先日の大和ハウスのブログは、たくさんのダンサーの皆様にリンクして頂いた結果、最高で一日2000件近いアクセスを頂き、とても驚いております。
皆様ありがとうございます。
決して器用なほうではありませんが、時々こうやって文章を書くことで、楽しんでもらえたり、誰かの参考になったり、勇気づけたり、何かのきっかけやヒントになったりできたらいいなと思っています。
さて、今、ブラックプールへ向かう機内にて、この文章を書いております。
関空発、ヘルシンキ行きです。
今朝は近所の高津神社で必勝祈願をしてから、関空に向かいました。
先日のショーが終わってから10日間。
そのまま大阪に残り、生徒さんのレッスンが昼間だけの日は夕方から早退して練習場に行ったり、という感じで、自分たちのペース優先でコンディションを整えてきました。
これは自分で言うのも何ですが、ダンス界的には、非常識なやり方だと思います。
英国三大大会の前は、数週間前に仕事を切り上げて渡英して、レッスンを受けたり、自分の練習に集中するのが当たり前ですし、多くの選手がそうしています。
私は長年、教室事情でそういうことができませんでした。
そして、自分もそういう生活ができるようになりたいと、長年思っていました。
でも実際、プロになって十余年、ようやく初めて昨年そういう経験をしてみましたが、正直、あまり上手く行きませんでした。
イギリスで、トップ選手に混じって練習するというのは、確かに勉強になります。凄いスピード感の中で一歩も引かず攻めてゆくのは、素晴らしい経験値アップです。
この雰囲気にもっと若いうちから慣れていたら、また違ったかもしれません。
しかし、逆に、自分たちの出来てないところばかりに目が行き、気持ちが焦って、せっかく習ったことも見事に消化不良になってしまいました。
考えてみれば、学生の時の試験勉強だってそうです。
入試本番の直前になって、どんなに不安になっても、新しい問題集に手を出してはいけないというのがセオリーでした。
新しい問題集をやると、あれもできてない、これもできてないと、どんどん不安になってゆく。
それよりも、それまでやった問題集をもう一度やりなさいと、学校の先生から言われたものです。
つまり、トップダンサーになるには、他のトップダンサーと同じようなペースで留学しなければならない!それが出来ないのは不利だ!と思っていたのですが、多分、そうではなかったと思ってます。
あくまで、各自がそれぞれ試合に向けてどう自分を高めて行くか?という自分なりの進め方ありき、じゃないと意味がないと思いました。
その手段が、多くの先生にとって、渡英してレッスンを受け、練習して、準備するというものだったと。
なぜなら、理解力というのは人によって千差万別だからです。
レッスン中に、全て理解できる人。
3時間練習して、理解できる人。
10時間練習して、理解できる人。
3ヶ月くらいたって、理解できる人。
また、早く覚えるけどすぐ忘れちゃう人だっているだろうし、一度覚えたら忘れない人だっているでしょう。
私なんかは3ヶ月タイプです(^_^;)
習ったときは形だけはそれなりにスッとできるのですが、何故そうなるのかがなかなかピンときません。
だいぶたってから、何か別のことと結びついて、ああ!先生がおっしゃってたのはこういう事か!と気がつくことがよくあります。
そうなると連鎖反応みたいに色んなことがクリアになるのですが、そうなるまでが長い。いわゆるコーチャー泣かせです。
佳奈先生は反対に、羨ましいほどの天才肌です。
これは例えば、生徒さんにも言えることだと思います。
例えば、試合直前って緊張して先生にアドバイス求めたくなりますよね。でも、教える側にとっても、難しいのです。
なぜなら、試合直前のレッスンで習ったことだけを考えて踊って、本番上手くいく人と…
試合直前のレッスンで習ったことだけを考えるとそれまで出来ていたことが出来なくなって、上手くいかない人がいらっしゃるように思うのです。
そういった諸々のことを考えると、チャンピオンになるような先生というのは、ただ単にダンスが上手いだけでも、たくさん練習しているだけでもダメで、そういうレッスンの受け方とか、習ったことの消化の仕方が上手であるということも大切な条件だと思います。
私たちは今回、渡英せずに自分たちの練習に集中することで、たぶん直前にたくさんレッスンを受けられた他の選手よりは、知っている新しい情報は少ないかもしれませんが、むしろもともと持っている課題に改めて向き合い、二人でディスカッションしながら練習し、たくさんの発見があり、迷いがない状態に持ってくることが出来ました。
もちろん、これで簡単に成績が上がるほど易しい世界ではありません。
全てが完璧だと言い切れるわけでもありません。
しかし、自分で何を考え、どう努力し、その結果どうなったかを検証することが、次へとつながると思うのです。
要は、試験で大切なのは「満点」を取ることではなく、解ける問題を確実に全部解いて、「合格点」を取ることだと。それと同じではないでしょうか。
そういうのが、
「これくらいの成績を取りたい、というのは目標にはなりません。
なぜなら、ダンスの成績は自分ではコントロールできません。
自分でコントロールできることを頑張りなさい。」
というリチャード・グリーブ言葉の真意だと思うわけです、はい。
ってか、この言葉の真意に気がつくまで、○年掛かりました。遅すぎ!
飛行機は中継地のヘルシンキに着きました。
またブラックプールに着いたらアップします。では!