コロナウイルスの問題で、学校が休みに成ったそうです。それだけで無くディズニーランドもディズニーシーも、ユニバーサルジャパンも休園!Σ( ̄□ ̄;)
母のリハビリ兼ねて通うプール施設も休み。
更に近所ではマスクとティッシュ、トイレットペーパーがどこも完売に。パンや冷凍食品も棚がすかすかになっています。
店員さんも「すごい有り様でしょ」と眉を潜めます。
世界的危機だけど、だからこそ、気楽に行こうよ、ね。
私はのんびり映画を観ます。
だこらこそ、楽しい映画を。
「トラさん、僕が猫になったワケ」
未完成漫画を残したままの漫画家高畑寿々男。いつか...いつか...と思いながら、ギャンブルに明け暮れる日々。
しかし、ある日、競輪場からの帰り道、彼は命を落としてしまう。
現世に未練を残す彼に死界の関所の裁定者は、彼に1ヶ月だけ猫として人生を見つめ直す時間を与えた...
始まってしばらく不思議と愛着が湧かない登場人物に「ダメかも...」と思いました。しかし、テンポ良い流れに任せ、あまりにベタ~な家族愛ドラマを観ているうちに、不思議と良い観心地に...
今度は「もしかしたら良い映画かも?」と思った矢先、始まった猫描写に愕然!
↓これです!
ボディスーツ?!着ぐるみ?!
きっと都合で本物猫に戻ったりするのだろうと思いき、さっぱり戻らず...さすがに止め時を計るけれど...
その時が来ませんでした。
これはこれだ。
99%ボディスーツで猫を描いた英断に感激しました。話す本物猫より遥かに良いです。
最近「旅猫リポート」なる全編本物猫を使い、心の声を役者が話す作品を観たのですが、かつて映画「猫なんか呼んでも来ない」なんて作品が有ったほど猫は呼んでも来ないものなのに、都合良く現れ、寄り添い、人の心を見通す猫に、さっぱり猫あるあるを感じなかった。
でもこれは...本物より猫でした。
大概、人以外を人が演じたら、擬人が利き過ぎて馬鹿馬鹿しく成るものですが、奇跡か、拘りの結晶だったのか、彼はどう見ても猫なのだ。
北山宏光君。
彼、非常に表現力があり、アイドルとしては全く注目していなかったけれど、ささやかに知っていたイメージが一転するくらい見事でした。少し掠れた声がまた愛らしさを引き上げて、もう堪りません。
更に男性の方々にはこの子が居ます。
初登場シーンの滑り台を滑る姿は失笑級の可愛らしさです。:p
話は、未完成漫画に纏わる家族の繋がりや、愛すること、悔やまない人生、遺すと言うこと、等、実にシニカル。ですが、そんな重さを抱きながら、ほっこりとした暖かいドラマが紡がれます。
また台詞や反応が愛らしい。漫画の担当さんとの会話さえも無駄無くウィットに富んでいるし、アドリブなのか計算なのか、娘とじゃれていたら母が股間を見て「オスか」と言うとトラさんが「いやん」と照れたり、葬式に乗り込んで行ったらライバルの漫画家が居て、彼に猫として追い出され、抵抗しようとしたら喉下を撫でられて「あんた上手いね」と猫らしく悦に浸ってしまったり。
合間合間に挟まれたウィットや小ネタがスベらずビビッドにツボを突いてきます。
猫界の縄張りと女争い、そしてホワイテストとの触れ合い、成功と失敗、知ってしまう妻と娘の本心...そうして悟る"遺すこと"は、心を込めた、"愛"そのものと成って形作られて行きます。
ホント、ベタです。でも清々しいくらい気持ちの良いベタで、恥ずかしいくらい。でも、そんな恥ずかしいくらいのベタを待ちわびてしまうほど、構成に隙が無い。終わり方は始めから決まっている。それしか無いのだ。
想像するままに、しかしその"最上のベタ"で物語は幕を閉じます。
また、日本映画なのに(!)カット割も上手く、テンポも良く、何より、音がするすると耳に入って来ます。非常に聞き易い。
全編軽妙、気持ち良い起承転結を紡ぎ、それを90分で描きり、ほど良い至福に浸れます。
あえて。残念は奥さん初登場で、日本映画お得意のベタ正面撮りのプロモーションカットがある事。この子を観るためにこの映画を観てるんじゃないぞ~( ;゚皿゚)ノシ
映画の空気が止まります。それだけ。
きっと傍らの猫を見ながら「もしかしたらあんた、誰か?」と聞きたくなると思います。
物語には奇跡が有りますが、誰も真実探求などせず、幸せを噛み締めながら受け入れていく姿は、あまりに愛らしく、心地よく、また感動押しをしないので、最後までたっぷり"ある家族の物語"を満喫できます。
生きていて出来なかった事を突然の死に悔やまぬ為に、今こそ愛を奮うべきだと背中を押してくれる、素晴らしい作品でした。
まだラジー賞の発表が無いので、前回ラジー作品賞の「ウィンチェスターハウス、アメリカで最も呪われた屋敷」
精神科医エリック・プライスは調査の依頼を受ける。依頼主はウィンチェスター社の法務責任者ゲイツ。銃で巨額の富を得た、ウィリアム・ウィンチェスターの夫人サラについて。彼女が会社の経営が出来る状態か?を調べる。
エリックは彼女の住むサンノゼのウィンチェスターハウスを訪れるが、その家の様相は異常そのものだった。サラは設計無しに次から次へと部屋を増築していたのだ。
そこにはサラの他に姪のマリオンとその息子ヘンリーが住んでいる。
エリックは丁重に招き入れられる。
サラ・ウィンチェスターは違和感は有りながら、聡明。しかし、夜、エリックはサラの不可解な行動を目にする。
それから、館では奇怪な現象が発生する。
エリックは全てをトリックだと判断しようとするが、彼の判断力も館と同じように混沌とし始める...
この映画、登場人物が少なめな割りにそこそこお金が掛かってます。何しろ主演ジェイソン・クラークにヘレン・ミレンですからね。
ジェイソン・クラークは私、あまり良いイメージが無かったんです。
「ホワイトハウス・ダウン」の危なげなテロリストや「ターミネーター・ジェニシス」のジョン・コナー、それも本編で活躍したのは敵サイボーグですもん。大きめの顔に彫り深い目元、童顔、透き通った瞳...とちょっとお人形的畏怖を嗅ぐわせます。
が。最近、そんな彼が、その瞳と不器用そうな甘いマスクを転じて武器に。なんと愛らしいことか。私、ちょっとやられてしまいました。
映画「かごの中の瞳」では目が見えるように成った妻に浮気されて絶望する優しき男を悲痛なまでに演じ、そして今作「ウィンチェスターハウス」では愛する人を失い、アヘンに溺れる悲しげな男を演じました。
もう、真摯な瞳と、不器用そうに開く口元が、可愛いんです。
そんな、彼が、ウィンチェスターハウスにやって来る。目的はミセス・ウィンチェスターが"まとも"かを調べること。
ウィンチェスターハウスに来れば誰もが思うのは「まともじゃない」。エリックもそう感じさせられました。
購入時6部屋の館は20年を経て増築され7階建ての異様な建築物に成っていました。廊下は迷路のようで、迷路はまた次の迷路へと続いている。
前半から怪奇現象はいくつか発生していますが、同時に風や音の反響、さ迷い歩くヘンリーには"夢遊病"と、理由をこじつけられる程度。エリックの読み解きもあながち間違いとは思えません。彼はサラに手品を見せて「物事には理解出来る種がある」とばかりに説こうとする。
しかしサラの主張は頑として一貫している。
「ここには何かが居る」
映画は、おどろおどろしい雰囲気はよく出ていて、提示された幾つかの怪しげな謎は、エリックによって明かされるのを待っています。
ただ。サラが口にする「彼等の存在」は証明は出来ないが否定の証明も出来よう筈が無く、エリックは調律を乱していく。
しかし、エリックはアヘン依存者。故なのか?いや、その酔いをも覚ます驚異的現象なのか?
見張るように傍らに寄り添う執事と使用人。そして哀れに見えるマリオンとヘンリー。
エリックはウィンチェスターの一家を、見えず解けない"縺れ"から救うことに成るのか?...
じわりじわりと恐怖は増し、その闇の鋭爪はエリックの首元へと伸びてくる。
そして解かれる秘密。
それはウィンチェスターに重くのし掛かる、銃を扱う故の呪い。
エリックはここぞと思い「呪いの正体を見た」と胸に抱く。しかし、小さな違和感を解こうとする度に、まるでピースを嵌めていくように証明されて行くことがある...それはまさにサラの語る世迷い言を真実だと言わんばかりに、ある答えへと導いて行く。
この辺りの紐解きはなかなか見応えが有りました。ただ、よくある探偵ものなどのように、机上に並べられた鍵を並べ替えながら真実を見いだしていくようなものでは無く、次々に物事が起こり、起こる事が次々と真実を露呈させ、左か右かと悩んでいると、また次のなにかが起こり出す...
そんな良くも悪くもジェットコースター映画。
更に中盤まではエリックは「信じない」、ウィンチェスターは「有るのよ!」と伝え続ける。そんな"信じの対立"がなかなか良いので、中盤の"とある目撃"から、一気にサラの話が正当化されてしまうのは勿体無い。まだまだ私達はエリックの謎解きを楽しみにしていたからです。
ただ、ここからの真相の暴露は非常に見応えが有りました。
驚きは控えめです。衝撃も控えめです。ですが、なかなかの壮絶な戦いが待っています。VFXも魅せてます。
「ポルターガイスト」や「悪魔憑き」を説得力を持って描くのは難しいと思います。
既存の真似が手っ取り早いけれど、そうなるとオリジナル性の欠如と言われかねない。
最近でも「逆殺館」などでも悪魔憑きは非常に苦戦していました。評価は散々です。残念ながら今作でも、込めた新味は評価されず終わりました。
しかし、この映画は、何より"ウィンチェスターハウス"と言う"真実"が特別なのです。そこに眠る恐怖と悲哀の逸話は、エリックの過去をも巻き込み、ある答えを導き出します。
それはあまりに血の通った、心の物語。悔やみと晴らせない嘆きの顛末、そしてその解放...
要は都市伝説です。本当にある奇妙な屋敷に纏わる噂話。「グレイヴ・エンカウンターズ」の廃病院や「ディアトロフ・インシデント」の失踪相次ぐ雪山のように、語り継がれる解き明かせない謎のひとつ。
映画「ウィンチェスターハウス」はその"ある仮説"を提示する。それは、説得力を持って、ここに紐解かれる。
信じるか信じないかはあなた次第である。
ウィンチェスターハウス。本編では見事に再現されています。
ただ、ダイナミズムな"館の見せ"が少なく、巨大な館を探索する楽しみが為されないので、いまいちスケールが上がらず勿体無い。どうせなら、その仕組みを手に取るように分かるウィンチェスターハウスを見たかったです。
この作品は昨年の最低映画賞を受賞しました。
難はあれ、難しい題材を巧妙かつ刺激的で、更に胸に響く映画に仕上げられていると、私は思います。
☆最近、ちょっとホルモンのバランスが安定しなくて、体が汗ばむほど温かくなったり、変に冷えたり。厄介なのは"冷え"。体が冷え過ぎて風邪をひきそうに成って気付きます。
お陰で毎日、体が傾いています。
う~...早く春になあれ。