秋満ちて来ましたが、冷たい雨が降り、瞬く間に冬の気配。
心も体も温めないと...
なのでタイドラマ「Happy Birthday」
全13話。観終えました。
ターンナムはある夜、沼に身を沈めて命を断ちます。その日、彼女の弟トンマイは生まれました。
17年後。トンマイは自らの誕生日が、ターンナムの命日と成ってしまった事で、誕生日を祝った事は有りませんでした。家族の関係も良いとは言えない。
17歳の誕生日。トンマイは部屋を貰います。そこはかつてのターンナムの部屋。
自分の部屋を貰って喜ぶトンマイでしたが、そこに、ターンナムの幽霊が現れる。
本作は、あるひとつの自殺を機に、悔やみに囚われて人生を築けなくなってしまった縁者たちの、再生を描きます。
なかなか重めな内容に感じますが、前述、結構な笑い要素が散りばめられています。
前半は結構、笑わせて貰いました。
ターンナムとトンマイの触れ合いが非常に愛らしくて、ふたりを観ているだけで楽しくて堪りませんでした。
出会った時は慌てふためくトンマイに焦ったターンナムは、しがみついて揉みくちゃ、挙げ句はトンマイが箪笥に頭をぶつけて脳震盪!なんて、漫才のようです。
ふたりの縁は、意外と順応早いトンマイのお陰で、次々と進み、自殺の記憶が無いターンナムの過去を少しずつ紐解いていきます。そんなサスペンス的な要素をも楽しませてくれます。
ターンナムの元彼は、スーパースター、ティー。ターンナムはティーに伝えたいことが有るのでは?とトンマイは察していきます。
舞台はバンコクの西40Kmほどのナコーンパトム。なので、バンコクで活躍するティーに会うためにバンコクへと向かいます。
そこでターンナムはトンマイの手を握り、
「ごめんなさい。待てなくて...」
その言葉は、ターンナムの姿と共に、ティーに伝わります。
ターンナムとトンマイは、ターンナムが心から会いたい、伝えたいと願い、手を握る事で、ターンナムがトンマイに憑依し、その対象に声や姿を見せる事が出来るようです。
ティーはただでさえ、ターンナムとの過去を引き摺り、仕事や夢に情熱を込められず、自暴自棄寸前まで悩んで居たので、現れたターンナムに、パニックに陥ります。
ティーは仕事を放り出して、ナコーンパトムに帰郷、彼も置き去りにした過去を掘り返し始めます。
学校の用務員のタイさん、教師でティーと幼馴染みのパナ、そしてトンマイの親友で実はトンマイが行為を抱くノイナ、そしてノイナの母でターンナムと同級生のチョンプーが、話に絡んできます。"実のところ"は有りますが、彼等の17年の精算は、互いが向き合い、受け入れ合う事で、順調に成し遂げられていきます。
トンマイが現れて、卑屈なほど不安がる彼等でしたが、"救い"にすがろうとするかのようにトンマイを信じ、笑顔を取り戻していきます。
特にティーは、撮影現場に酒の匂いをさせてしまうほど囚われていて、笑顔も営業以外では失ってしまっていました。
ターンナムは、ティーに笑顔を贈ります。
しかし、問題は父。常に不満面で父としての強権を奮い、次々とトンマイの希望を挫く様は、非常に苦しい。その根源はやはりターンナムを守れなかった悔やみなのですが、故の憤りをトンマイにぶつけている父の姿は、あまりに情けない。
更に味方のようで不甲斐無い"母"にも焦らされます。この方、父とトンマイが争う度、仲裁に入るのですが、いつも「私の気持ちを考えて」「私は辛かった」ばかり。
...トンマイが一番、辛くない?
と、ちょっと、ターンナムの死について、この母が原因なのではないか?と疑ってしまいました。また、過去のシーンでターンナムが彼女の(家の?)お金を盗んでしまい、それに激怒!父に対し「うちはこの子にお金も何も掛け過ぎてる!」と怒鳴るシーンは疑いを確信に。
また、現在でも「うちの家族は3人よ!」「ターンナムは死んだ。死んだ人の話はしないで」と怒り捲ります。
そんなシーンだけ観てしまうと、ターンナムの死の原因は、この人の冷たさなのではないか?と疑ってしまいます。やっぱり父と同じで悔やみ故に、素行や言動が荒いのではないか?
そう思いました。
...正直、これ、失敗です。ターンナムに纏わる事実をサスペンスにする為に余計なことを描かなかった為、私達は確実に間違った疑いに囚われてしまいました。
本作のテーマは"悔やみ"。
当然、それは全ての人に当てはまりますが、実は、この母だけは、さほど悔やんでいません。何故か?実は...が有り、この母のターンナムへの思いは、考えさせられる事に成ります。
なので、誰もがターンナムに会いたがるのですが、この方だけは会おうとしませんでした。
展開は中盤から怪しくなります。
ティーがトンマイに真実を語ります。
それはターンナムの真実でも有ります。
ターンナムは学校に通っていませんでした。更にトンマイとは母が違い、ターンナムとその母は、非常に貧しい地区で暮らしていました。毎日はその日暮らし。
ターンナムは高校卒業の資格を得るための講座に参加し、そこで知り合った学校の用務員のタイの店で、アルバイトをしています。更に彼女はタイに勉強を教える家庭教師も担っていました。
そんなタイは、強くターンナムの境遇を案じ、「賢いターンナムはきちんと教育を受けるべきだ」と、その母に説きますが、彼女は「うちの事に関わるな」とタイを遠ざけ、ターンナムのささやかな夢を挫いてしまいます。
そこに現れたティー。彼は年上の女性ジェーンと付き合っていましたが、関係はさほど深く無く、そのせいか彼の前に現れたターンナムに興味を示します。
そして、ターンナムはティーを溺愛してしまいます。まるで不遇な境遇から救い出してくれる王子様を期待するかのように。
しかし...ティーは所詮、まだ若かった。
「星を見に、チェンマイに行こう」
そんな約束を果たすことも出来ず。
ただ待ち続け、そして失望しか見えなくなってしまったターンナムは、あの夜、命を断ってしまいました。
ティーは決断力が無く、逃げてばかりだった自分に、17年も悔やみを抱えていました。
「僕はターンナムを愛してはいなかった。ただ、あの夜、気付かされた。あの日から今日までずっと彼女だけを愛してる」
ティーは再会によって、人生に希望を取り戻していきます。
そしてタイさん。彼は心からターンナムを救ってあげたいと願っていました。しかし、血縁でもない自分が出来る事には限界がある。
彼は、すがり付くようにタイの元に居場所を求めるターンナムを、現実の制約に触れないように促します。
それはターンナムを父の元で生活させること。
...しかし、ターンナムは命を断ってしまいます。
これはタイに非常に深い悔やみを残してしまいます。
彼はターンナムに向き合う度、こう問います。
「私を恨んではいないか...」
ターンナムは涙ながらに言います。
「恨むはずがない」
タイも悔やみの人生を、ゆっくり、解いていきます。
ここで"ある真実"が明かになります。
ターンナムは、チョンプーを"よく知る人"、まるで親友だったかのようにトンマイに伝えますが、タイのところでバイトしながら見掛けていただけでした。それからターンナムはトンマイが導かなければ部屋や家を出られないと言っていましたが、ある夜、ターンナムはひとりで家の外に出てきます。
そんな違和感の欠片が集まった時、ターンナムは「実は記憶を失っては居なかった。本当のことを知られるのが怖かった」と明かします。
更にターンナムは自殺未遂を何度かしていたことも知らされます。中盤はターンナムの不安定さが見えてきて、元凶はターンナム?なんて危うさも。
...本作はコメディやファンタジーの様相を見せていますが、非常に平凡な、そこにある事件を描いたものでした。
悔やんでいたのは、何より誰より、ターンナムでした。死して彼女は更に悔やまされることになります。何しろ、自らの死に囚われ、人生を壊してしまった家族が周りに居るのだから。そして更にティー、タイ、実はパナまでも悔やみから逃れられずに居たことを知ることに成ります。
何より。
トンマイ。私の死を抱え、生き続けなければ成らなくなってしまった。
「ごめんね、あなたの誕生日を祝うことを出来なくしてしまった...」
...タイ国って誕生日をとても大切にしていると思います。
タイでは誕生日を「自分がこの世に生を受けたことに感謝をする日」であり、善きことを行う日としています。
また、数日前に誕生日は始まり、それは友人、知人、家族が当人を祝います。そして当日は本人が感謝を込めて友やお世話に成っている人を招き、祝うそうです。
そんな特別な日を正しいかたちに戻す物語でもあります。
後半も一筋縄では行きません。拗れ、意地で頑なに成ってしまった人たちの心を解くのは、並大抵のことでは有りません。
話が重くなってきました...
ティーはターンナムに会いたいのですが、父に脅し掛けられるほど拒絶されてしまい、彼はそっと学校に行き、パナの協力を得て、トンマイと接触します。そしてターンナムと話します。
素晴らしい会合。闇のような17年が光に満ちて、もう一度、やり直せるかのように彼等を照らし出します。
再会に喜びを隠せなくなったティーは、なんとターンナムの手を抱えるように引き寄せ、そのまま校外へ走り去ります。
...前述。ターンナムの憑依はターンナムが望む人にしか見えません。
と言うことは...
学校は大パニック!
「ティーが学校に!」「男の子と手を繋いで走り去った!」
...思わず悲鳴をあげてしまいました。並みのタイBLより衝撃的でした。
ティーが!ターンナム...いえ、トンマイの手を引き、ふたりともこれ以上無い幸せな笑顔で、学生たちが見守る中を走り去って行くのですから。
...本作、最大の爆笑シーンでも有りました。
この後、ターンナムが憑依する度にドキドキしました「誰かが見たら!!!」
中盤はターンナムがちょっと精神薄弱な面を見せ、故の"嘘"が、トンマイを混乱させてしまいます。ふたりは喧嘩し、ターンナムは行方不明に。
しかし、そんな危機は、姉弟愛と、育まれたトンマイとティーの友情によって乗り越え、更にふたりは特別な絆で繋がります。
あの、"故人の為に燃やすと届く"ことも、ターンナムを苦しみの螺旋から救い出します。
ターンナムは戻り、またターンナムとティーの縁も再開です。
しかし、端から見ればただティーとトンマイが尋常成らざる思いに駆られているようにしか見えません。学校ではシッパーたちが噂話に華を咲かせています。
当然、親は気が気では有りません。誰もがティーとトンマイを引き裂こうとしてしまいます。トンマイがどれだけ説明しても、通じません。
ならば!とターンナムは父に話し掛けます。
動揺しながらも、姿見ちゃいますから、父は頑なな縛りを軽く解き、「ターンナムが居る!」 と歓喜の声をあげます。
途端にトンマイに優しくしてしまう父は、ちょっと愛らしかったです。
が。そこに現れたのは、ターンナムの生みの母でした。彼女はターンナムと別れた後、英国人と出会い、今は英国で第二子と共に豊かに暮らしているのだそうです。
ターンナムは動揺します。
「何故?話したくないの?」
ターンナムはただ母を拒絶します。なかなか真意を話しませんが、
「私は母が迎えに来るのを待っていたの。だからもし母と話したら...」
ターンナムは成仏を恐れていたのです。
折角、孤独でなくなった今。これこそ何より望んでいた理想の関係。ティーもいる。父も母も、そして何より、トンマイと離れたくない。
...このターンナムの母、ターンナムの死を知り、一番に考えたのは「私のせい...」
母の鏡です。現実でも多く、親は誰かのせい!と怒り散らしますが、いつも思うんです。親なら、不甲斐ない自分に失望すると。
「何故、私に言ってくれなかったの?信じられなかった?」
この母は、自らに絶望します。
ただ。「もう少し早く来て、ターンナムを迎えて誕生日を祝ってあげるつもりだった...」と振り返りますが、さすがに17年も置いてきぼりで、34歳のターンナムに「迎えに来たわよ」はどうだろう...
考え甘い母でも有りました。
...本作は劇的な感動創作物語では有りません。今、そこにもある、有り得る、平凡な人たちによる、平凡な物語。
ついしてしまった、ターンナムの"逃げ"が、人々に傷を残してしまい、それを解くだけの話。
めくるめくクライマックスとか、感動を煽る演説シーンも特に有りません。
ただ彼等は、死を理解し、無駄にした時の流れを振り返り、やり残した別れをするだけのこと。誰もが、もう意味を無くした"怒り"や"悲しみ"を、ターンナムと話すことで自らの心で洗い流し、許しへと昇華させていきます。
だって怒るべきなのはターンナムが死んだことだから。でも誰もがターンナムを愛しているから怒るなんて有り得ない。
そして、ターンナムの涙と17年間溜め込んだ思いは、彼等の目を開かせます。
「お父さん、私にしたいことを、トンマイにしてあげて」
宣伝文句の"感動必至!"は...言い過ぎです。でもしっとりじわりと胸に来る、素敵な贈り物のような作品でした。
最後に残ったターンナムの悔やみと、彼女によるたくさんの「ごめんなさい」は、あなたにも有る"弱さ"にそっと寄り添い、こう告げます。
「生きて!」
...面白かったです。くすくす笑い、奇跡を喜び、ちょっと不安にもさせられます。でも、みんながターンナムのためにと人生を改善していく姿は、非常に温かく、幸せを感じさせてくれます。
たくさんの事実を受け入れ、昇華して行く終盤は非常に素敵でした。
特別な人間なんてひとりも居ません。みんな悩み、失敗し、悔やんで、嘆いて泣いて、意地を張って、気付いたら、今、出来ることをします。それだけです。
役者さんたちも本当に素晴らしい。小品でしたが、これを観られた幸運を何より嬉しく思いました。
念願の誕生日。トンマイの元にはみんなが集います。みんな。だから...あの人も。
タイBLドラマ「ターン×タイプ」全12話。まだ第1話のみ。
タイプはサッカーに情熱を傾ける大学生。寮のルームメイトのターンはイケメンで性格もいい。良かったよ、俺は運が良い。
そう思っていたらある報せが。
「お前のルームメイト、ゲイだって」
タイプには唯一許せないものが有りました。それはゲイです。有り得ない!
タイプはターンを追い出そうと試みますが、ターンはそんなタイプの偏見を突きます。
「俺は出ていかない、覚悟しろよ。幸運じゃないか、一年もゲイと同室だなんて」
そんな二人が恋に落ちるドラマな訳ですが、最近の、多く異性愛のラブストーリーは出来レースばかりで面白くなかったので、こう言う障壁の有る設定は非常に惹かれます。
どうやって、何が切っ掛けで愛が芽生えるの?
非常に楽しみで成りません。
ただ、ちょっとターンもタイプも描きが弱く、第一話だけでは感情移入が足りませんでした。
おそらく、ふたりをどんな人が分からないようにしたのは意図的で、タイプがターンの人間性や人格の良さを知って行く過程を、同じように私達にも味わせようとしているのだと思います。
ターンは音楽をやっているようなので、そのあたりも"惚れポイント"なのかと思うんですよね。
何しろ、これからです。
ターンはイケメンで、優しい。それを示す短い回想シーン有り。
ですが、それを実感する前にタイプによる追い出し大作戦から始まってしまうので、対抗して荒々しく振る舞うターンしか見られず、残念。
当然、タイプは顔をしかめて、嫌悪感浮かべてます。第一話、ずっと戦々恐々...
「Dark Blue kiss」のサン&モークくらいが良いなあ。
サンは生真面目ながら人あたりは良い。不器用ゆえにモークを疑ってしまいトラブルに。
モークは喧嘩っぱやくガサツ。でも労りを意識したら、自分を変える勇気を持っていました。
こちらは初めにふたりへの感情移入を、しっかりさせてくれたので、何があっても期待しか抱きませんでした。
これからの展開は、善きふたりが、縁を拗らせ、まだ分からぬタイプのゲイ嫌いの理由を知るまで争い続け、知って、突き放す理由を失った時にはふたりの間にはもう信頼しか残っていなく、許し合って行くのでしょう。
そして見詰め合い...愛し...合う。:p
ターンは言います。
「俺は出ていかない。出ていったら認めることに成る。ゲイが悪いって」
タイプの友達はタイプに「あいつはお前に何もしていない」と言いますが、タイプは嫌がらせを止めず、ふたりの争いはエスカレートしていきます。
そして...
「無防備に寝たことを後悔するお前が見たいんだ」
酒に酔い潰れたタイプ、そしてターンは彼に覆い被さり...
衝撃のラストで第二話に続きます。
...どうでしょう。「2gether」に酔わされていた頃、情報の端々にいつもいた本作「ターン×タイプ」。タイBL黎明期の作品ですから、若干の粗さは有るかもしれませんが、期待は尽きません。
12月18日より、タイ版「花より男子」たるタイドラマ「F4 Thailand」が放映されます。
かの「2gether」のBrightとWinがF4メンバーとして出演しているところも話題です。
かつて、日本版、韓国版、2度による中国版を覗き見して来ましたが、台湾版「流星花園」に敵いません。でも最高とは言え、台湾版は、今となってはやはり古さを感じてしまいます。
今回、撮影技術もセンスも上がった今、最終版としての最高のF4と成ることを心から期待しています。
ハードル高くしてしまいました...
☆私、まだまだ体調戻らず、首から顔に掛けての浮腫みも取れず。
喉は違和感を感じなくなりましたが、温度差を感じた時だけ咳が出ます。鼻腔に有った重さみたいなものは無くなり、体の鈍痛もほぼ無くなりました。頻発した立ち眩みは概ね無くなりましたが、倦怠感は常に有ります。
まだまだですが、どれも確実に軽くなっています。
浮腫んでます。ぷくぷく顔です。
いつか戻る日を期待して...でも皺とか消えた...
複雑です。