ひょうごツーリズム協議会さんのあいたい兵庫キャンペーン、
「物語(ドラマ)チックに愛たい兵庫ブロガーツアー」。
旅行カートをカラカラ引いて、篠山市立・青山歴史村へやってきました。
この時点で4時。
最終受付は4時半なため足早に回ります。
青山歴史村には、篠山藩主・青山家の明治時代の別邸であった桂園舎を中心に、3つの蔵と長屋門があります。
これまた先ほどの春日神社とどっこいどっこいに左右対称できれいに保たれた施設ですね~。
実はこの青山歴史村。
知らなかったのですが、東京と丹波を結ぶゆかりのある場所でした。
篠山藩主青山家は、かつては松平広忠・徳川家康の2代に仕え、6代目青山忠成(あおやまただなり)は江戸奉行・関東総奉行を兼任した人物でした。
その後、青山氏は丹波国亀山に国替えとなり、さらに、篠山へ移され、
以後、明治維新まで篠山藩主としてこの地に存続したのでした。
遠く離れた東京と丹波篠山ですが、時代と距離を飛び越えて、ここ青山歴史村がワープのトンネルとなってつながっているとはまさに不思議!
藩の2代目青山忠高は、儒学者を登用して藩校・振徳堂を建設し、藩士の教育と文化発展に努めたそうで、4代藩主・青山忠裕はさらに藩校を増築し、青山家の功労はのちの篠山の発展には欠かせないものとなりました。
こちら青山歴史村には、そうした藩校の資料もたくさんあるようです。
こちらの入り口にあたる長屋門は、篠山藩主・澤井家にあった茅葺門を移築したもの。
しっかりした構えで、茅葺屋根の立派さにしばし見惚れる私
いやいや早く回ろうぞ(汗)。
入館料:大人300円、大・高校生200円、中・小学生100円。
ちなみに篠山城大書院と武家屋敷安間家資料館、歴史美術館と、ここ青山歴史村の4館セットの入場券は大人600円でした。
庭の中央にでん!と何やら棺のようなものがあるので近寄ってみます。
「金櫃(かねびつ)」
こちらも篠山市指定文化財で、篠山藩政時代に使用していた石でできた金庫ですね。
篠山城の大手門馬出の北側(今は三井住友銀行篠山支店の敷地)には、篠山藩の金融取引を行っていた掛所があったそうで、その土蔵があった床下の土の中にこちらが埋まっていたのだとか。
石は花崗岩の板石を組み合わせた形の櫃で、縦216㎝×横120㎝×深さ70㎝と意外と大きく、石の厚さは12㎝もあります。
しかし金庫があったところに今は銀行があるというのも風水や何か関係があってのことかしら??
庭の奥には家紋の入った瓦が飾られていました。
青山家の家紋は無字銭だったそうです。
左奥には符号が刻まれた石垣の石が。
符号は篠山城の築城にあたって、伐り出した作業をした大名たちが「俺が作業したのだよ。」という顕示欲のようなものでサインしたと言われています。
他にも名古屋城や金沢城、丸亀城などでもよく見ました。
「鼠草子絵巻」
また、壁沿いに絵がありました。
可愛らしいタッチの壁に描かれたこの大きな絵は、「鼠草子絵巻」の模倣で、鼠草子絵巻自体は、篠山市の指定文化財になっています。
作者はわからないそうですが、鼠を擬人化した室町時代の民衆風俗の絵物語で、お嫁入りにまつわる不思議な物語になっており、別棟の版木館二階にもっと詳しくあるそうなので、後でそちらへ向かってみることにします^^
庭の裏手には万尾時春の碑。
篠山藩士・万尾時春は独学で数学を学び、測量書「見立算規矩分等集」の著者。
篠山は本当に勉学に秀でた土地ということがよくわかりますね。
ここから少しお庭の散策をしてみます。
水が流れる溝のそばには彼岸花。
まだ色づかない栗の実。
色づき始めた柿。
毎年丹波へ秋に来るもので、逆に秋を丹波で知ることが多いです。
「桂園舎」
青山家の別邸。
中には資料展示があり、裏手の玄関から靴を脱いで見学することができます。
八上城の古い資料。
さきほどの壁の絵、「鼠草子絵巻」についての説明がありました。
篠山藩主青山家に伝わる長さ26メートルにも及ぶ御伽草子で、
右から左へと物語は進んでいきます。
嫁入りの際に持参した本と言われているのだとか。
仏教色の濃い教訓性のあるストーリーです。
とっても可愛らしい頬が緩んでしまう絵に、こちらではわかりやすい解説が加えられていますよ。
日本昔話の原点のような物語には、人間のさがであったり、一族の結託など当時の風俗が色濃く表れています。
思った以上に青山歴史村は面白く、足早に見回るのが後ろ髪を引かれる思い・・・。
桂園舎もただいるだけでもほっこりと癒される建物です。
昔の木造平屋建築は寒かったかもしれませんが、通気性がよく、このように風がよく通ります。
利便性を追求するばかりに外と内を遮断し、その弊害に息が詰まるような気がするのは私だけでしょうか。
今、古民家が注目されているのもこうした風通しのよさ、風合いのあたたかさがあると思います。
「版木館」
最後に版木館にやってきました。こちらも靴を脱いでスリッパに履き替えて上がります。
こちらには"撮影不可"と看板が。
「ブロガーツアーで」と言えば撮影できたのかもしれませんが、例外としてその線を越えてしまう怖さと、この後誰かが回ってくれたらいいなという思いで回っているので一般入場の場合と同じ条件で回りたいと思いました。
非公開のもので「公開してほしい」と主催者のほうから言われたもの以外は、これからも公開しない所存です。
後で旅した人の初見の楽しみも奪わないようにね♪
こちらにもそういう初めて見たときの驚きがたくさんある資料が飾られています。
版木館の入り口を入ると、1階正面にまず黒い板が掲げてあります。
なんだろう?と近づくと一つ一つにきっちりと深く掘られた漢字の反転のよう。黒かったのは刷った際の墨の色だったのですね。
これらは全国的にも珍しい藩士の教育のために印刷し刊行した、漢学書関係の版木(印刷するために彫られたもとのハン)の原本で篠山藩が翻刻したもので、篠山市指定文化財です。
当時300名という生徒が身分の分け隔てなく教養のため志高く学んでいた藩校「振徳堂」のようすが伝わる貴重な資料です。
なんと1200枚以上という版木が大量に保管されていて、私もごく至近距離で展示を見ましたが、幸いにも堅くて歪みにくい桜材を使用しているため、当時そのままの姿で保たれています。
字のとめ・はねの強弱の美しさ、細い線の凛としたのび、優雅なカーブの美しさ・・・
これが手彫りの技術で完全な形で残っていることに感動すらおぼえます!
これは絶対生で見てほしい!!
これだけ美しい字を書くだけでも至難のワザだと思いますが、下書きし、反転し、木に彫っていくわけですから気の遠くなる作業をこのクオリティでと思うとうなってしまいます。
まれに失敗した箇所の修復ワザを発見できるのも、生の版木を見ることができるからこそ。面白いです。
古い建物ですので小さい階段を上るとぎっしぎっしと木の音がします。
昔の人は小柄だったんでしょうか。天井も低いんですね
2階には篠山城石垣修理伺いの図面や藩政始末略、印判、くだんの鼠御伽草子など、江戸時代の歴史文化史料の数々が所狭しと飾られています。
なんと帰りに聞いたら、この鼠草紙のレプリカは世界に4本のみ。
こちらとNY州立図書館、東京国立美術館、サントリー美術館の4か所にしかないそうで、本当にとっても貴重なものがひっそりと息をしている場所なのでした。
青山歴史村、必見です。
兵庫県篠山市北新町48
079-552-0056
9:00-17:00(最終受付16:30)
<つづく>
いってきま~す。
http://ameblo.jp/tomocodocomo/entry-11927486135.html
秋の丹波に行ってきました!
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「物語ちっくに愛たい兵庫」
