コウノトリ但馬空港で馴染みの職員さんと再会したら、FAMトリップのスタートです。

今回は首都圏に住む主婦ブロガー三人が、豊岡の但東町で古民家ステイをし農業体験に触れる体験をするツアー。それぞれが何を感じるか?暮らすように過ごす秋の恵みのファームステイをします。

但東町を中心に城崎や出石、朝来まで足を伸ばしてドキドキわくわくの行程です。

 

 

コウノトリ但馬空港からまずは城崎温泉へ。

位置関係はこんな感じでまっすぐ北上、車だと約30分の距離感です。

城崎温泉駅から商店街を徒歩で進み、魚屋「おけしょう」さんの角を折れた先。

城崎温泉のほぼ中央に位置する、昨秋リニューアルしたばかりの「城崎文芸館 KINOBUN」に到着です。

 

 

城崎温泉観光協会もこの中にあり、文芸館と近隣は協会の職員さんにご案内いただきました^^

 

城崎温泉といえば文豪が好んだ町として知られていますが、中でも小説家の志賀直哉が湯治で訪れてから頻繁に来訪し、滞在中のことを書いた作品「城の崎にて」(1917年)は志賀作品を代表する短編として広く知られています。

(ちなみに志賀直哉の常宿は、以前に泊まった「三木屋」さんです。)

さらに当時パンとバターを朝食に食べていた洋食派の志賀直哉が、日本旅館ばかりで城崎にはなかったパンとバターを神戸から取り寄せてもらうように頼んだのは、老舗和菓子屋さんの「みなとや」さん。(その顛末はこちらみなとや若旦那さんのブログにて)

KINOBUNにもパンのことが展示されていますよ♪

みなとやの若旦那さんとはFacebookでつながっていて、お話しも間違いないとうかがっています^^

 

 

城崎温泉ゆかりの作家関連の展示や企画展を開催する「豊岡市城崎文芸館」は1996年に開館したそう。

20周年を迎えたことで斬新な感覚で展示を大幅にリニューアル。

海外からのインバウンド客も多く抱える城崎温泉らしくグローバルな視点と、より作家の心のひだに踏み入るような新感覚の展示内容になっている気がします。

だから「KINOBUN」と英語表記でもあるのね^^

 

 

おもな内容は常設展と企画展になっています。

常設展では城崎温泉の歴史やゆかりの作家たちに関する書物などを展示してあり、木造でひしめく建物が魅力の城崎温泉だけに大火に合い、かつて大きな痛手を負った悲しい過去の歴史などにも触れることができます。

 

 

温泉マニアが喜ぶ、江戸時代の温泉番付なんかもあったよ^^

そして入ったときも出るときも斬新な展示に驚いたのが、企画展。

ちょうど「湊かなえと城崎温泉」の企画展を開催中でした。(来年5月上旬まで)

 

 

湊かなえさんは広島県因島出身のミステリー作家さん。

主婦から転身し、公募ガイドを買って川柳と脚本を投稿し始めた・・・という私はとても親近感の湧くプロフィール。

 

過去に本屋大賞、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞を受賞。

「告白」や「白ゆき姫殺人事件」など映像化された話題作も多いですね。

 

 

城崎温泉が大好きで、毎年年末にリピートするほどだそうで、いろんなご縁があって企画展開催の運びになったのだとか。(ちなみに第一弾は万城目学さんです)

人間の影の部分、さがというか暗く日が当たらないところに静かに電灯の灯りを照らしていくような作家さんの印象で、柳並木が揺れる城崎温泉の古風な雰囲気にマッチするんですよね。

 

 

作品をイメージした展示以外にすごく面白かったのが、作品とは関係ない湊かなえさん本人の「主婦」という肩書を強く出した展示品。

メモの裏は地元スーパーのチラシだったり使用済みカレンダーだったり。なかなかユニーク!

 

 

そしてこの短冊は、実は実際の原稿用紙に書かれた、湊さんへの100の質疑応答のQ&Aが綴られています。

それも珍回答というかなかなかユーモラスで、愛読書が某・通販カタログだったりカラオケの十八番が「セーラー服と機関銃」という歌が飛び出したりと、クラスのママ友的な親近感ありあり(笑)。

 

 

企画展の終盤は二階へと続き、彼女の作風らしくミステリーな終わりかたをします。

ぜひリアルに、言葉はいらない湊かなえワールドを感じてください。

私、展示で驚いたのは人生で二回め? 「ガウディ×井上雄彦展」以来だと思うわ・・・

 

 

ちなみにこちらは館内のグッズ売り場で販売している、湊かなえさんのかきおろし「城崎へかえる」。

蟹で有名な城崎をイメージした蟹足風のケースに入り、身を抜くようにスライドさせて本を取り出すゆで蟹を思わせる装丁・・・ 凝りすぎだ(笑)!

 

 

この本がすごいのが、城先を舞台にしたオリジナルの短編で城崎温泉でしか販売しないということ。

人気作家の作品が他では出版・流通せず、このネット時代に手売りのみ、まさに顔と顔を合わせ手から手へと文学が流れていく姿ということです。

この城崎のこだわりと熱意をもって発案した企画を完結する力は、豊岡のいろんな場面で見ることができ、だからこそ私も湊さんと同じように「行く」ではなく「帰る」と言いたくなるひとり。

ぜひ城崎温泉へお越しになって、足湯に浸かりながら、お宿の露天風呂に半身を預けながら月の光に照らして読んでほしいです。
 

 

表には手湯と足湯。

文芸館の前には電車にはねられた傷を湯治するためにこの地へきた志賀直哉が書いた「城の崎にて」の一節を刻んだ文芸碑がありました。

 

 

説明によると、滅多に署名をされない志賀直哉があまりに城崎を気に入って”去りがたい”と珍しく「直哉」とだけ記名されたのだとか。

直哉の「哉」の字は右の大きな払いがある字ですが、「はねない」でとめの形の字が印象的です。

 

 

城崎文芸館(KINOBUN)

兵庫県豊岡市城崎町湯島357-1

JR城崎温泉駅より徒歩5分

0796-32-2575

9時~17時

毎月最終水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始休館※変更の場合あり

入館料:[大人]500円[中高生]300円[小学生以下]無料

 

但東町

豊岡市

小谷の家KAZABI

 

前回までの旅行記

【豊岡市但東町FAMトリップ】豊岡応援隊ふたたび! 今回は但東(たんとう)ファームステイ

https://ameblo.jp/tomocodocomo/entry-12311635137.html

 

【豊岡市但東町FAMトリップ】コンパクト空港で貴重な搭乗体験を「コウノトリ但馬空港」

https://ameblo.jp/tomocodocomo/entry-12312582076.html

 

 

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