私のダーケスト・マインドは闇から抜け出せない | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

10月9日。母、退院。
は~ようやくです。当初は9月半ばの退院も...と有りましたが、長くなりました。
病院が第二の家のように成っていたので、母も私も、ロスしてます。
待ち受ける家は...ちょっと荒れています。えへ。
帰宅して1日は何だか毎日会っていた筈の母とさえもよそよそしさが有り、普段の会話が気持ちよく繋がらなかったり、不思議と心に"見えないところ"が有るような気がしてなりませんでした。
2日目には戻りましたが、今度は父です。
何故か、途端に私を完全に無視。病院生活など無かったかのように口にもせず。それどころか母の体調や経過さえ聞かず、話しても台風と買い出しの話だけ。台風の最中でも家は案じ、母の身も少し案じ、しかし、私を案ずる言葉はひとつ有りません。
私...ずっとざわついたものを胸に抱えてしまっています。そのせいか一時期、耳鳴りに頻繁に襲われ、ちょっと...疲弊しているかも...
そうして瞬く間に一週間。人生で一番、早い一週間だった気がします。
母との関係は深まりました。穏やかです。時々、病院が懐かしい。
でも、周囲を見回して。やっぱり我が家は良いね。


...さあて。映画、映画。
「ダーケスト・マインド」を観ました。
この作品、実は「ハンガーゲーム」などのように、シリーズ化が計画されていたようなのですが、予測より当たらず、おそらく続編は作られません。
ですが、私はそれなりに面白く観られました。

ある日。学校で少女グレイスが突然死亡した。それを機に世界各地で子供の死亡例が確認され、それは世界から9割の子供を奪った。
生き残った子供達は、不思議な能力を持っていた。
人々は子の死を恐れ、同時にその能力を恐れました。そんな親にルビーは、こう願ってしまいます。「その辛い思いを消し去ってあげたい」
翌朝、ルビーの姿を見た母は、「あなたは誰?」と告げる。両親はルビーの事を忘れてしまった。
ルビーはガレージで待つように言われるが、そこに現れたのは防護服に身を包んだ大人達。
そしてルビーは収容施設に隔離される...
この作品はある意味「X-Men」です。
ただ、一部の人間ではなく、全ての子供です。
その多くの子供達は力を持っています。映画の中ではその力のあり方を5つの色に分けられています。
緑、青、金、赤、オレンジ。
大人はその色分けで子供たちを監理し、更に金と赤の間でふたつに分けました。何故か...
それは映画の中で明かされます。
ルビーはオレンジ。絶対危険領域。
それを知った医師のケイトはルビーを収容施設から解放します。
この辺り、なかなかスリリングな展開を見せます。
施設の姿は「ハンガーゲーム」や「メイズランナー」の雰囲気がむんむん、同様の小説が原作なのかと思われる雰囲気に溢れていました。それらに次ぐような若者達の反乱映画です。
超能力が絡むと「私だけ何故みなと違うの?」「いいや、僕達は仲間だよ」と似たもの受け入れ展開に成りがちですが、子供みんななので孤立感はあまり感じません。ただ外に出ると、子供どころか大人も殆ど姿を見せないので、ゾンビ映画などにあるワイルドランズが広がっているようで、孤立感は感じさせられます。
悩むは孤独感より親子関係の喪失です。
対して収容所では、息苦しさを感じさせられます。ルビーはオレンジである事を隠しながら、年月を跨ぎ、心寂しい日々を過ごす事に..
有りがちな看守による虐げや多少ではありますが仲間意識、そして力に関する事実が描かれます。
収容所の管理は映像的には絶対強固には見えませんが、銃を携えた看守たち、憎らしい看守も居て、収容所映画のジンクスを歩みます。
そして希望を得る切っ掛けであり、危機を脱するのはルビーの力。しかし、そのルビーの力こそが彼女に迷いの種を提示します。ルビーは何故迷い続けるのか?そして力は何を彼女に示すのか...
彼女は常に選択の狭に晒され続けます。
ルビーはケイトの元を去り、代わりに同じ能力者の集いと共にします。リアム、チャブス、そしてズー。4人と一台のバンは噂に聞く子供達の救済地へと旅立ちます。
ここからがとっても地味で最高のランタイム。
すっごく気持ちの良い旅の始まりです。アメリカ中部の美しい風景の中、若者達の自由に溢れた未知と冒険心に満ちた旅です。
この辺りは清々しくて良い感じ。ただ、前半の危機また危機の緊張感を背負っているせいか、ちょっと盛り上がりに欠く感じも有りますが、辿り着くために旅を続ける彼等に対し...辿り着かないで欲しい...そう思ってしまうほど豊かな笑顔と寄り添う温かみが麗しく、爽快でした。
そして辿り着いたマーケット。そこでの買い物シーンはすごく良かったです。しばらく観ていたいと思うほどの世紀末映画の醍醐味です。「28日後」や「ゾンビ」の買い出しシーンみたいで私達の"荒廃世界やりたい放題願望"を癒してくれます。
旅は、それからも近未来映画の放浪の楽しみがいっぱいです。車への愛着、希望、家族への思い...
どれだけ突っ張っても気勢を張っても、やはり彼等は子供。眠れば涙し、恐怖に慄き、家に帰りたいと願う。でも大人には頼れない。居場所も帰る場所も待ってはいない...
彼等は労り合い、肩を支え、想いを共有し、そして離れ難く成っていく。「俺たちは家族」...思わず零れる言葉はあまりに暖かい。
基本、能力は攻撃にはあまり使われません。まず、多く、そうした力では無いです。念動力や電気操作のように攻撃に繋がる力を奮うものは、心優しい。更に力は体を疲弊させるから無敵ではない。
そこがいい。
「ナルニア」にしろ「ハリー・ポッター」にしろ、結局、勝ちを決めるのは"力"、そう表現しなかったこの映画が好きです。
"労り"が満ち、想いが高まれば高まるほど、戦いを避け、彼等は"守るため"に力を奮うように成る。
例外もあり、その例外が危ういものとして印され、強く忌まわしく描かれていきます。その時には未だ知らぬ"赤"の能力が露になり、そしてルビーやリアムに更なる決断を促すことに...
私達は攻撃的な力の無いルビーの行動選択や想いを見届け、守るために戦うのか?勝つために戦うのか?理由さえあれば暴力が正しいのか?を計る事になるのでしょう。続編があるならば。
もし続編が作られたら展開も派手なものになりそうですが、作られたらぜひ観たかったです。
力を奮うことを恐れた少女が、労り故に力を使うラストはとても美しい感動を与えられました。切なくて切なくて。言葉のひとつひとつがじわりとあなたの心に染み込んで行くことでしょう。
ですので、続編は観たいけれど作られなくて良かったです。前述、作られたら、第二部"戦争"に成るだろうから。ここで終わるからこそ感じる、優しい心の実感に痺れて終わる事に、私は幸せを感じました。
温かい心の縁を味わう、素敵なロードムービーでありました。

まあ、欠点を上げるなら、やはり今作は大作だった筈の物語の、序章でしか無いこと。そして山場に欠けたこと。最高に楽しい旅なのに、さほど展開の楽しさを描けていないこと。そして、恋愛の始まりがちょっと唐突で、置いていかれること。
もう少し時間をかけて、丁寧に描いて欲しかったです。

親と子。その求める想い...それが何故、最悪の結果と成ってしまうのか...それは非常に暖かい思いやり故の結果。心のドラマを堪能できます。
多くの人が、ルビーの想いと選択に共感出来る筈です。苦いながらも歯を噛み締めて笑顔を見せるルビー。
...堪りません。素敵でした。それは最後までルビーを悩ませ、同時に力となります。
ルビー役はアマンドラ・ステンバーグ。繊細な演技が素晴らしく、共感を感じ易い雰囲気を持っています。
ケイト役はマンディ・ムーア。そう。歌手のマンディ・ムーアです。最近では「海底47m」等、ちょっとキワもの映画で活躍しています。
私、初見の印象が良く、応援しています。
リアム役はハリス・ディキンソン。なかなかのイケメンです。若者らしい意地っ張りな所が有りながら、弱さも見せ、労りが彼に力と勇気を与えていく過程はとても愛らしかったです。これからと言うところで終わってしまったのが、残念で成りません。
そして本作のアイドルはズー役のミア・セク。
中国やインドの資本を盾にしたハリウッド荒らしは私は嫌いですが、この子の扱われ方はとても良かったです。
ズーが幼いからこそ、皆がズーを守ろうとします。でも意外とズーは強い。自らを守り、判断し、旅立って行きます。
其々の道に分かれる終局。いつかの再会を期待して、その時はきっと考え方の違いが彼等を争わせ、時に引き裂く事にもなるのかもしれません...
「アイアムナンバー4」や「PUSH、光と闇の能力者」と同じ、未完でありながら続編の無い運命を辿ってしまいましたが、味わい深いラストはとても素敵な光に溢れていました。
音楽も素敵な曲ばかり。爽やかな味わいが残ります。

以前にも書きましたが、私の思春期は、平凡ながら闇を抱えていました。そんな私は当然疎外感を感じていてX-Menに共感していました。
人と違う。それが悲しみと疎外感を生み、しかしその違いが人を集め、友を助ける力となる。
...なんて素敵な物語か。
「ダーケスト・マインド」はそんな私の払い除けられない疎外感を癒す作品でもありました。ちょっとね。子供達みんなが味方なのは、心強すぎますけれどね。
そんな私をX-Men以上に捕らえたのは、映画「ミディアン、死者の棲む街」でした。

ブーンは自分が他人と違うと感じていた。そんな自分に興味を持ってくれたのはある医師だった。
ブーンは自分の感じる全てを医師に話した。
ある日、稲光が空に瞬く中、ブーンはある男に出会う。彼は言う「あんたはミディアンを探しているのだろう?あんたの求める場所は稲妻の向こうにある」そうして彼は自らの頭の皮を剥いだ。
ブーンは導きに従い、一路北へ。そこは墓地。そして墓地の下には無数の人とは言い難いものたちが息を潜めて暮らしていた。ここはミディアン。ナイトブリードと呼ばれる世間を逃れて来た闇の一族の棲む街だった。
ブーンはナイトブリードたちに親近感を感じ、彼等はブーンにナイトブリードを救う救世主の話を投げ掛ける。
その頃、とある猟奇殺人を繰り返す何者かが、ミディアンに迫っていた...
この作品は色々といわく付きで公開され、あまり興行的に成功しなかったと思います。ですが、私はノベライズを3冊買い、ぼろぼろに成るまで繰り返し読みました。それからの私は原作者であり監督でもあるクライヴ・バーカーの虜なのです。
その「ミディアン」のBlu-rayが発売されました。ヤタ~。でも完全版収録盤が1万円。ちゃぶ台ひっくり返しです。げんなり。

クライヴの意図したテリングを気に入らなかった製作会社側は修正を指示、最後には勝手に公開版を作ってしまったとか。クライヴも泣いてます。
その彼の意図に近い完全版が収録されたこのディスクは必見です。...実は海外では更なるディレクターズ・カットが有るとの噂も有り、もう...どうしたら良いのか...
悩みが尽きないほど、私の特別な作品なんです。クライヴ。彼は私の心の師です。
彼の小説は不思議な力に満ちていて、心を捕らえます。「ダムネーション・ゲーム」や「ウィーヴ・ワールド」など、超能力を絡めたサスペンスアクションやファンタジーにも彼らしい魅惑の箱庭が私達を待ち受けています。
彼は「血の本」に代表する、たくさんの短編も執筆しています。
「ナイトフライヤー」と言う短編集に収録された「魔物の棲む路」は、近道する若者が、そこにある壁にあいた穴が気になり、誘われ、闇に堕ちる...それだけの話なのですが、すごく緊張感に溢れた作品に仕上げられています。
数々の映画では彼の哲学が敷き詰められていて、誰もが一度は聞いたことがある「ヘルレイザー」や「キャンディマン」そして私のお気に入りの「ロード・オブ・イリュージョン」は手品から始まり幻影師、そして闇の力や人間の尊厳にまで広がる素晴らしい話でした。
"顔"が人を識別する最たる自我であり、それを奪うことが人の人足る存在を奪うことになる...
そんなクライヴの哲学の一片が込められたラストも、力強く胸に響きました。
少し知的すぎて、よく分からない理屈も多く...しかしその不可解に形作られた世界は確実にそこに在る。そこは私達の心の化身のような魑魅魍魎が跋扈し、狂気と恥美に満たされている。迷宮に迷い込みながら、その迷宮に飲み込まれている快感が、私達の全身から染み入ってくる...そんな感覚がクライヴの魅力なのです。
...よく分からないね...彼の得るを観れば分かります。
「ミディアン」も不気味で妖しい奴等の中に佇むことは、少なからず恐ろしいもの。しかし、その血と体液が滲む彼等に抱かれ、溶け込み、沈み入る事を望んでしまう...愛らしさまで感じてしまう...
闇と狂乱の渦...それこそが人の魂の根源と言わんばかりに私達に居心地を示してくる...

世界一愛らしく麗しい闇を味わえるのは、クライヴのマイノリティに対する"愛"そのものなのかもしれない。彼の愛は、疎外を感じる全ての人に向けられている。
真理を求め、愛や欲を捨て宿命から逃れられなくなった魔導師。何百年も眠り、狂信者に目覚めさせられ、時代の流れに驚嘆しながらも威厳を保とうとする闇の王。そして社会から零れたミディアンの人成らざる者たち...
彼等はみな、人間社会が決めた理から逸脱した存在だ。クライヴはそんな人達をとても愛らしく描く。
クライヴ・バーカーはゲイである。だからかもしれない。あの、ついこの前まで同性愛が罪悪であり法律違反だった英国に産まれ育ったからこそ、彼の疎外感が、愛らしい作品群を生み出しているのかもしれない。
「ミディアン」はこう示す。「他人と違う者達よ、ここにはあなたの居場所がある。仲間が居る。力を合わせすがり、寄り添い、そして救いを待とう」
私はクライヴを非常に敬愛しています。
闇をこんなにも美しく愛らしく見せてくれるなんて。
「ミディアン」はその入り口です。クライヴの聖書である"血の本"の門のような作品でした。一旦、その扉の中を覗き見てしまったら、あなたはもう引き返すことは出来ないかもしれない...
私はどっぷり浸かって、帰れません。

前述、短編集「ナイトフライヤー」は素晴らしい本で、ホラー映画や小説が肌に合う方にお薦めです。
表題「ナイトフライヤー」はスティーヴン・キングの作品で、人気の無い飛行場に辿り着いた男が謎の吸血鬼に襲われる話でした。まあまあな作品です。
ですが、私の生涯の小説ベストがこの短編集に挿入されています。
「パンの大神」と「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」...思い出すだけで溜め息が溢れます。
他の作品も素晴らしく「餌」は非常に衝撃的で、似かよった自作短編小説を書いてしまったほどでした。:p
私、ちょっと亜流文学少女だったのです。
私の書いた超短編「墓地裏の家」は小さな部門で特別奨励賞を頂きました。
ち~さな極ちい~さな、誇りです。:p

先に述べたベスト小説2作は私でも背筋がぞくりとさせられました。
グロや鮮烈な怖さでは無く、知性が恐怖を引き出してしまう...そんな作品なのです。
あなたのイメージ力が高ければ高いほど、そして感性が定型から離れていればいるほど、異様な世界の存在感を増してしまうのです。

「お前が深淵を覗き込む時、また深淵もお前を見ている」ニーチェ

まさにである。
ホラーとは。あなたの覆いを剥ぎ取って、心の闇をさらけ出してしまう快感がそこにあるのです。
誰かの悪夢を見ているつもりで、実はあなたの悪夢を見せられているのです。


☆病院生活は呆気なくも終わり、もう過去のものに成りました。時々、思い出しては、やり残したような気持ちに駆られています。
優しき希ちゃんとの別れを惜しみ、例の、かの女性は別れも無く、聞いた話では彼女の母親に病院で脅迫紛いの電話をして印象を崩し、傾いた女神は、更に足元崩して失墜。同室の方が余裕な態度で慈悲を振る舞い、高じて女神に昇格しました。
すさまじきかな、女の神の園...

それから、あるお婆さんが困っていると言うので話を聞いてみると、実は入院するまでずっと子供にお金をあげていたそうなのですが、入院を機に止めようと考えたところ、頻繁に病院に現れ、お金の無心をするように成ったそうです。苦労して説得したら、病院のテレビ券を預かってあげると言い、それを別の病人たちに売ろうとする行為に...
病院がちょっとした騒ぎに成りました。
そこで躍るは希ちゃん。優しき言葉で交わし捩じ伏せ、更に不足無く処理して病院周知。悪に対する女の結束は強く、私達全員で絶対防壁固めてお婆さんの想いを守りました。
最後にちょっと思い出残りました。


そ~れから。え~来年末にプレイステーション5発売?
私、まだ1年キャリアなのに。
確かにバグは多々有ったけど、それって作り手のチェック不足なんだからこれ以上性能を上げても、作り手の負担増になるだけのような気がします。
発表されているのはコントローラーの感覚が体感的に成るらしいのですが、そこまで必要があるのか分かりません。出たらきっとその感覚は注目されるのでしょうけれど、現在でも6000円くらいするコントローラー、次は幾らに成るでしょう...
壊れ易いので、意外とお金が掛かります。
プレイステーション4のソフトが減っていくのかなあ...機械も増えて大変。あと5年くらいはこのままで良かったのに...