タイが舞台の中国サスペンスドラマ「唐人街探偵」と、恐怖映画「怨霊、The House」 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

うちのガジュマルのピムちゃん、結構葉の数が増えました。生命力を感じて、とても嬉しいです。
ちょっと調べたらガジュマルはコンクリートの下からでも生えてくるそうで、非常に逞しい木なんだそうです。
ふと。タイの臭い水路のど真ん中に仁王立ちするように生えていた木、あれ、ガジュマルだったんじゃ...と、懐かしんでしまいました。
11月からはタイにも行き易くなります。そろそろタイ行きも計画しちゃおうかなあ...なんて。

中国ドラマ「唐人街探偵、Detective Chinatown」
舞台はタイ、バンコク。
チャイナタウンでマンション屋上からの飛び降り事件が発生。亡くなったのは阿水(アーシュイ)。彼女の行動は監視カメラに残っていましたが、どうもおかしい。
その頃、阿水の旧友、阿温(アーウェン)にも姿の見えない何者かに線路に突き落とされる事件が発生していました。彼女は、線路に突き落とされる前、念仏が聞こえたと言い、マンションから飛び降りた阿水もまた生前、念仏が聞こえると訴え、騒ぎを起こしていました。
しかし、警察はただの自殺事件として終わらせたがっていました。
結論を出せないで居た警察は、チャイナタウンで有名な唐仁(タンレン)探偵事務所に捜査を依頼、しかし唐仁が不在だった為に、弟子の林黙(リンモー)が捜査に参加することになります。彼は一癖も二癖も有り。
彼は気強い刑事、薩莎(サーシャ)を相棒に、街に出ていきます。

中国ドラマでは有りますが、舞台はバンコク。ただしチャイナタウンなので、タイ情緒は控えめ。タイ語も聞こえますが、基本は誰もが中国語を話します。
しかし、異国映画に有りがちな"中国によるタイ"とは成らず、結構、タイが尊重されているように感じます。タイに居る中国人と言う感じはします。
本作は「唐人街探偵」と言う映画のスピンオフドラマとして作られたもので、私はオリジナルを観ていないのですが、映画はシリーズ化されており、最新作は"東京ミッション"と名付けられていました。その番外編となります。
全12話。4話ずつ、3つの物語が描かれます。
「曼荼羅之舞(マンダラの舞)」
「玫瑰的名字(薔薇の名前)」
「幽靈邀請賽(幽霊が招待したゲーム)」

今回は、その「曼荼羅之舞(マンダラの舞)」を観ました。
事件は高校の親友4人、阿水(アーシュイ)、阿温(アーウェン)、査雅(ジャヤー)、迪楠(ディナン)の間に起こります。
阿水は、医師の夫と仲睦まじい夫婦でありましたが、ある日から念仏が聞こえると言い出して、精神的に追い詰められていました。夫は彼女に薬を出して、気を落ち着かせようと試みていましたが、ある晩、彼女は、マンションの屋上に行き、奇妙な舞い(祝舞(しゅうぶ)。四面仏、梵天(ぼんてん)に加護を求める踊り)を踊り、そのまま飛び降りてしまいました。

阿温はバーの歌手。仕事場で倒れ、首に絞められたような痕が浮かび上がったことが有りました。更に駅のホームに居ると、念仏が聞こえ、見えない力に押され、ホームから落下。電車に轢かれる寸前に救助されました。
査雅は、酒を飲んで眠った夜、念仏が聞こえ目を覚ますと、体が宙に浮いていて、天井にも手が届くほど。ハッとすると自分はベッドに居たけれど、天井には寺院のお香の灰で描かれた手形が残っていました。調べたところ、それは自分の手形でした。警察にも伝えましたが、相手にされず、気が立っています。
迪楠も念仏に悩まされ、数珠の珠に脅かされ、更に謎の女の手に首を絞められます。そうして、彼女は精神病棟に入院しています。

4人は、高校時代の親友でした。いつも仲良くしていた4人でしたが、現在はみな、それぞれの人生を歩んでいます。再会は3ヶ月前の卒業10周年の同窓会。
ことはそれから始まりました。
探偵の林黙は、早く穏便に終わらせたい警察側に反し、事件に執着します。彼は元化学の教師で、物事には全て理由がある、そんな科学的視点から、証拠の隙間を全て埋めないと納得しませんでした。そして彼は類い稀な嗅覚を持っていて、それを駆使し、様々な状況証拠を集め始めます。
彼は、4人は容疑者だと怪しみ、捜査を続行します。
そんな時、阿温に看板が落下、忘れた鞄を届けようと刑事の薩莎が呼び止めなければ危ないところでした。
更に阿温と査雅が乗る車が暴走、犠牲者こそ出ませんでしたが、査雅は車と共に水中に!一歩間違えば命を失うところでした。
彼女たちは語り出します。
梵天に纏わる、かの日のことを...

本作はオカルト風味たっぷりのサスペンスです。如何にもな超自然現象が次々と起こりますが、林黙は徹底的にそれを化学で解き明かして行きます。それを手伝うのは彼の超絶な嗅覚と判断力、そして分析力です。
彼の集めていく状況証拠は、超常的な事件に次々と解明への鍵を見付け出していきます。
しかしまた、次々と発生する新たな事件が、彼の疑念と解析を上塗りして行きます。
敵わないのか?
いいえ。林黙はその行動力で立ち向かいます。「もしかしたら」そう思えば、彼の足は止まりません。法を越えても、人道を秤に掛けても、自らを犠牲にしても、彼は真相のために食らい付いていきます。
...が。彼の食欲も壮絶。一端、食堂の席に着けば、ラーメン数杯は軽く喰らいます。

謎は、4人が大学受験を前にしたある日から始まります。4人はそれぞれの道を前にしていました。
バラバラの大学ライフ。彼女らは友情のためと「みんなでバンコク大学を受験しましょう」と絆を確かめ合います。
ただひとり躊躇ったのは海外留学をすることに成っていた阿水。
しかし、彼女は「親に相談して、私もバンコク大に」と絆を選びます。
4人はその後、梵天に願を掛けます。
「全員、バンコク大学に入れますように」
しかしその数週間後、4人は腸チフスにかかり受験さえも出来ませんでした。
原因は阿水。彼女の腸チフスが皆にうつったのでした...

サスペンス自体は淡々と進みます。基本は証言を箇条書き風に描きます。出揃うと事件が起こり、また証言が積み重ねられます。
ちょっと退屈そうに感じるかもしれませんが、何しろオカルト風の雰囲気が怪しさを超え、妖しさを醸し、私達の好奇心を擽ります。
また、積み重ねられる事件に矛盾や新たな謎が現れても、林黙による読みが非常に冴えていて謎を丁寧に解いてくれるので、推理サスペンスとしての過程が非常に面白いです。
また、捜査中(普段もそれなりに)の林黙は、あまり語らず、物をじ~っと、トカゲのように見詰めている、ちょっと変わり者。その彼だけが見ている世界を私達は垣間見、またそこに解決へのヒントが見えた瞬間!その爽快感は堪りません。

徐々に深まる林黙と刑事、薩莎との友情と信頼も見所で、初めこそ互いを厄介者としか見ていなかったふたりですが、次第に頼りにして行く姿を楽しませてくれます。
彼等だけでなく、キャラクターたちが非常に魅力に溢れていて、彼らの一挙一動を見ているだけで楽しいです。警察署にはタイらしくオネエ警官も居たりして、愛らしさとクドいジョークを振り撒いています。:p
重要人物たちも、被害者か?はたまた加害者か?と疑いながら、その個性豊かなキャラに惹き付けられてしまうでしょう。
小気味良いエンターテイメントでは有りませんが、非常に惹き付けられる作品でした。
第二部、第三部が楽しみで成りません。


もうひとつ。今更に観たタイホラー映画を紹介します。2007年のタイ映画です。
「怨霊、The House」
TVのレポーターのチャリニーは同僚から、医師による妻殺害事件を調べ直してみないか?と誘いを受け、その誘いに乗った。
事件はシンプルなもののように思えたが、チャリニーは一軒の廃屋に辿り着き、その家に纏わる幾つかの類似する事件を紐解くことに。
そして彼女は、家の中に人影を見掛ける。

ちょっと古いタイ映画ですが、観て古さは感じません。ここはホラーの特徴かもしれません。
ホラーの要は、怖さに繋がるシチュエーションがきちんと伝わるかです。稀に古くなってしまうのは、過剰に造形したモンスターなどのCGやメイクが時代に追い付かず、誤魔化せない古さや安っぽさを晒してしまう場合くらいでしょう。
本作の亡霊にもCGは使われています。やはりクオリティは安っぽい。ですが、亡霊は"影"のような存在なので、逆に独特な、ぎこちない"異様さ"を醸しています。

物語はチャリニーを中心に描かれます。
ちょっとキャラクターについての描きが弱いので、彼女の動機や人間関係、性格は想像を伴います。しかし故に、自分を彼女に投影しやすいかもしれません。
日本の「リング」の松嶋菜々子が演じた主人公並みです。本作でチャリニーを演じたインティラー・ジャルンプラも松嶋菜々子ばりに演技があっさりなのでキャラが非常に弱いですが、代わりに女優に好感を抱ければ、感情移入は問題有りません。どちらも綺麗な方ですので、気にならないかと思います。
...例えに「リング」を挙げたのはそのせいだけでは無く、序盤、上司の机上のテレビで"呪いのビデオ映像"が流れてました。おそらく監督は「リング」に影響を受け、本作を製作したと思われます。
なにせ監督のモントン・アラヤンクン、「ゴジラ」が大好きで、好きが高じてタイ製怪獣映画「ガルーダ」を作っちゃった方です。そう言えば「ガルーダ」も、ことの中心に居る女性のキャラクターの描きが弱く、また馬鹿なことをしでかしてしまうものだから、さっぱり愛着が持てない、そんな難が有りました。
モントンはキャラを重要視しないみたいです。
本作のチャリニーは、亡霊に苛まれて可哀想なめに遭うので、同情させる分、物語を牽引してくれます。

本作はホラー映画ですが、それ以上に作品は恐怖の根源を探るサスペンスとしての側面を持っています。ここも「リング」風ですね。
また、本作は実際にタイで起こった三つの事件を基にしており、事件を知るタイの方なら私達以上に引き込まれた筈です。
そう思えば「本当にあった恐怖の世界~」...そんな想像力を張り巡らせて観ましょう。

第一の事件。ナワンチャリー事件から始まります。
チャリニーは躊躇わず、この調査に飛び込んでいきます。
先ず、彼女は収監されている亡き女性の夫、医師のワサンに会いに行きます。
しかしワサンは会ってくれませんでした。
仕方無く、チャリニーはワサン医師の家に赴きます。「病院関係者以外は出てけ」と脅かされ、去ろうとしますが、そこで窓辺に立つ人影を見てしまいます。
それはビデオにも録画されていました。
チャリニーは帰ろうとして、不思議な気配を覚えます。
...映像的には血塗れの亡霊が擦れ違ったりしています。チャリニーには見えていないようです。
また、プリントした写真を落とし、拾おうとすると、何故かあの家に居て(セピア調の映像で過去を表現してます)、床が血に塗れて行きます。
そして背後から何者かの声が。
「決して中に入るな...」
ふと、気付くと元の場所に。しかし写真には血が付いていました。

チャリニーは弁護士の夫ヌーと、再び、あの家を訪れます。
彼女は中へ入ります。
家そのものは、平凡な廃屋でした。不穏な空気は漂っているものの、特に何かの痕跡も無く、チャリニーは散策を続けます。
しかし、人影が。追うように柱の陰へ。
何も無い...
軋む音...
部屋の扉が自然に開く...
チャリニーが室内を覗くと、そこには医師ワサンとその妻が!
ワサンは妻を殺害していました。
あまりの惨状に、チャリニーは倒れ、気を失います。
駆け付けたヌーは背後に気配を感じ、柱の陰から現れた何物かの姿に慄きます...

何事もなかったかのように元の生活に戻るふたり。しかし、ヌーの様子や言動が不安定に見えます。
チャリニーは調査を続け、チャルームと言う医師がワサンの前の家の持ち主だと知ります。また、そのチャルームも恋人を殺した罪で収監されていました。
噂によると、チャルーム医師はあの家に来てから様子が変に成ったそう...

チャリニーの調査が進む中、ヌーは気性が荒くなって行きます。彼はチャリニーとの間に子を望み、仕事を辞めて欲しいと願っていて、それを溢すように成ります。
躊躇うチャリニーにヌーは別人のような顔を見せます...

ようやくワサンはチャリニーに面会を許します。
彼は若干、異常者風。話す言葉は理性的でも、常に含みを持っているように思えます。
そして彼は、チャリニーが拘る"家"のことに興味を持ち始めます。
「君は一人じゃなく、恋人と入ったのか?」
「折角だから秘密を明かそう。私の恋人を殺したのはあの家だ。あそこには何者かが棲んでいる」
彼は不適に笑います。

チャリニーは調査の帰り道、橋から投げ捨てられる犠牲者の様を見てしまいます。
それはかつてノンタブリ橋で死んだ看護師ナワンチャリーでした。夫のウーディット医師によって彼女は殺されたのです。
そしてそのウーディットもあの家の住人でした。
それは幻覚でしたが、チャリニーは居ても立っても居られない焦燥に駆られ始めていました。

その頃、ヌーがチャルーム医師に呼び出されます。彼は「自分は無実だ。それはワサン医師もだ。無実を証明する証拠もある。どうだい?証拠が見付かれば君は有名な弁護士に成れるぞ」
「...家の奥の木の柱に証拠がある」
まるで悪魔の唆しに乗せられたようにヌーは家に向かってしまいます...

本作の味付けとして幽霊の存在は、脅かしに使われながら、実は善き要素のひとつです。
幽霊は、血塗れや水死体なので見た目こそ麗しさとは無縁ですが、彼女たちはチャリニーに語り続けます。
「家に入るな」
「負けては駄目」

...本作の展開はハリー・ベリー主演のアメリカ映画「ゴシカ」を思い出します。
精神科医のミランダはある雨の夜、女性を牽いてしまいますが、ミランダは気を失ってしまう。目を覚ますと彼女は自らの精神科病棟に。話を聞くと、事故の痕跡は無いとの事。
彼女はしばらく病棟で治療を受ける事に成りますが、他の患者と共に不思議な影に襲われるように成る...
彼女は事故現場に戻り、あの日見た女性に導かれ、助けもされ、秘められた真実を解き明かします。

まさに。本作もそうなるプロセスを踏む筈なのですが、事件を三つも描こうとした為にどれもが浅くなり薄味に。また中盤からヌーへの憑依現象が恐怖の軸に成ってしまって、なかなか謎の解明まで話が進みません。
更に解明するものにも、動機や隠された真実(冤罪)みたいなものは特に無く、結局は殺人は有りました、そしてそれは「家のせい」と落ち着いてしまい、安直に感じてしまいました。
「唐人街探偵」のように殺人事件を解明するサスペンスを楽しませ、解決、...更にこの家に入居する者はみな、殺人事件を引き起こしていた...まさか家が人を殺した?!と描いた方が映画をより良いものにしたかと思います。

ワサンやチャルームには、霊に唆される理由が特に無いのも残念でした。
私的に傑作と思っている「悪魔の棲む家2」では、アミティヴィルの忌まわしの家に越してきた四人家族は、実は父は義父で、豊かでないことも含め、義父はプレッシャーを感じ続けていました。そんな彼は酒に逃げてしまい、故に悪魔に隙を作り、憑依されてしまうのでした。"悪魔"を抜けば、プレッシャーに堪えられなくなった弱い男がキレた!そんな事件としてサスペンスにも出来る題材です。
そこは「ポルターガイスト2」も同じですね。子を自ら守れず、霊媒師を頼るしか出来ない父は、不甲斐なさに悩み、子が離れていく事を恐れるあまり酒に逃げ、悪魔に体をのっとられてしまいます。
やはり名作と成るには、ホラーでも、ドラマが大事です。
一応、タイ映画で繰り返し描き続けられて来た、男と女の無責任さや、愛の喪失はテーマとして提示されています。
「いつからこうなってしまったの?何故失ってしまったの?あの頃のような愛は、もう無くなってしまったの?」
そんな女たちの嘆きが、心に響きます。
しかし、そんな切ないテーマも、印象付けるほどの描きが無いために、安易に怖がらる為の展開を辿っているだけのような気がしてしまいます。
ヌーが唆されたのは?チャリニーとの理想とは違う交際関係に苛立っていたから?
浮気を疑ってもいましたが、チャリニーはそんな素振りを一切見せていなかったので...何とも言えません。

とは言え、あくまでホラーのレシピは充分。
基本の主人公が謎解きをしていくうちにどツボに嵌まっていくスタイルは、「リング」同様に没入を高め、霊の狂気が身に迫り出すと緊張感を伴い、なかなか怖いです。
更に、全編に渡り怪しい音楽が流れ雰囲気は抜群、ここぞには音響系こけおどしも躊躇いませんが、それ以上に映像とシチュエーションで恐怖を煽ろうとしているところが、好感を感じます。
タイの独特な湿気ムードも良い味わいを出していて、発売されているメディアとしてBlu-rayではなくDVDで有ることも効果を増しているかと思います。画像の粗さが逆に雰囲気アップを手伝っています。
アナログ感が良いんです。
テレビは4:3、携帯電話もガラケーですしね。そう言う古めかしさが作品に、"霊"の存在さえ有り得そうな気を起こさせます。
演出も良好。刺激的な映像から、地味ながら非常に巧みな撮り具合を見せることも有ります。
ただやはり、脚本はちょっと甘さを感じなくも有りません。

最終決戦は、非常に地味ですが、人間の怖さと人間(霊)の情が、チャリニーを時に脅かし、時に救おうとします。
霊によるチャリニーへの向き合いが、哀愁を伴って、ささやかに感動を与えます。

「あっちよ...」霊たちはチャリニーに道を教えます。入り口を開けてくれたり、柱の前で待っていたりします。
そうして霊はチャリニーを導き、解けぬ因縁を晴らして貰おうとします。
...特に因縁の基、看護師のナワンチャリー、非常に魅せます。この方、凄い美人です。また血塗れ、水没腐乱と特殊メイクが凄い!
美しさを躊躇い無く潰します。
彼女の切ないドラマと事件の真相は、あまりに鮮烈で、心を引き裂きます...

チャリニーは家に乗り込んで行きます。
家の怨念はチャリニーを追い詰め、今にもチャリニーを闇に沈めてしまおうと手を伸ばします。
「お前は俺のものだ!」
そしてチャリニーは因縁を断ち切るために、決死の決断をします。

...家の中は異空間のようで、また、現れる影のような怨念たちはチャリニーの"生"の色を潰して行きます。
ここの描きは、超心理学的な世界の理を感じさせ、まさに小説「血の本」のクライヴ・バーカーの世界のようで、闇の、魅入られるような力を感じ取る方も少なくは無いでしょう。

そして。
全ての答えは、如何にもな心霊映画の、まさにそれです。忌まわしき場所には...とした「呪怨」のテーマでうっちゃります。
アユタヤや第三王朝?土地に残る血塗られた怨念と言う...そんな仰々しい事実が浮かび上がります。
正直、ここは、折角描いてきた愛憎のドラマから感じさせる、非常に切ないテーマを完全にぶち壊してしまったと思いました。
本作は映画として、とても良い作品だと思います。まさにタイらしい愛憎のテーマは非常に惹き付けますし、良かったんです。調理さえ良ければ感動さえ引き起こすことが出来るくらいのものでした。
だからこそ、話は"愛"に纏わるところで終わりにして欲しかったです...
そして更なる安易な、無限ループを匂わせるオチが続き、余韻をもぶち壊してしまいました...

一見の価値はあります。しかし、おそらく最後に零れる言葉は...「惜しい」でしょう。


☆スマホを新しくしました~。最近のハイスペックも良いのですが、私的にはもう少し前ので充分ですし、Xperia前提なので、新しい縦長スタイルを避けたら古いものかスペックダウンしか有りませんでした(おそらく)。
ですので、中古にしました。
...が。ちょっと見逃していました。
インカメラが!その画素が!以前の半分以下に...
機械性能は良いので、泣き泣き3年はこの子と共に過ごして行こうと思います...

初インカメラ撮影。まあまあ?
レンズの広角具合が以前のものとちがうので、スマホを変える度に同じように撮るのに苦戦します...たかがカメラ。ですが、難しいです。