消えない、首から肩の痛みの理由が分かりました。寒さでした。そう言えば、二年前くらいにも同じことを言っていたような気がします。
眠る時に首だけを念入りに温めながら眠ったら、さっぱり痛くない。もう、ふわふわ枕も使えないくらい痛くて大変でした。
暖かな昼間にも痛みだしたので、また温めてみたら瞬く間に痛みが消えました。
今は痛みだしたら温める、そんな日課?です。
人間って単純ですね。
痛めた足も結構、楽に成ってきています。ちょっとまだ引き摺っていますが...
で、気分良く、勢い余って、またタイ映画です。
「ピサジ、悪霊の棲む家」2004年映画。
両親を目の前で殺されてしまったウイは叔母のもとへ。そこで甥のアームの乳母として暮らすことになる。アームは「この家には悪霊が住んでいる」と言い、手を焼かされる毎日と成った。
叔母は工事を経営しており、従業員たちは気さくでウイとも気兼ね無く接するが、彼らは毎朝、ウイに「怖い思いしなかった?」と聞いてくる。ウイは確かに気配を感じる事が有った。
聞けば、この家には幽霊がいるそうだ。そして前任の乳母スッジャイの失踪の話をする。
両親の死から立ち直っていないウイは、精神的に落ち着けず、薬に頼っていた。そのせいなのか、ウイは殺されるビジョンを見てしまうが、夢なのか、薬による幻覚なのかが分からなくなっていた。
そして感じていた気配は、理解し難い摩訶不思議なかたちでウイの前に現れ始める。
タイお得意の幽霊寄り添う物語。基本は我が家が幽霊屋敷なら、との流れに、狼少年かもしれないアームと幻覚障害を持つウイの迷走が描かれます。
ちょっと緩い演出のせいで、脅かしは有るのに刺激が少ないのが惜しい。ホラーテイストも甘く、サスペンス的テイストを振りながらそれに執着する展開でもないので、描いているものがどう意味を成していくのかが想像し辛いです。
更にウイにまつわり、起こる幾つもの衝撃シチュエーションも、幻覚なのか夢なのか分からないままにされるので、非常に混乱させられます。
... あまり運びは良くありません。結構な理解力が必要です。
叔母は優しくは有りませんが、一応、ウイを受け入れてくれます。叔母の孫であるアームの乳母兼、使用人として働く事に成ります。
叔母は息子夫婦がアームを置いて出て行ってしまった為に心を痛め、宗教に嵌まり、更に霊媒師にまで成ってしまったそうです。
ウイは明るく振る舞いますが、その寂しげな心は時折曇る表情に現れています。
ウイが飲んでいる薬は精神安定剤で、飲まなければ幻覚を見てしまうそうです。夜にウイはベッドでその原因を想い耽り、私達に見せてくれます。
見開かれた瞳の煌めく反射光が、車のライトに変わり、再現映像に変わる... そんな妙技で始まります。
ウイは両親と車で夜道を行きます。タイヤがパンクして途中下車し、そこにバイクの二人組が。父は母とウイを草むらに逃がし、自分は腰に差した銃に手を伸ばします。
気さくに声をかけてくる二人。父は安心して母とウイを呼びますが、直後、母は血を流して倒れてしまいます。
「逃げなさい」ウイは身を震わし、涙を流しながらその場から逃げ出します...
そんな悲劇を想い出しながら、涙も流さないウイ。おそらく、ここに来るまでに、枯れるほど泣いたのでしょう。
両親の死の真相は叔母には伝えていないようです。父が銃を持っていた事から、おそらく、麻薬組織に命を狙われていたと考えるのが正しいかと思います。隠したいのでしょう。
"おそらく"としか言えないのは、タイ映画には多いのですが「こうだからこう成った」と語らず、またきちんと見せてくれません。「分かるでしょ」と言わんばかりにそのままにしてしまいます。
優しさに欠きますが、故に、常に「ツイン・ピークス」や「呪怨」のような奇々怪々な気配を感じさせたり、世界の広がりを感じさせ、物語に深さを醸させる事に成功しています。
夜中に、ウイは台所で父を殺した男に首を引き裂かれてしまいます。当然、これは幻覚なのですが、覚めた時にはベッドに居るので、幻覚だったのか夢オチなのか...実際に台所に行ったのかさえ分かりません。
今作は全編に渡り、こうして起こる"?"に悩まされました。(T□T)oアアア...
今作にはウイだけでなく、叔母やアーム、家にも幾つかの"奇妙"が有ります。
叔母の言動や態度、足音、人影、アームが執拗に嫌がるレバー(肝臓)、開けないでと懇願される物入れ、アームが入れないトイレ、アームの体の傷、幽霊が居る?...
この多くが前述、「これが真実」と明かしてくれず、更にそれを踏まえた上の行動や反応と言ったものがあまり無いので、気持ちが乗せられません。例えば、幽霊が居ると分かれば、陰を恐れたり、対抗するためにお札や灯りを携えたり、狭い空間には行かないようにしそうなものですが、対抗手段を手にしないどころか、躊躇わず暗所に逃げ込みます。
...私なら怖くて無理。少しでも周囲が見渡せる場所で常に背後に注意を払います。
家の構造もシンプルのようですが、空間認識が映像からは分かり辛く、何処に居るのか、それが何なのか、今は何時かさえ分からず...あれこれ受け取り辛いのが、またもや入り込みを遮ります。
ここまで来ると、駄作っぽいですが、この作品を牽引するウイへの同情が、私達をこの家から逃がしません。
ウイ自身は耐えきれず逃げ出そうとしてしまいますが、叔母は「現実を見なさい」と説き、アームは「見捨てようとした」と責め、ウイの心は挫けます。
そんな主人公ウイを演じたのはプマワーリー・ヨートガモン。「マッハ!」でも可愛らしさを振り撒きました。大きく可愛らしい目が印象的で、映画に華を振り撒きます。
しかし、ウイは幻覚を見るほど精神的に追い詰められています。映画を展開させる立ち向かうべき問題であり、足枷もウイ。観ている方は、複雑な気持ちです。
今作には意図的な謎が有ります。それはアームの見る幽霊を他の人が見ないこと。そしてそれを明かす鍵は"ウイが幻覚を見ると言うこと"です。
アームは何度も幽霊が居ると言い、騒ぎを起こしますが、叔母も、噂に花を咲かせる従業員も、ウイですらそれを目にする事は有りません。
何故か?
映画は最後まで語りませんが、おそらく、これはトラウマだと思います。ウイは恐れるものを幻覚として見てしまいます。だからアームも同じなのです。
ウイはまだ幼い。だからアームを労りながらも彼の言うことを鵜呑みには出来ません。
しかし、"分からない"こそが語りを運び、話は終盤へ。
ついにウイはアームの見るものを見てしまいます。きっと、その時のウイはアームを信じ、その抱える痛みに強く共感したのだと思います。それからの二人は常に寄り添います。
ある朝、叔母は二人に黙って出掛けてしまいます。それも出入口に南京錠を掛けて。
腹を空かせた二人は柵の前でぐったり。しばらくして従業員のマイが声を掛けます。彼は素行が悪く、仕事はいい加減、更に自棄っぱちで機械を壊してした事もあった札付き。ウイもけしかけられた事が有り、好感を抱いていません。
ですが背に腹は代えられない。
ウイは柵の中からマイに食事と薬を買ってきて欲しいと頼みます。マイはギリギリで遣り繰りするプリペイド携帯の事で愚痴愚痴。
ようやく話を付けても、なかなか帰って来ないマイにウイはキリキリ。
でも、この時の豚肉チャーハンは非常に美味しそうでした。でも食べる前に次の展開が!
マイは何度も電話したが変な声を出してからかったじゃないか、と言います。
改めてマイが電話を掛けてみるが、番号は確かにここらしいけれど電話は鳴らない。しかし携帯電話からはマイの言う奇妙な声が確かに聞こえる。
もしかしたら叔母の部屋の電話?叔母は居るの?それとも...
ウイはマイに助けを求めますが、マイは関わりたくないと断ります。ウイは「"助けない罪"で警察に掴まるわよ」と脅しますが、マイは気にせず帰ってしまいます。
そんな時、足音が家に響き渡ります。足音や物音があちこちからし始め、アームは「あれは人間じゃない、関わらない方がいい」
ウイはアームと恐る恐る階上へ。奥の部屋を扉の隙間から覗くと誰かが中に居る。
物音!隠れて!
隠れた部屋の前で金属を引き摺る音が響く。
...「ウイ、アーム?」
マイでした。「何処から入れたの?」と聞くと目配せするばかり。
三人はマイを先頭に奥の部屋に向かいます。ウイは包丁をアームはハエ取りラケットを携えて。
部屋には誰もいませんでした。しかし、アームは女の霊を見て、逃げてしまいます。ウイとマイが後を追うと工場は燦々たる荒らされ方に...そこにアームが佇んで、何故か工場に移動していたアームが開けたがらなかった戸棚(だと思う)が在り、それをじっと見詰めています。
「どう言うつもり。あなたがこんなことを?」
「僕じゃない、したのはスッジャイの仲間たちだ」
ウイは「両親を殺した奴らが私を殺しに来た!」とパニックに陥ります。
アームは立ち尽くすばかりだけど、そんなウイを支えるのは意外にもマイ。
ただ、薬は落としてしまった...
アームはウイの為に落とした薬を取りに行こうと促します。しかし奥の部屋は開かなくなっていた。ウイは冷静に思い返します。
「戸棚を動かしたのは誰?それってあなたが言うスッジャイ?本当に居るのね。...それは人間?」
アームは首を振ります。
すると激しい打音が家内に轟きます。
「僕を信じて。幽霊は本当に居るんだ」
三人は慌てて逃げ出しますが、ウイはアームの手を掴んで逃げたつもりがマイの手を掴んで叔母の部屋に逃げてしまいます。ひとりに成ってしまったアームは箪笥の中へ。耳を塞ぎ身を縮こまらせて経を唱えるアーム、しかし彼の傍には血塗れで目を見開く何者かが這い寄って来る。アームは飛び出して、階下へ、戸棚に隠れてしまう。
そんな時、叔母が帰宅する。
マイはこの騒ぎを起こした責任を取らされたくないと嘆き、ウイはアームを捜さなくちゃと焦る。
アームは戸棚の中から帰宅した叔母(祖母)に助けを求めるが、何故か声が届かない。
ウイは現れた叔母に言い訳をするが、叔母はウイの盗みを疑い聞く耳を持ちません。そして、ウイが口にした「スッジャイ」の言葉に狂乱、ウイにまじないの刀剣を振りかざす。
「スッジャイはアームを殺そうとしている。私は神だ!あんたの言う事など信じないし、無礼を行うお前など天罰で死んでしまえ!」
その頃、ようやく戸棚から逃げ出したアームの代わりにマイが戸棚に逃げ込んでしまう。
マイは電話を使って助けを求めるが、受話器を取ったアームにはマイの声は聞こえなかった。
何とかアームはウイの元へ。しかし、ウイは幻覚に苛まれ始める。
アームを守りたい。でもこのままじゃアームを守れない!
ウイは泣きながら叔母に闘いを挑む。
この辺りの幻覚まわりの描きはあまり上手く行っていません。
戸棚の移動や、アームが何故戸棚から逃げられたのか、等もきちんと描いていなくて、戸棚がどれで、どう意味を持っているのか、想像してもよくわかりません。
ウイの前に叔母が前と後ろから現れてどちらが本物か悩むシーンも、映像的に上手く撮れておらず、状況が分かり辛いです。
そんなのばかり。
う~ん...
しかし。トラウマの描きは新味で、非常に素晴らしいと思います。トラウマを抱えた人の幻覚や不安、フラッシュバックと言うものをタイ特有の宗教観の中に描き、開眼させられる域に達しています。
これで納得の演出が付いてくれば...
それでも、独特なタイ風土感は非常に良くて、あちこちに感性で受け取れる刺激がたくさん有り、目が離せませんでした。
如何にもトラブルメーカーのマイが、実は情に厚く、終盤の一番厳しいシチュエーションで、ずっとウイらと寄り添ってくれるのも、あまりに心強く、没入を手伝ってくれました。また非力で、実のところギャグメーカーなのも愛らしかったです。
クライマックスは怒涛に始まり、多重の思いが交錯しながら、一気にラストへ。
アームの抱えたものが明かされます。
そして、おそらく、息子夫婦に見捨てられた叔母の辛さと、アームを守りたい一心の思いが歪み、そして、故にしてしまった過去の陰惨な事件を露にしてしまいます。
最後の最後までマイは情けなくて、でも最後まで情を力に、その奮闘が素晴らしく、私達の救いを求める心に応えてくれます。
幽霊は、その葬られた場所でウイたちを待ち構えています。その様は非常に恐ろしかったです。生々しく、圧倒的でした。
終局。今まで雑だなあ... なんて思っていた要素を絡め取り、見事に収束、きちんとオチまで決してくれます。
悪い点を全部許してしまうほど清々しく終わり、良き溜め息ひとつ。満足させられました。もう少し余韻残るエピローグが有れば満点あげても良いです。
タイの映画は登場人物の描きが非常に良いですね。今回は何よりマイです。他の従業員たちも非常に愛らしかったです。
麻薬戦争の被害者は2370人との報せがテレビから流れます。そんな虚しい争いに涙したタイの人たちの、幻覚を見、狂ってしまうほどの辛さが、この映画の礎に有るように思います。
ピサジとは、正確にはピサートで人間、霊、悪魔と言う意味らしいです。多く「悪魔」と記す場合が多いのでその意味が強いのかもしれませんが、観終えると「人間」かな...そう思わされます。
DVDは、大手ギャガ、ジェネオン発売の割には画質はイマイチ。16:9スクイーズ収録。ですが名の無いインターフィルム発売の4:3レターボックス収録の「オーメン、予兆」や「ビハインド」に画質が劣っていました。
吹き替えも収録。ちょっとウイの声はうるさめでした。やっぱり原語の方が...でもマイの声は吹き替えも良かったです。
もひとつ。
ですが、あえて映画内表現に従い、オカマ、オナベと表現します。
「アタック・ナンバー・ハーフ」2000年製作。
夢を諦められなかったオカマのモンとジュンは、安定したバンコクでの未来を手にする為、旅立つ。しかし、偶然目にしたランパーン県バレーチーム団員募集の告知を見て、方向転換、夢を取ってバレーチームに。しかし新たな"おなべ"のコーチ、ビーと、オカマの入団を認められないチームメイトはチャイひとりを残して離脱してしまう。
彼女らは慌ててメンバー探し。そうしたらチャイ以外、全員オカマに成っちゃった。
本作の売りで有り、最大の魅力は、実話だと言うことです。ラストシーンに収録された実際の映像を観て、どれだけ再現されていたかと驚かされます。まあ、試合に関しては、映画より遥かにパワフルでしたが...
で、映画は...まあ、騒がしい。オカマ映画としては前例通り、いつもながらこんなものです。覚悟もしていました。ですが、そんな騒がしさはちょっとナンセンス寄り。折角の良いエッセンスが、尽く力を翳らせてしまっています。更に盛り上げに甘い演出と構成力に、泣きさえしそうな展開をしていても、悲しいかな、心揺らされるまで行かないのが残念でなりません。
騒ぐのは構わないけれど、ここぞに騒がれると、ちょっと"進行の邪魔"と感じてしまいます。
しかし、前述、良きシーンたる、幾つもの書き込まれたシーンは丁寧、的確で、吐き出される想いの言葉は非常に胸に来るものばかり。スポコンサクセスの高揚手伝って、なかなか浮き立たされます。
でも、そんな感傷を受け継ぐ次のシーンが盛り立てに失敗してばかりで、また非常に勿体無い。
DVDだと日本語吹き替えも収録されています。私は初見は日本語吹き替えで観てしまいました。二度目はタイ語で観ましたが、雲泥の差で騒がしさが軽減されました。
贅沢にもプロ声優の卓越した演技が足を引っ張ってしまうんです。ただし原語では、若干"弾け"が翳ります。
う~ん...
キャラの描きは程好く過剰でも無く、作り過ぎた嘘くささもありません。非常に魅力的で誰にも愛着を感じさせられます。
メンバー捜しは順調。モンとジュンはかつての仲間に声を掛けます。
ノンは軍隊でその豪腕ぶりを披露、バレーボールをアタックで潰してしまうほどの馬力。いや、水牛級("水牛"クワーイはタイ語では"馬鹿"の意味があります)。ノイは即答で参加を決意する。
ピアは全身女性化済みのショーダンサーで恋人の許しを得て、参加。
ウィットはゲイで在ることを隠し、両親の言うままに女性と婚約していましたが、チームのみんなが男装して勧誘、誤魔化しのまま許しを得て参加します。
更に補欠としてやはりオカマのエイプリル、メイ、ジューンが加わります。
そしてもうひとり。頭を抱えるばかりのチャイですが、その奥さんは彼にこう問います。
「あの人たちが男じゃないから嫌いなの?それとも女じゃないから嫌いなの?」
的を得た素晴らしい言葉...
チーム名はサトリーレック、"鋼鉄の淑女"です。
試合は盛り上げ無く、淡々と勝利を遂げます。
実話だから。
まあ...スポコンと言うにはその辺のカタルシスが弱すぎですが、冷める事は無く、ベタ王道の展開を楽しむことは出来ます。
今作、実はドラマがメインなのです。
描くは同じ状況に置かれた者たちの友情物語。偏見を乗り越える絆。そして最も向き合わされるのは、あのLGBTの救済地と言わんばかりのタイでさえ、やはり酷い偏見は有ったと言うこと。
それを変えた真実の記録が本作なのです。
私達はいつも、誰かの批判を"差別"や"偏見"だと口を閉ざさせる。しかし口を閉ざさしても、絶対にそんな偏見は無くなりません。それは偏見と言う大問題では無く、人の好き嫌いと同じなのだから。
変えるにはどうしたら...好かれるしかない。
私達は性で人を好きに成るわけでは無い。ファッションや話し方で変わるわけでも無い。
日本だってかつてはオカマがあんなにも好かれたことが有ったのだ。嫌われたのは彼らがプライドを主張し押し付けた事と、異常なほどに男にすり寄り、自らの性趣向を晒して笑いを誘おうとしたから。
そうして男から見て厄介で、女性から見て不快に成った。...嫌われたのだ。女性がそうしても、男性がそうしても嫌われたように。
でも忘れてはいけない。私達も生きている。
バレーくらいさせて欲しい。街を歩き、したいファッションを身に纒い、好きな人には愛を傾け、嫌われる時は嫌われたい。女性に侮蔑の言葉を吐く事が恥なら私に侮蔑を吐くことも恥だと思って欲しいのだ。
その中で"自分らしく"を世界に先駆けて早く語り尽くした国、タイの、記念すべき一作で有ることは間違いない。こうして偏見を無くした"第一歩の見本"を、私達はもっと学ばなければならないと思わさせられます。
「オカマは決して幸せには成れない」
胸に響きます。そんなものだと多くのオカマは分かっている。でもサトリーレックの淑女たちは小さな世界で多くの人とは少し違う幸せを手にしています。
やはりタイこそ、タイだからこそ有り得た、あまりに素晴らしい真実、そして映画でした。
いや~... スポーツのキメよりも、それ以外の思わぬシーンで何度も目頭が熱くなると言う複雑な映画でした。
クライマックスは国体決勝戦。
臨場感は抜群。笑いもしっかり。全国?のオカマも集結し、サトリーレックを応援します。
敵は一番厄介な因縁のライバル。圧倒的な実力でサトリーレックを圧倒します。しかし、たくさんのトラブルを乗り越え、喧嘩もして掴んだ絆は伊達じゃない。
ウィットの家族の問題やピアの愛の話を絡めながら、試合は苦戦、善戦、そして...
映画としては、今更の古い作品と成ってしまいましたが、それでも偏見と自分らしく生きる事を描いた、始まりで、まだ超えられてはいない最高の映画でした。
この映画を否定的に見る方、特にトランスジェンダーの方は多いですが、誰もが"始まり"に胸に抱いた「後ろ向きに生きるな!」としたスピリットを、もう一度、思い返して欲しい。
何しろこの映画、生き生きとした、あえて高らかに言おう、"オカマ"が美しい!
偏見を無くすには腕を掲げ、口をとがらせ、相手を威圧したり脅したりしても無くなりません。
偏見を超えるには、違いを曝し違いを笑い、置いていけ。
今、大好きなタイドラマ「2gether」はゆっくり一歩進んで二歩下がりながら観ています。
そのタインとサラワットの愛の行方を見届けながら、もう少しで終わっちゃう~でも観たい~と喘ぎながら、何と、母と共に浮き浮きして観ています。
ちょっとおふざけ感が強く、改めて考えると、さほど物語として紡いでいるものは無いなあ...と思うところが、残念かも。
合間に「ダーク・ブルー・キス」と言う作品を少しだけ観られたので覗き見してみましたが、こちらは語りが有るので、引き込まれ方はより高かったです。
でもね~サラワットのキャラがひと格違うんですよね。
ベタ展開も堪りません。喧嘩を売られて怪我をして、介抱してくれるタインの肩に寄りかかり「癒される」と寄り添う姿... 可愛いの。
サラワットの労りながらも、ライバルや、タインの兄の否定する態度に心乱し、つい気持ちを抑えられず想いを口にしてしまう... そんな葛藤が胸に来ます。
サラワットを演じるワチラウィット・チワアリー君。なんと来年タイ版「花より男子」で道明寺役を演じます。更にタイン役のメータウィン・オーパッイアムカジョーン君も共演し、来年は更にタイ旋風が日本を席巻する事、間違い無しです。
そう言えばタイ映画。探しおおせた映画数、丁度100本に!香港との合作も一部入れてですが、思ったより有りました。が、話によるとタイではホラー系映画だけで年間数百本作られているそうで、どれだけ眠っているのか... もっと来い、と願っています。
あの、タイらしい仏教に基づいた哲学みたいなもの、そして込められた作り手の思いが大好きです。
☆先日、Google Earth を観ていたら、私が歩いたタイの通りが!当たり前だよね。
大通りだけではありますが、しっかり辿れました。
再会したみたいですっごく嬉しかったです。
Google Street も駆使して、更なるタイ再会を楽しみました。
今度はゾーイのおうちにも行けるかな...
今更ながら、ネットの素晴らしさを味わっています。













