりに恐縮する先生。

 

 

「あっちで、すぐに予約ば入れて。

すぐ治療を終わらせてもらえばいいけんね。ごめんね~。」と。

 

 

そして、何と治療代をガンとして受け取ってくれません。

 

「最初から、貰うつもりはなかったっちゃけん。」

 

 

私「ええ?そんな?先生それはちょっと。。。」

 

 

先生「よかと。縁があるっちゃけん。

今回、会えて嬉しかったけんね」

 

 

もう、その言葉に胸がいっぱいでした。

 

 

先生、奥様には普段、難しい兄の話に付き合ってもらって、

兄のことはこちらのご家族の皆さんがよくご存知で、

上手く相手をしてくださっているのにも

感謝してもしきれないぐらいなのに。。。

 

 

通っている間、奥様と兄の話も長時間して、

こんなによく兄のことを思ってくれて、

分かっている方達がいてくれるのにも有り難いなあ

という思いもいっぱいでした。

 

 

人の優しさ、情に触れて、

もう涙が溢れそうでした。

 

 

有り難く、先生のご好意をお受けして、

「今度は治療ではなくて、遊びに来ますね。

先生も奥様もいつまでもお元気で」と

お別れをしてきました。

 

 

 

 

さて、こちらに戻ってきて、

歯科を変えました。

 

が。。。。やっぱりイギリス。

 

登録するだけでも、

色々と難癖が付き、

嫌な思いもして、

これで一気にイギリスモード切え替えスイッチが

稼動し始めました。

 

 

「治療を海外でスタートしたから、

後はそれを終わらせるだけ」と言っても、

頑なに「コンサルテーション無しでは何もできない」と言うのを

渋々受け入れて。

 

その予約が取れたのは2週間後。

 

それでも、1ヶ月先でないだけでもいいでしょう

という気持ちです。

 

 

G先生と奥様からいただいた優しさの記憶は

まだ私の胸の中でしっかり残っています。