2019も変わらず、呆れられても私らしく | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

明けましておめでとうございます。
ああ、明けてしまいました。2019年の始まりです。
もう楽しみでしかありません。明日のことは考えません。結果がどうであろうと、それも人生よ。
悲しいときはたっぷり蕩けるほど泣いて挫けてぶ~たれて、嬉しいときは全霊で浮かれ弾けましょう。
悶えるほどに辛い日々も有ったけれど、少なくとも今日は最高です。
初女の出。
...御見苦しいものを失礼しました。

今年もなかなか活動が制限されて行くと思うので、しばらくは準引きこもりっぽく地味に映画観て行くのでしょう。心だけは誰にも負けないくらい豊かになりそうです。:p

年末は映画「ドム・ヘミングウェイ」に涙し、心温かく終えました。いえ、それどころか感動してしまいました。
え~...と言われそうです。
少し前の映画なので、観た方も多いでしょうが、この映画、なかなかの曲者映画です。長い間、胸に引っかかって、時有るごとに思い出し続けていた作品のひとつだったんです。理由を確認してみました。
突然に刑務所を出所になったドム・ヘミングウェイ。彼はボスの身代わりに罪を被っていました。
彼の生き甲斐は、精一杯粋がる事と出所後のボスからの報酬。無駄にしてしまった時間を取り戻そうとあれこれ考え、何より先ずは金だ!とボスの居るフランスへ。彼は報酬を前に祝杯をあげ楽しむが、交通事故にあってしまい...

主演はジュード・ロウ。「真夜中のサバナ」や「ファンタスティック・ビースト」でもイケメンぶりが嫌味に成らない英国紳士。しかし、このドム・ヘミングウェイでは口を開けば女とセックスの話ばかり。頭は禿げ上がりお腹はでっぷり飛び出てる。もう、本当に典型的なチンピラ駄目オヤジ。
また中途半端な見栄とプライドがあり、それが次々と悪い結果を導き出す。それなのに全く懲りないダメ男。
映画の主人公としては最悪である。
更に気分が乗れば後先考えず、遊び呆ける節操無し。そりゃあ、何事も上手く行かないはずだ。全て自業自得である。
しかし。彼のいいところであり愛すべき部分は、そんな自分に飽き飽きしていること。そして、してしまった事を悔やんでいること。そんな想いの先は家族に向けられている。そう、彼は何より家族を愛している。
刑務所に居て、妻を失い、死に目に会えなかったことを相当に悔やんでいる。そして娘と離れ、素直に向き合ってくれないことを強く嘆いている。ただ、ダメ男は着実な方法でそれを繋ぎ止められない。
報酬。それさえ有れば何とか成ると信じ込んでいるギャンブラーみたいな思考持ち。
しかし彼の周りには何しろ、ろくなやつが居ない。それは彼に因縁を被らせて来たり、折角の希望を奪ってしまう。

ドムはある意味、バカボンのパパのよう。自分の理論を振りかざし、大暴れして全てを台無しにする。
ただし「これでいいのだ」とは割り切らない、いや、割り切れない。はじめちゃんならぬ娘エヴリンに何より嫌われたくないから。
ドムはよくアメリカ映画で観る、作られたような本気の馬鹿ではない。人が指摘しても意味が分からず空を見ているような無知でもない。全て分かっているけれど上手く出来ない、そんな惨めな堕ち零れである。
同情しないはずが無いじゃない。私も大して変わらないんだもの。:p
そんな愛すべき?ドムは全力でフランスとロンドンを駆け巡る。何とかして人生を立て直そうとする。それがまた更にエヴリンを遠ざけてしまう。何とかしなきゃ!そんな焦りがまた失敗を招き寄せる。

こんな映画で感動したの?と言われそう。
でもひた向きに頑張る男の哀愁は、「トレインスポッティング」のような駄目さの先の可愛らしさに辿り着く。男ってさ、弱さを見せた時が一番可愛らしいのよ。
そして、この映画の最大の魅力は、脇役の手本のようなふたりである。ひとりは相棒ディッキー。彼はドムの暴言や暴走にも付き合い続ける。時に叱咤し、時にウィットで交わし寄り添う。何しろ良い男である。
そして心に残るほどの名脇役メロディ。彼女の屈託の無い笑顔とツボを突く指摘は達観している。そんな彼女に的を突かれて心内を吐き出すドムの姿は、あまりに哀れで涙を誘いました。
ドムはこのふたりに確実に救われる。
それでも終局はボロボロのドム・ヘミングウェイ。馬鹿は死ななきゃ分からない...そんな揶揄な言葉を思い出すほど、まさに馬鹿をさらけ出しているドム。
しかしちょっとだけ贈り物が残る。幾つもの素敵なものは失わずそこに有る、それに気付かされる。それを噛み締めて、ドムは少しマシになれて明日を迎える。
大騒ぎの夜を終えた翌日の早朝のような、ちょっとだけ清々しい気持ちになれる映画です。二度観ても、たっぷり満喫致しました。
ただし。汚い言葉とお馬鹿に同調出来ないならば、げっそりすること請け合いです。
映画のイメージがこんなですもん。

娘役エヴリンを演じたのは、かのエミリア・クラーク。(●´ω`●)ノ今や「ターミネーター、新起動ジェニシス」「世界一キライなあなたに」「ゲーム・オブ・スローンズ」で有名に成りました。
今作ではあまり目立つ役では有りませんが、穢れたドムの穢れなき存在として充分な煌きを撒き散らします。歌も披露してました。
相棒ディッキー役はリチャード・E・グラント。芸達者でキャリアも充分、今作のキャラは最高でした。
メロディ役はケリー・コンドン。「アベンジャーズ」シリーズでフライデーと言う役を演じているそう。ただし多く声のみらしいので、どんな役でしょう?


さあて。今年もお馬鹿に生きよう。
生真面目に息苦しく生きるなら、恥をかいても一番大切なものの為に生きたい。
良い初夢、観られるかしら?
何より、愛する姪っ子ゾーイが病気ひとつせず、健康にありますように。私も、あなたも。