「Ghost Mother」またもや良きタイ映画観ちゃいました。 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

竹内涼真君のドラマ「君と世界が終わる日に」...頑張って観ました。あと1話で終わります。
...残念ながら、たったの一度も満足しませんでした。絶対に脚本家がゾンビ映画なんて観たこと無いんですよ。言葉を借りて言うなら「ゾンビ愛が足らぬ!」
また脚本に一貫性がさっぱり無いので、始終「どうして?」が付きまといました。
しかし最後に"Season 2"...との記載が!
... 有り得ません。
駄目展開に満ちていますが、耐えに耐え抜いて限界突破は先日の回。
ヒロインが矢で貫かれて瀕死に陥り、特別な回復力で元気で成って、直後に再登場しても誰ひとり疑問に思わないのが、最たるどうしようもない展開でした。
ヒロインを演じた中条さん、嫌いじゃ無かったんですが、今作はあまりに酷い支離滅裂演技で、失望の域でした。
無名俳優たちの脇キャラたちも、みんなあまりに緊張感無い平凡以下の演技に、さっぱり作品を盛り上げてくれません。
頑張って観たよ。あとひとつだよ。
でも、日本には何故か作れないジャンルが有ると思い知りました。


日本が胡座をかいている内に、タイは凄くなってるゾ。
「Ghost Mother」
仲睦まじく生きる家族。彼等には少しだけ事情が有った。母役はナン、子はPrae、Mai、Thong。刑事Chaiの子をナンは引き受けて、育てていた。
そんな刑事は、潜入捜査の際に命を落としてしまう。
ナンは、子を手放したくないくらい愛していたが、これからの不安に胸を痛めていた。
そんな時、町を牛耳るチンピラがChaiに裏切られた報復にナンを誘拐、抵抗するナンを彼等は殺してしまう。
オープニングは衝撃シーンから始まります。それはナンが殺められたシーンを先見するもの。
廃車場に棄てられたバス。雨の日、逃げ込むように女性が乗り込んでくる。続くように何者かがやって来る。その者は椅子を引っ剥がし、女を襲う。
この時に後に起こるシーンがフラッシュバックとして流れるので、おそらくナンです。
初見はこれは過去の事件で、その因果が次の世代に振り掛かるのかと思っていました。罪からは逃れられない、とか、踏み入ってはならない忌まわしの場所に足を踏み入れたから怖い思いをする(呪怨みたいな)、そんな話に成るんだろうなあ... と思っていましたが、違いました。

また、この直後に赤子と、赤子に手を伸ばす血塗れの手が描かれます。ずっとその意味を巡らしていますが、ちょっと分かりませんでした。
実は被害者が妊娠していた?本編の主人公がその子?と想像しましたが、違うようです。
何だろう...
...見逃したかな?

そんなオープニングですが、引き込みは充分でした。

街は後の悲劇を想像することも無く、穏やかに賑やかに在ります。ある者は仕事に勤しみ、ある者は恋をしています。
ナンもそのひとり。世話をする娘Praeと、フライを売って生計を建てていた。ナンはPrae以外にもMai、Thongを預かり、世話をしています。
そんな時、父親Chaiが現れ、申し訳ないと言いながら、言い訳をします。ナンは子の事を考えると、これからどうして良いものか悩んでいました。
ある日、ナンは警察に呼ばれ赴くと、Chaiが事故で死んだと告げられます。ナンは卒倒。
そんなナンを気にする刑事Sumet。
Sumetには事態収拾を焦り、人質を撃ち殺してしまった過去が有りました。薬に依存し、事故を目撃しただけで気が動転してしまうほど心に問題を抱えていました。またChaiの死が彼を追い詰めてしまっています。しかし彼の正義感は著しく、彼の遣りきれない思いは、町のチンピラたちを執拗に追い詰めます。

ナンは子供たちと亡き父を弔います。しかし、子供たちとのこれからを思うと良き未来が描けずにいました。そんなナンを気遣おうとする子供たちに、ナンは「大丈夫だから」と努めて明るく振る舞います。
MaiとThongは葬儀でもおふざけ、ナンが明日の仕込みをしていても、その周り、その中で、いつも遊んでいます。スコールの雨水が天井から漏れてくると、それを使って部屋掃除をしたり。
みんな幸せ。貧しくても幸せが彼等に笑顔を与えます。
しかし、ナンは仕事を増やし、帰りも遅く成り、子供たちに寂しい思いをさせている事に胸を痛めています。
そんな時、ナンを狙う影が。男たちがナンの前に立ちはだかります。彼等は町のチンピラ。裏切り者Chaiへの報復のつもりです。
ナンは拉致されますが、隙を見て逃走、廃車場に逃げ込みます。そのまま廃バスへ。
ここのナンの頑張りが凄い。武道の気配は有りませんが、アクション映画並みに壮絶に闘います。
しかし多勢に無勢、チンピラはナンを押さえ込み、怒りに任せて、ナンを殺してしまいます。死の瀬戸際、思い起こすは子供たちのこと。ナンの亡骸は沼に捨てられてしまいます。
ふと目を覚ましたPrae。
ナンが明日の屋台のネタの準備をしている。
翌朝、ナンは姿を見せなかった。
常連は「今日のフライは塩みが効いていいね、五ツ星だ」と絶賛。実はナンの血と涙が練り込まれたフライでした。そんな魂まで練り込まれたフライは大好評に。
...リアルには考えないように。非常に悲しいシーンです。死しても子を思う母足るナンの愛が胸に響きます。

町の表の姿は非常に穏やかで、裏で悲劇が有ったことなど知るよしも無い。
スコールの夜。ひとりのチンピラの前に屋台を運ぶ女が現れる。彼女はずぶ濡れのまま、ただ屋台を運んでいた。気になって見ていると、彼女は突然姿を消し、彼の傍らに!
チンピラは慌てて逃げ出すものの、事故に。脇腹から血を流しながらも何とか帰宅するが、テレビには首を絞められ悶える女の姿が浮かび上がり、部屋のオブジェがざわめくようにガタガタと音を立てた。彼は慄くまま窓を割り、通りへ落下してしまう。
何とか一命は留めるものの、落ちてきたガラス片が頭に刺さり、絶命する。
... 彼の最期は多重過ぎて壮絶です。まだやるの?まだあるの?とチンピラがちょっと可哀想に見えるほどでした。
しかしタイ映画では、霊に怯えて窓から落ちるパターンが多いです。以前お薦めした「ビハインド」でもチンピラがそうして命を落としました。
本作は殺戮ホラーでは無いので、視覚的怖さはこれで終わりです。真のホラーはドラマの中に在り、気付けば背筋を冷やしているものです。

翌朝、Sumetはナンの家で血らしき痕を見付けます。すると彼の前にナンが現れます。
刑事はこれからのことを案じて言葉を掛けますが、ナンは妹の来訪と共に姿を消してしまいます。
ナンは子供たちの前には現れません。Maiの「ナンは帰ってくるの?」との問いかけにPraeは誤魔化すことしか出来ないでいます。
ある夜、ふと見てしまった怖い夢。そんなMaiの元に現れるナン。ナンはMaiをぎゅっと抱き締めます。
そしてまたナンは、塩味の効いたフライのタネを作ります。
Praeはナンのことに気付いていたのかもしれません。必死で代わりの母役を努めますが、上手く行かず挫けてばかり。それでも頑張り続けます。Thongの参観日にナンが来なくても、その役割を果たします。

チンピラたちは麻薬の密売やら、やりたい放題。Sumetら警察は手を焼きますが、なかなか捜査は進展しません。
そこにナンがSumetを脅かします。
これ、非常に真面目に"脅かし"をして見せているのですが、もしかするとタイ的には、笑いのツボなのかもしれません。
この時のナンはSumetにしか見えないので、彼はあたふたしてひとりで転がり回り、なのに勧誘が追い掛けて来たり、更にはトブに落ちたりと、まるでコントのようなシチュエーションが繰り広げられます。
笑え...るように思えますが、前述、真面目なので...観ている方は...どうしましょ。また、当人のナンは、通りを通り過ぎるバスの出入口で首を吊られて悶えている...そんな姿なので、やっぱり笑うなんて難しい。
おそらくナンはSumetを追い立てているのかと思います。人は焦らないと行動しないものですから。更にSumetのトラウマ脱却大作戦でも有るのだと思います。彼の正義感や使命感に思いを委ねようとしているのでしょう。
しかしSumetの心の傷は根深く、なかなか立ち直ってくれません。
そんな彼は導かれるようにして郊外へ。
そこで異常音に車を降りると、ロープが。ロープは沼へと続いています。
引っ張ってタールのような泥から出てきたのは死体でした。その腕には見覚えのあるブレスレットが。
ナン!

その頃、チンピラたちはナンに続き、更なる復讐の為にPraeを誘拐し、金にしようと計画しています。
しかし、そこにまたナンに導かれたSumetが現れます。
チンピラは人質を盾にSumetを倒し、撃ち殺そうとしますが、銃が故障?いや、天に撃てば発砲する、しかしまた狙うと弾が出ない!
ナンが現れる。ナンは怒りに燃えています。

ナンの怒りは、それ以上の子への愛によって、闘いを終えます。
「ようやくナンおばさんをお母さんって呼べるように成ったのに...」
Praeの嘆きの声が響きます...
Sumetはナンのブレスレットを手に、思い新たに歩んで行きます。
... 終幕。

どうせならSumetがナンの後を受け継ぎ、父代わりに成るかもしれない...それくらい描いて欲しかったです。ブレスレットを手にしたシーンがそう描いているのかもしれませんが、もう少し分かり易く描いちゃって欲しかったかなあ。
それでも後味最高。
タイのホラーは泣けるものが結構有ります。本作もたくさんの思いが絡み合う、素晴らしい感動ホラー映画でした。
遠くから自分の弔いと愛する子達を見守るナン。切ないなんてものでは有りません。
タイの通りは勿論、お寺やお墓も映像にされていて、それらが醸すタイ情緒は作品を楽しませる調味料と成りました。

主役のナンを演じたパチャラパー・チャイチュアさんは非常に美しく、また身細く、素敵でした。この後も大作時代劇などにも出演しているようで、なかなかの大女優?
現在ではちょっと手直し顔が...気になります...無念。素で充分に綺麗なのに...
刑事Sumetを演じたThana Suthikamornさんはなかなかのイケメンさんでした。フィルモグラフィではコメディが多いみたい。多才なのかな?
Praeを演じたFocus Jeerakulちゃんは、名作と名高い「フェーンチャン、ぼくの恋人」にも出演しているようです。名子役みたいです。今作でも上手かった。プロフィールでは現在28歳?!あれ?本作ゴースト・マザーは2007年映画でした。
ちゃんと配給すれば確実に当たる素晴らしい作品だと、強く持ち上げておきます。
Imdbでは5.7/10、My Drama Listでは7.3/10となかなかの評価を得ていました。
私的にはタイ映画、上位に悠々に入る逸品でした。粗さは有りますが、怖がって悩まされて、更に感動までさせられ、爽快な気分で視聴を終えました。

もひとつ。
タイのドラマ「I Sea U」を観ました。
とは言っても字幕無しなので細かいところはさっぱりですが、なかなか楽しめました。
子供時代、何も考えないで繋がれた頃の思い出。時は流れ、その思いは年月と共に複雑にかたちを変え、そしてたくさんの新たな思いを絡めて、更なるドラマを描き出します。
年月によって縺れる関係を丁寧に、サスペンスフルにさえ描き出します。
ちょっと何度も繰り返す回想、回顧シーンに、しつこい!と思いましたが、全16話、満喫しました。
海辺の町が舞台で、独特な透明感の有る映像が非常に心地よく、その割りに複雑な因縁劇でも有り、さっぱり味なのに見応え充分でした。

再会した時にはふたりの反応はあの時と同じでも、抱えた人生は年月分、ふたりを変えていた。そんな"時の流れ"を感じさせる描きは素晴らしかったです。また、更なる秘密と、更に積み重ねられる問題が切なく、焦れて焦れて大変でした。
ヒロインがまた可愛らしい。如何にもタイっぽい話っぷりがまた愛らしいんですよ。
たくさん笑い、たくさん泣き。彼女の奮闘ぶり?が見所です。
ドラマ「2gether」のワチラウィット・チワアリー君も複雑な立場に陥る(自ら落とす)キャラクターを繊細に演じ、更なる見応えを与えてくれました。
でも実は、健闘したのは看護婦さん。この方が作品のミソで、会話が分かればもっと楽しめたかなあ... なんて残念に思うほど、魅力に溢れた方でした。
また、主題歌が可愛くて、彩る子役がまた可愛くて、どっぷり引き込まれました。
話自体は決して新しいものでは有りません。有りがちな、しかし、ウィットと作り手の思いの結晶がふんだんに込められた、それを拾い集めながら観るような作品でした。

「君と世界が終わる日に」みたいに新しいものをと挑むより(アメリカドラマの焼き直しですが)、原点回帰をもう一度、始めた方が日本を救いますゾ。あと駄目な脚本家はやはり駄目。書ける題材だけ書いて貰うか、自己責任で済む自筆本に焦点変えて下さい。そして脚本には、新たなる才を起用してください。
日本の未来の為に。


☆春ですね~風が強く吹くので出掛けられない~桜が散る~
今年のゾーイの誕生日プレゼントです。描画デバイスがボロボロなので、苦労しました。
腕がくたくたです。そう言うつもりの写真では有りませんが...
ちょっとおばさんくさい。おばさんですから。
脚は今日はちょっと痛むのですが、それで外出しなくなると鈍るのでリハビリ気分で頑張っています。負けないゾ(*´∀人)