この映画、我が道を行く女の子が奮闘します。でも映画的にはちょっと惜しい。 | まりのブログ

まりのブログ

性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

なんたる事か...目の下側の炎症が治ってきたら、今度は上が...それも何とか治り掛けたら、また下が...
更に首を痛めてしまい、どん底気分...
負けるものか!と気持ち振り絞って、映画二本にエールを貰いました。
でもちょっと「素晴らしい!」とは言い難いのです...

「響、HIBIKI」
文芸誌「木蓮」の新人賞の公募に届いた小説「お伽の庭」。編集者の花井は、小説の出来に圧倒され、作者の鮎喰響に接触を試みる。
しかし、響の印象は想像と違い、あまりに消極的と思えば、エキセントリックでも有り、対応に困らせられた。更に、響の言動や感情のままに奮われる態度は、人々の心を掻き乱してしまう。悪い縁、良い縁も有り、響は変わり行く自らの日常を楽しみ始める。
そんな時、新人賞に響がダブルノミネートされたとの報せが入る。
響は一見、興味を見せないが、我が物顔で作家然としたライバル、芥川賞作家らを次々と蹴散らし、作家とは何かと言う持論を説いて行く。そんな様がまた世間に物議を醸し、響は良くも悪くも時の人に成っていく。
響を演じた平手友梨奈は元欅坂46のメインパフォーマー?だそうです。欅坂46に興味が無かった私でも、彼女には、記憶に残る一閃の煌めきを見ていた気がします。
独特でしたよね。ジェンダーレスな印象が有ります。
その平手、本作での彼女の演技は、正直、イマイチなのですが、描き出される一貫した理屈とキャラ像は見事。そして意外にも平手の淡白な演技がまた効果が有って、邦画ではなかなか見られない"役"が映像に載っています。
そう。確かに"響"がそこに居ました。
響をひと言で表すならエキセントリック。何しろ"エキセントリック"は勘違いされやすい。ただ暴れ、ただ言動がキツいなんて事がそうだと思われがちですが、辞書的に言うなら「普通のものとひどく変わったさま。風変わりなさま」な訳で、暴れたり派手に振る舞う人は、ただ「暴れたり派手に振る舞う人」でしか無いのです。
この"響"は、ちゃんと個々の人間の理屈を持ちながら、多くの人が想定する"普通"を、次々裏切る、ひどく変わった人なのだ。いや、その予想の上を行くアンプレディクタブル(予測不能)な人なのでした。
気に入らなければ「気に入らない」と口にし、けしかけられて屋上から「飛び下りろよ」と言われたら、飛び下りる事も厭わない。
相手がどう思うかを含めて、響はある一貫した理論を携えている。そしてその理論に沿っているならば、何でもしてしまうし、疑おうとすらしない。
そんな響は、私達が思っていても出来ない、釈然としない思いを晴らす、そして信じるものには信じ続けていたい、そんな無垢な想いの代弁者なのだと思うのです。
私は、そんな響に強く好感を感じました。
しかし、キャラの良さは残念ながら全ての人とは行きません。中でも重要なキャラの先輩リカが...まあ、とにかく中途半端。キャラ造形も演技も...あえて言おう、酷い。
響が初めてリカに出会ったシーンでは、リカの非常に感情乏しい喋りっぷりが、物語を挫けさせるほど流れを滞らせてしまいます。正直、私は、視聴を止めようと思うほどだったのですが、その直後、響がしっかり片付けてくれました。
ファンの方、ご免なさい。アヤカ・ウィルソン、どこのセレブの娘かは知りませんが「パコと魔法の絵本」でいきなり主役に抜擢して大失敗したのなら、役者キャンプにでも飛び込んで演技の勉強してから重要な役をやりなさい!
見た目は可愛くても中身が無ければ"役"は死んでしまいます。
好きな映画だからこそ、厳しく在りたい。
他に、新人賞のライバル、幼馴染み(おそらく)、部の存続のための人数合わせの不良先輩、過去の人に成りかけている芥川賞作家、作家として花咲かせられない落ちこぼれ...そんなキャラたちも絡み、各々、影響を受けていきます。
聞いた話では、原作では幼馴染み?の彼は、なかなかの変態青年で、非常に個性が有ったらしいのですが、映画劇中では、その存在意義さえ翳るほど面白味の無いキャラでした。響のライバルも、演じた役者本人の灰汁が強く、最後こそキメてくれますが、あまり良い存在とは思えませんでした。
もう響のキャラがしっかり立ち過ぎて、他が喋りだすと邪魔で邪魔で仕方がないのです。でも、そんな"存在"たちは、尽く、響が蹴散らしてくれる。まさに革命映画の異端児のように。
それを平手が非常に怪しく危なっかしく演じました。
邦画で一番思うのは、ポートレートにならないカットが多いこと。残念ながら、キレが良いとは言えない小細工ばかりのイマイチな演出(脚本?)のせいで、画も役者も非常に冴えない。更に役者の情熱にも問題有りで、役作りなど皆無、喋りが悪いなんて有り得ない。今作もそんな脇役が多くて残念。
響と言う素材は素晴らしいのに、その存在する世界があまりに作り物くさく、クオリティも低くて面白くない。そんな世界を描くのに非常に時間を喰うものだからやるせない。
それに比べ、下手でも言葉の通りが良く、見た目も手直し現実離れしたタイプでは無い平手は、非常に煌めく作品の華でした。

ただ、話はちょっとどうだろう。
響の才能は良いけれど、基本、彼女は浮き世に興味がない設定。そんな彼女が文壇デビューを果たす過程を見届けるのはそんなに楽しいのだろうか?
正直、この映画は"音楽界あるある"を見せ付けた映画「蜂蜜と遠雷」のような、"文学界あるある"を描きたかったのかも?と思いました。如何にして文学賞は選ばれていくか。そこにどのような画策や想いが渦巻いているか。そして作り手はそんな喧騒を「馬鹿馬鹿しい」と上から目線で断罪したいのではないか?と。
それはドキュメント映画で綴ってください。
ライバルも居る?
響がライバルに執拗に関わろうとする件りは、高慢なライバルに対する響の憤りも有るのでしょうけれど、クールに我が道を歩む響にしては、変に在り来たりな感情に感じました。
リカとの友情らしきものも、正直、違和感が漂います。同じ、文学を志す者同士の共感なのでしょうけれど、前述、リカに魅力を感じられないので、さっぱり面白くない。親の七光りで注目され、決して才能溢れていないリカは、響にとって愚かの象徴にさえ成りそうな存在。なのに「友達だから」とあれこれ関わる姿は、言葉通りなのでしょうけれど、どうも説得力に欠いてなりません。
何しろ中盤からは出版絡みのぐだぐだ話と変にランタイムを消費するリカらとの親睦エピソードに、さっぱり中身が無い。
何これ?
私は、響の世界をただ見ていたかった。自分の価値観が全てで、卑下されようとも自らの信じたものを貫き、歩みを遮る者は、理屈でねじ倒す。それだけで良かった。なのに。映画「3D彼女」もそうだったけれど、リア充化した"響"なんて見たいものじゃないのだ。
気付けば、記者会見やらテレビやら、展開も仰々しいだけで意外性も無く、在り来たりな平凡なストーリーが続きます。
全く想像を裏切りません。何しろ、無駄なオールスターキャストが、底辺のリアルや胸沸かす意外性への期待を翳らせてしまいます。
↑しかし、ここ。小栗旬君演じた"駄目作家志望もの"との意外で絶妙な遭遇。響は、気持ち良く自分の価値観を貫いてくれます。

良かったのはやはり響に尽きますが、他に数合わせに巻き込まれた不良先輩、そして芥川賞作家も非常にも魅力がありました。あと、魅力は無いけれど駄目作家志望者。私はこの四人だけで良かった。なのに、良いキャラ四人を映画は活かせてくれなくて、残念でなりません。
私の好みであれ、あれこれ悪い点を書き綴りましたが、
「つまらなかったら、書いた人間の責任」
これは響の台詞。
そんな台詞を吐かせるほど自信が有る作家たちの集大成にしては、志を感じられる語りでは有りませんでした。
ただ。響の行動と顛末は素晴らしかった。
彼女は当たり前の常識を良かれ悪かれ、尽く蹴散らす。言葉通り、蹴散らす。
それが何しろ最高なのだ。
暴力肯定ではない。私は"響"を肯定する。
それだけ響が魅力に溢れていた。そしてきっと、平手と言う女優の魅力が、ここに強く焼き付けられているのでしょう。
響の世界を見たかったのに、出版界を見せられた。混濁し混迷する映画。凡庸でささやかな提言が心に響きそうで響かなかった映画。
しかし、あの最後のオチは響による響らしい「これでいいのだ」的美学の、素晴らしい着地でした。
悪いところがいっぱい。でも平手、そして響の笑顔に「これでいいのだ」と微笑まされる。


「アナと世界の終わり」
アナは特段秀でたところの無い女の子。親友で幼馴染みのジョンと今日も洋々と生きている。学校?いいこと無い。アナは早く卒業して世界を見たいと願っている。父はそんな私を理解してくれない。
学校はクリスマス会で忙しくて、サベージ先生もピリピリしてる。
世界は新型インフルエンザが流行っているし、もう世界は終わりかも?何てね。
しかし、世界は本当に終わりを迎えようとしていた...
映画は基本、ホラー。非常にベタなほどシンプルなゾンビ映画。
特に捻りも無く、あくまでシンプル。そこに個性を振り撒くのはアナと言うキャラクター。非常に呑気で、でも心にたくさんの思春期の不満を抱えた少女。
親とのしがらみ、親友、焦がれの君、友達、いじめ...
たくさんの思春期のドラマがオフビートに繰り広げられます。
アナは平凡ながらなかなかの愛らしい女の子。自分ではそれなりに世界の中心に居ると思っていても、実は結構な片隅在住。そんな現実も分かっている賢くも逞しい子でも有ります。更にあまり表には出さないけれど、繊細な面も持ち備えています。
そしてこの映画最大の秀でた個性は...ミュージカル映画なのです。アナは心の丈を高らかに歌と踊りで吐き出します。これがまた素晴らしい。浮き浮きさせられます。
「♪がんじがらめだけど飛ぶ準備は出来てる...」
「♪映画みたいなエンディングなんてない」
そんな若者の鬱積した思いは、非常にノリの良い素敵な歌で紡がれます。パフォーマンスも素敵です。
始終、歌っているタイプでは無いので、ミュージカル嫌いでも取っ付き悪くは無いかと思います。
何しろ歌のクオリティが非常に高い。
映像との噛み合わせもなかなか効いていて、特に二日目の朝の「♪新しい朝、新しい日の始まり」とアナとジョンが期待に胸をときめかせながら歌い踊るシーンは面白い。実は二人の背後では惨劇が繰り広げられていて、二人はイヤホンでがんがん歌を聞いているので気付かない~なんて失笑と皮肉に満ちたシーンです。ヒヤヒヤドキドキしながらもウィットたっぷりの見せっぷりに、何故か清々しい気持ちに成っちゃっいます。
...しかし。非常にミュージカルは魅力に満ちているのですが、その歌のシーンがどうも歌の為の特設ステージのように感じられて、物語パートと歌パートがイマイチ溶け込んでいません。歌い上げて「はい、終わり」次の章が始まります、程度で進められてしまっています。
良きミュージカルは苦しみや嘆き、喜びに愛の囁きを歌い上げるもの。台詞が歌と成る。しかし今作はただパフォーマンスとしてのステージが用意されていて、幕が開いて歌って踊っている。そう感じます。
「ハイスクールミュージカル」辺りもそんな感じだったかな...なので、ソフトミュージカルに慣れた方には全く問題ないかもしれません。
「ロッキー・ホラー・ショー」や「リトルショップ・オブ・ホラーズ」と言う良き例も有りますし、もっと頑張って欲しかったです。
ミュージカルのせいか、ゾンビ映画としては意外にもコメディ要素が高いです。
本当にゾンビが出たらそんなかなあ...なんて思わせる惚け具合のリアルは心地よく、ゾンビ映画に有りがちな定番ネタから、そのパロディまでたっぷり。個性的なキャラたちも、しっかり笑いを手伝います。
特にジョンが軽薄呑気。アナもそれに付き合って、ゾンビが出ようが「何とかなるさ」町が燃えていても「...何とかなるさ」と落ち込みません。
しかし着実に迫るゾンビの危機。
アナとジョンはオタクのクリスと気の強いステフと合流。ボーリング場に閉じ籠ります。
このステフが非常に魅力的でした。
気が強く、反抗的、主張強く野心的。髪は短く素行も態度も男勝り。戦いと成れば男子に負けないくらい奮闘します。ちょっとトランスジェンダーかな?と思うくらいジェンダーレスしていて、カッコいいです。
私の一番のお気に入りはステフでした。
後半は更に"世界の終わり"が色濃くなり、軍隊全滅、燃える町、学校の壊滅、親は行方不明...そこに教師サベージによる狂乱がアナたちの歩みを遮ります。
アナたちは希望を失わず、逃げ延びる事は出来るのか?そして、家族との再会は果たせるだろうか?
ホラーとしての映像クオリティも高く、結構なホライズムを見せ付けられます。VFXに手抜きは有りません。そこそこゴアなカットも。

あえて難点を言うなら中盤以降の展開。安易なミスや暴走暴挙が連発し、どうもわざわざクライシスを起こしている気がして「そんな悲劇要らないのに」と嘆く事が次から次。後半に行くに従って、辛くも成り、気分が萎えていきます。何とも勿体無い。
特に、アナが悲痛に暮れるほどの悲劇は、映画的にも必要が有ったのか疑うほど。入れるならもっと引き摺って欲しかったし、印象付けて欲しかったです。意外とあっさり流してしまうのも更なる落胆を手伝います。

アイデアは素晴らしいし、映画として纏まっていますが、常に何かが足りないと感じてしまいます。更に期待に応えてくれない、もしくは裏切るシチュエーションが幾つも起こるので、非常に落胆します。所詮、平凡な高校生たちの狂乱劇、愛や義を抱く事は無く、ネタ的に達成の喜びもないので心満たされません。戦いにも限界があり、ホラーの派手さより笑いが推し。爽快感が沸き立たないまま、終わりの無い、いつものゾンビ映画の終わりを迎えます。
一閃の煌めきは有りませんでした。
でも、この映画、誰もの記憶に残るホラーミュージカルでありましょう。私、好きです。
ちょっと歌のリズム感が「Rent」っぽい?気のせいかな?故に歌は最高です!


☆今、我が心の国タイでは政権と王権に対するデモが盛んに行われています。
テレビでも、私が行った場所を見掛ける事もあり、そこで行われる警官隊と民衆の荒々しい乱闘を見ると、何とも悲しくむなしい気持ちに成ります。
あの、穏やかな国も、新しい変革の波に晒されています。
願うは誰もが傷付かない事だけ。
今、微笑みの国が怒りと憤りに燻っています...
先日、パナソニックの脱毛器を購入しました。実売3万円程度の普及モデルです。
レベルが5段階あるので初めは3で始めましたが、さっぱり手応え無し。僅かに毛が焼ける匂いがする?
どうなんだろう...とレベルを5にして試したら、毛が焼ける匂いがしっかり。
でも毛が無くなった!とかパラパラ落ちる~!なんて事は無く、何とも手応え無き第一日目。
思い切って翌日も試してみましたが、やはり毛が焼ける匂いはしますが、特に変化を感じません。
しかし、しばらくして何だか肌がチリチリし始めました。機械の力がある事だけは実感させられました。
また翌日、ふと気付きます。毛の生え、伸びが確実に遅く成ってる...
ふふふ。どれだけホルモン治療をしても体毛だけはなかなか思うようには減らずに居ましたが、とうとう希望に手が届いた気がしています。
なかなか凄いぞパナソニック。まだまだ始めたばかりですが、手応えバッチリ。
来夏こそは...まだ気が早い話。:p

...争乱のタイを思いながら呑気な私。申し訳無かです。