皆様こんばんは。
ブラックプールに着いて、今日で6日目の夜です。
昨日、5日目はプロライジングスター戦でした。
毎年、毎年、2次予選(ベスト160)止まりだったのが、苦節六年目にして、ようやく3次予選(ベスト96)まで行くことができました…!
ブラックプールは結果の貼り出しがなく、次のラウンドが始まるときに、司会のマーカス・ヒルトン先生が直接背番号を読みあげる形式です。
第3次予選のコールで自分の番号が呼ばれたときは、思わずガッツポーズでした!
シード選手が入った3次予選はフロアのスピードが一気に上がり、その中で生バンドに乗って踊るのは最高の気分です。
ただ、さすがに次のラウンドへは、進めませんでした。
それに3次予選といっても、決勝まで行こうと思ったら、この先まだまだ、4次予選(48)、5次予選(24)、準決勝、決勝と踊らないといけません。先の方が長いのです。
しかし今回、自分たちがどうすればもっと良く踊れるかを考えに考えて、それを試した結果、それが以前よりも少しでも良い成績につながったというのは、自信になります。
たった一歩かもしれません。
でもこれまで毎年トライしても、いつもいつも「あと数チェックで96に残れない」という壁がありました。
今回は、そこから進めたというだけでも、たった一歩でも大きな進歩だと思います。
そして、こうすれば以前よりも進めるのだという手応えがあると、それをベースに、次は何をやっていけばいいのかが頭の中でクリアです。
来年は4次予選を目指して、頑張ります。
それにしても、ウサギとカメの童話で言ったら、私たちは確実にカメですね。
ダンス界一の鈍足かもしれません。
例えば、これまでは、全英選手権はハイレベルなので、自分の120%を出さなくては太刀打ちできない、と思っていました。
でも今回のイメージはそうではありません。
100%が目標です。
しかも、99%でもない、101%でもない、きっちり100%です。
120%の力を出せるように…実に威勢のいい言葉です。
しかし。
普段やってもいないことを20%も上乗せするなんて、できるわけがないのです。
それよりも、いかに、普段大阪で練習するときの踊りと同じように踊れるか。
周りに世界レベルの凄いダンサーが踊っていても、いかに自分と比較せず、焦らずいられるか。
縦が長く横が短い、独特なエンプレスボールルームのフロアで、ちゃんと周りを見てLODの流れに乗り、状況判断してスペースを見つけ、アドリブを効かせられるか。
そういった上で、全力で踊る。
当たり前なこと、普段やってることを、きちんと出来た上で攻めて行く。
今回考えていたのは、そういうことでした。
それだけ普段、私たちは他のプロの先生と比べても、影響されやすいタイプなのだと思います。
今までを思い出しても、そうでした。
どういう事かというと、さすが世界最高のコンペ、見渡せば上手い人ばかりです。
しかし、周りのカップルと自分たちをついつい比べてしまい、あれもできてない、もっとこうしなきゃと毎回、焦りがありました。
でも、それが勉強することだと思っていました。
しかしそうやって、ブラック入りしてからは毎日、目にする新しい要素に焦り、朝から晩まで練習したあげくに、上手くいかなくて喧嘩もし、本番は肉体的にも精神的にも疲れを溜めすぎ、空回りの全力で踊るというのが、これまでのパターンでした。
でも、直前になって踊りを変えるとか、冷静に考えたらあり得ないことです。
向上心とか謙虚さは持たないといけません。成長というのはある意味、前の自分から変わらなくてはなりません。変えることに対する柔軟性は必要なことでしょう。
でも、変えてはいけないものや、変えてはいけない時期というものもある。「今回はこれでいこう」と自分で決断する勇気がいります。
こればかりはコーチャーの言いなりではなく、あくまで自分で責任を持たなくてはなりません。
だから120%ではなく、100%です。
足した20%に無責任では、意味が無いと。
今回、そんなふうに考えてます。
もちろん、練習の合間には、プロだけでなくアマチュア、シニア、UNDER21など、できるだけ多くの部門の、多くの選手の踊りを見て研究しています。
さまざまな発見があり勉強になります。
でも、そうやって得たイメージも、自分の中ですぐに取り入れるものと、試合が終わってからトライしてみようというものに頭の中で分けるように…。
謙虚でいようと思うあまりに、自分に足りないものばかりに目が行き、積み重ねてきたものを簡単に否定しまってはいけないと思います。
個人的には、去年から注目していた中国のJianan選手が、見事アマチュアライジングで優勝。
彼らは特別背が高いわけでもなく、特別に歩幅が大きいわけでもない。
しかし、何をやってもクリアなスペース、何をやっても美しいショルダーライン。
音を細かく拾い、緩急自在。
スイングの流れに自然に乗り、バランス自在。
そして、心からダンスを楽しんでいることがわかる笑顔。
おそらくまだ二十歳前後。まだあどけなさが残るイケメンで、近い将来、もし日本インターなどの試合に出たら、次世代のアイドル的に注目されて、一気に日本でも有名になるかも知れません。
でも、彼らのダンスを見て思うのは、自分は背が低いから、他人と比べてもっと大きく踊らなければ…とか、トリッキーなルーティンを入れなくては目立たないのでは…というような、他人との比較論でダンスを高めようとしているのではなく、あくまで、基本的なことをトコトン突き詰めて完成度を高めていくダンス。
それで、ブラックプールの大舞台でもじゅうぶん勝負になるし、フロアの上でも目を引くのだということを、分からせてくれる気がしました。
金曜日のプロボールルーム選手権も、楽しんで踊ってきたいと思います。
色々書いてる途中で寝てしまい、現在水曜日の朝です。
では、そろそろ用意して、朝練に行ってきます。