ロンドンに住むようになってから、
歴史を知ることの面白さに目覚めました。
イギリスという国の歴史もそうですが、
ここ何年かは自分が住んでいるエリアの歴史を
知ることの方にその興味が移っています。
以前住んでいた北ロンドンでは、
地域の教会に通ったり、
コミュニティーセンターで働いていたことも手伝って、
自然と地域の歴史を知る機会には恵まれていました。
住んでいる所の歴史を知ると
その場所に対する愛着も増していくものなのですね。
そんな愛着のあった北ロンドンを離れて、
ロンドン郊外、それも南に移ってきて
(また別の機会に書きますが、
北ロンドンに長年住んでいると南ロンドンには住めない、
またその逆も然りという話よく聞きますよね!)、
新しい生活が始ったのは数年前のことです。
主人の家族以外は誰も知り合いもいなければ、
そもそも郊外に住むこと自体生まれて初めての経験でした。
最初の一年ほどは仕事(ロンドン)と家の往復で、
ここにいる時間は週末のみ。
買い物をする場所が分かって慣れたという程度で、
その段階ではこの辺りの歴史については
ほとんど知りませんでした。
その後、近くの図書館で、
今住んでいるエリアで生まれ育った女性の
回想録を見つけたことがきっかけで、
このエリアの歴史を知ることになります。
彼女の本は2冊あって、
1冊は戦前、戦中、戦後まもなくの思い出。
そしてもう1冊は彼女の祖父母に遡り、
彼女の子供時代の話までが書かれたものでした。
それらの本を読んでから、
一気に今住んでいる地域が
身近に感じられるようになりました。
その前は単なる名前に過ぎなかった通りが
「ああ、あそこに彼女の家があったのね?」や
「ここは昔はこんなお店が並んでいたのね?」等、
急に興味の対象へ変わり、その頃はどうだったのだろう?と
想いを馳せるまでになりました。
その後、今度は興味の対象が
今住んでいる家の歴史へ移りました。
図書館に行って、昔の「国勢調査」を丹念に見ていき、
家がいつ建てられたのか、建築家について、
住人の名前、職業、年齢など
かなり細かいことまで調べました。
そして住宅地になる前の
ほとん更地だった頃の地図も見つけて、
ロンドン行きの汽車が停まる駅が出来る頃から
どんどん街が発展していく様子も
地図で確認して、
歴史の流れも垣間見ることができました。
今ではすっかり住んでいる場所に親しみが湧いて、
まだ他に発見できることはないかと歩いている時に、
あちこち目を凝らしています。
住んでいる場所の歴史を知る、
ぜひお勧めです。