展覧会のテーマは「桜」らしい。
生徒それぞれが全員
自分なりの桜の花を描いたのだそうだ。
会場に入ろうとすると
受け付けに座っていたのはオカンだった。
見た事もないワンピースのドレス
胸には花のブローチ
そして蚊の鳴くような小さい声で
「来てくれたの。。。ありがとう。。。」
脇汗が出るぐらいドン引きしたが
とにかく見るだけ見て、さっさと帰ろう。
てな感じで、ソソクサと会場に入った。
会場に入ると
オレの目に飛び込んで来たのは
入り口からまっすぐに付き当たった
真正面の壁に飾られてる1点の絵だった。
それは50号はあろうかと思われるほどのキャンバスに
見事なくらい凛々しく
艶やかな桜の大木が描かれていた。
あえて言ってなかったが
毎年毎年、年賀状の絵をやらされているせいもあり
オレはオカンの絵のタッチは完全に熟知している。
その真正面に飾られてる大きな桜の絵は
まぎれもなくオカンの絵のタッチだった。
オレは何の疑いもなく、その絵だけを見つめて
真っ直ぐ歩いた。
絵の近くまで来た時にはもう確信していた。
間違いない、これはオカンのタッチだ。
スゴイじゃないか!オカン。
こんなデッカイ絵を一番良い場所に飾られてるなんて。
さっきのドン引きから一転して
オレはちょっと感動すら覚えていた。
続く