それからというもの
オカンは毎年年末が来ると
自分のインチキ絵画を近所に配るという
悪行を恒例のように行うようになった。
年賀状にいたっては
干支の絵を描いて(もちろんインチキ)
それをオレにスキャンさせて、忠実なプリントアウトを
要求するというのが何年も続いた。
オレにとっては迷惑でしかないハナシなのだが
まぁ、ずっと辞めないで続ける姿勢は正直アタマが下がるし
親孝行だと思い、黙って言う通りにしていた。
ただ、年賀状にプリントアウトして持って行った時に
毎年必ず聞いてくるのが
「コレ、ホンマに描いたように見えへんかな?」
「。。。。」
見えへんに決まってるやろ!
え、仮にオレが「見えるんちゃう?」って言ったら
直に描いたで通すつもりなのか?
インチキの上に更にウソを塗り重ねようとする
貪欲さには、我が親ながら恐ろしさすら覚える。
そんな折
オカンから電話があった。
いつもの声と違って妙にヨソヨソしい。
気持ち悪いなと思って聞いてたら
この春に近くの美術館で展覧会をするらしい。
今回は頑張って大きめの絵を描いたらしいので
出来たら観に来て欲しいと言うのだ。
展覧会は毎年やっているはずだが
観に来いと言われたことは一度もない。
今回はさぞ頑張ったのだろう。
まぁ、場所も近くやしな
休みの日のどれかにちょっと寄るわ、
と約束して電話を切った。
そしてGWのちょっと前の日曜日。
その日はバンドの練習があったのだが
ちょっと早めに出て、美術館へ立ち寄った。
続く。