あの人、お父さんじゃありません。
全然知らない人です!

 

 

 

 

 

 

「クリーピー・偽りの隣人」観ました。
レビューですが、いつも通り自分の感想に過ぎません。
一般的なレビューとはかけ離れていることで、気持ち悪いことも書きますので、そういうのが苦手な方はすっ飛ばしてね(;´Д`)ノ
あと、これから観るよ!っていう人もネタバレを大いに含みますので、観た後にご覧いただければ・・・と思います。




















心理学を学ぶ上で、犯罪心理学は外せません。
なぜ人は罪を犯すのか、その深層心理をえぐっていくことが人間の心を形成している光の裏の闇を見つめることにつながるからです。


主人公の西島さん扮する、現大学教授の犯罪心理学者・高倉は元は警視庁で捜査一課に所属していた。
ある連続殺人者の取り調べ中に、犯人が逃走、挙句にフォークで刺され負傷したことをきっかけに警察を退職、犯罪心理学の教卓に立つことで大学に職を移し、竹内結子扮する妻とともに新しい家に引っ越してきたばかり。
ところが大学で弁を取る傍ら、犯罪心理に対する好奇心を捨てることができずに、元後輩の持ってきた一つの事件をもとに、未解決事件を追う手助けを始めてしまう。

「日野市一家失踪事件。」

被害者がいないにも関わらず、警察で事件性があると踏んでいる事件。
だが高倉の嗅覚が反応する。これは事件性のある失踪だ、と。
そして同時に奇妙な隣人との交流が始まり、物語は不協和音を奏でて軋み出していく・・・

と、これは私の書いたあらすじで(笑)、正しくは公式サイトのストーリー紹介をどうぞ。



私の観終った一言は、「これは映画館でやるべき話ではないな。」ということ。
隣人のサイコパスを匂わせて話は進んでいきますが、追っていくうちに私が感じたのはこれはサイコパスの話ではなく、過去の犯例をなぞっているだけの話にしか過ぎないな、という点からです。
よくありますよね?
松山ホステス殺人事件の整形し逃亡生活をつづけた女のドラマや、同じく整形して逃亡した英会話教師殺人事件の青年のドラマなどです。
実際に起こった事件をもとに、犯人がなぜそのような行動に至ったかを追っていく。
それに近い。
「クリーピー」の感想を検索して探しても、「気持ち悪い」とか「怖い」という感想ばかりで、誰も書いている人に当たらなかったので、私の勝手な思い込みかもしれませんが、

これは北九州で起きた一家監禁事件をモデルにしている、明確なる目的がそこに存在しないサイコパスというよりもターゲットの思考を掌握し奪い完全なる支配下に置く、集団心理・深層心理操作(マインドコントロール)によるストーリーと思います。
だから、序盤で高倉が学生たちに話す、
「犯人の分類は3つのタイプがあり、一番未解決なのは混合型です。」
というシーンがあって、そこがキーポイントのように使われているようですが、真相はその混合型とは一線を画す犯人のパターンが現れてるようで矛盾を感じます。
他にも腑に落ちないシーンが何ヶ所か。(これはまた追記するかも)
キャストの演技で救われているところも大きく、たぶん観た人はみんな
「香川照之が怖かった。」
と口々に言うような作られ方です(笑)。
でもこれをドラマ枠にせず、劇場映画枠にまで持っていくなら、どうやって犯人の香川照之演じる矢沢が、みんなを取り込んでいったか、その手法は明かさなければエンターテイメントにまで落ちてきません。
主人公・高倉も犯罪心理学者でありながら、犯人の心を読もうとしません。
これも最大の違和感の元です。
「スペシャリスト」の草彅くん扮する宅間のように、犯人の心を読むために、その心に入り込みあやういのが犯罪心理学者に近い姿ではないかと・・・
過去の犯罪をもとにした人間関係を追うなら、「ストロベリーナイト」などと同じく、ドラマでよいのです。
あれではただ薬で被害者たちが誘導されていったように作られています。
そうじゃないんです。

人間が同じ立場であるべき人間を管理し、心理を操り、誘導し、人としての尊厳を奪うから空恐ろしいんです。
巧みに誘い、自由意思のあったはずの人間を絡め取り、思考を奪い空っぽにするから犯罪なんです。
映画であるならばもっとそこを掘り下げるべきでしょうと私は感じました。
(ただ原作と映画はいろいろと違うようですね。)


<追記>
ただし、取り込んでからの依存を高める行動はかなりありました。
✔たまに威圧的・暴力的になり恐怖心をあおる。
✔娘役の子に自分と同伴させた場で優しく振舞う。
✔「悪いのはお前だ」と言って相手に自分を責めさせる。