性別適合手術後に待っていたのは、辛いと言うこと | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

10月29日。
朝。久しぶりの日本の朝。
ゆっくり眠れました。2時間ごとに起きていたタイより、やはり実家なのかな、安心しているのかな。
溜まっていたらしい疲れが各所に出ています。体全体に軽めの重りが付けられているみたい。
私は体をヘッドに託して、更にひと眠り。
ぐっすり。
トイレにも気持ち良く行けました。
久しぶりの実家。
何も変わらない筈なのに、ちょっとだけ慣れない。何が何処に有るのか分からない。
ゆっくりと、温かい紅茶を飲みながら過ごす朝。
馴染んで行く私の世界。
昨日の朝までタイに居た事さえ、夢みたい。

今まで、私の世界は狭くて、広げたいと願い続けていました。でも、今は"もの"が要らない。休めて食べられて眠れればいい。
私のぼんやり世界は更にゆったりとしたスローライフに、タイが変えてしまったようです。
無駄に時間を過ごす楽しみ。騒々しいワイドショーが全く面白くない。
日本人ってこんな顔だったかな...タイの人達の顔付きが愛しい。
たくさんの経験を思い出してはくすりと笑い、母に報告。
何回言ったか「そう言えばこんな事が有ったんだけど...」
タイはまだまだ私の心を暖めています。


さあて。
私の仕事。ダイレーションをしなくちゃね。
患部は劇的に治ったりはしません。
相変わらずの"傷を治そうとする脂肪"が張り付いて、何と無くどろっとしています。
ただし、最後の施術前よりは落ち着いています。
脂肪が体液と混ざり流れ出る量も少なく、運良く出血も少ない。
ただね、立った時や食事の後とか何かしら患部が重くなるのは辛いです。
痛くはありません。ただ、いつも重く感じて、いつも座り心地が悪くて、患部を心配してしまいます。
落ち着かない時間を過ごし、13時、ダイレーションを始めます。
1日の配分を考えて私は13時と20時にダイレーションを行う事を決めました。
昨晩も帰宅後に自宅での初ダイレーションを行いました。21時頃。約23時間ぶりのダイレーションでした。
先ず1号を1時間挿入し、続けて2号を30分挿入しました。さすがに大変でした。1号でも入れ辛く、2号は大変でした。
だから今日も1号を30分挿入してから2号を1時間挿入します。
ダイレーションは設備が整ったガモンとは全く違います。
体は痛くなるし、落ち着かないし、体液の漏れも気になって仕方がありません。
終わらせる時にも、居間でダイレーターを抜いたらば、敷いたタオルの上に尿を漏らしてしまいました。寒いこの時期に、1時間半もダイレーションを行うのは体にも付加がかかります。
消毒は風呂場で行い、居間に戻ってきて、ダイレーションをします。終わるとまた風呂場に行き、消毒をして終わります。
何よりこの時期の日本は寒いです。
私は暖房が苦手なので、あまり温められません。ある程度温めてみても、それでも身が縮こまっているのか、ダイレーターが入りません。座り心地を安定できなくて体は痛むし腰は痛むし、いちいち辛い。
何回吐いたかと思うくらい溜め息を吐きました。
痛いの?やはり辛いが正しい。
本当に辛いです。
1日中、患部が重いので気分も晴れません。
朝起きて、食事をして、ひと息吐いてダイレーション。重みが治まり始めると、食事をして、またダイレーション。ぐったり疲れて、気付けば眠る時間。
明日を思い、また肩を落とします。

29日の夜。
私はあまりの辛さに涙を流しました。
思わず零れる嘆き。
「もうやだ...もうやだよ...辛くて堪えられない」
ダイレーターは2号。全く入りません。
でも、私の傍でどうしてあげたら良いものかとオロオロする母を見て、私は諦められません。いいえ。母が居るから、嘆く事ができるんです。ごめんね。
私は踏ん張ります。
ただただ涙は零れますが、私は口をつぐみ、歯を食い縛り、ぐいとダイレーターを押し込みます。
皮膚が千切れたのではないかと思うくらいの、重い感覚がのし掛かります。
全身が痺れ、体の中が捩れて行くよう。
ただ、ほんの少しだけ、辛さが解されます。でも、楽になんかなりません。
私は僅かな"きっと"だけにすがり、数分を息を止めて堪えるのです。
しばらくすると、辛さが鈍って来ます。私は息を吐き、強張った体から力を抜きました。
はあ~...
ほっとします。
私は何故か、この時、自分の胸の膨らみを触ります。未だに理由は分かりませんが、もしかしたら、挫けそうな私に「あなたは女、本当の姿に戻ろうね」と僅かにも女足りている部位に触れることで、鼓舞しているのかもしれません。
1時間半の長い苦行。
地味で淡々と流れる時間。時折、思い出したように重くなる患部。
無意識に零れる「辛い...」

終わる頃には寒さも有ってか、小用がしたくなります。
私は必死で堪えながら、1時間半をめいっぱいカウントし、そのまま風呂場へと走ります。
風呂場で身を屈め、そっとダイレーターを抜くと、大概、緩んだように小用をそのまましてしまいます。
ダイレーターを抜く時には辛さはありません。それどこれか楽になり安堵に包まれます。漏らすほどに。:p
その後、消毒をし、薬を塗布して、ダイレーションは終わります。

ダイレーションはタイでするより遥かに辛いです。環境のせい?大気のせい?寒さのせい?分かりませんが、何しろ辛い。
この辛さは、痛いとか苦しいとかとは違い、でもそれらを含んだような、重さ。
そして不自由な辛さ。
身体中に溜まった吐き出せないガスのようなものを必死で吐き出そうとしているのに、全く出ていかない。
なのにガスはますます溜まって行き、身体中に広がって息苦しくなっていく。
そんな辛さです。

また溜め息。また溜め息...
なんで私はこんな事をしているのだろう...
何度も脳裏に浮かびます。
性交渉ってそんなに価値があったかしら?私には去勢さえ必要が有ったものだったかしら?
分かりません。
いつか、「この日の為に私は頑張ったんだ」と実感出来る日が来ると信じて、今を歩き続けるだけです。


今日、31日。
ダイレーター2号が膣に全く入りません。
必死で5分掛けてようやく4インチ。
プランではそろそろ3号にしないといつまでも進みません。
悲しくなります。
私は成し遂げられるのでしょうか?
傍らの愛する人、華々しい人生...何かが待っていれば希望も湧きそうなもの。でも私には未知しかない。未知は可能性、でも"分からない"は怖い。
何とかしないと。私は長い間忘れていた、たくさんの感情に苛まれて、頭も心も安らぎばかり求めています。

まだ700回はしなくちゃいけない...

まだまだ頑張ってます♪


タイから帰る前日、アマゾンである漫画を注文していました。「人魚の王子さま」です。
私をひと時癒す漫画です。
ある人間に成って恋をしたいと願う人魚が、願いかなうのですが、人魚の時は女性だったのに人間になったら男性に。
心は女性(中性?)、体は男性。そんな人魚の奮闘劇です。
人間の男性に救われるので恋愛みたいな関係になってしまったりして、ロマンス要素も有ります。見た目、男同士ですけれど。
感情に正直で、良かれと思って大失敗して、挫けてしょげて、でも褒められて労られて元気を取り戻す。そんな人魚はあまりに可愛らしく、おこがましくも親近感を感じます。
私にはこの漫画がトランスジェンダーの漫画にしか思えず、愛しさがみんなより200%で楽しんでいます。
女(男)に成って恋をしたいと願い、繊細ゆえにエキセントリックだったりアンプレディクタブルだったり。心の声を聞きすぎるあまり、自らを犠牲にしても愛する人を慈しむ。
ふふふ。断言してしまおう、トランスジェンダーとは、人魚なのです。
トランスジェンダーを知りたかったら、ぜひ、漫画「人魚の王子さま」を読みましょう。(^∀^;)



おまけ。
ヤフオクで「ズートピア」のBlu-ray落とせなかった~。( 。゚Д゚。)
年末のコミックマーケットは行けそうに無いので、来年春の"キャラクター1"では出来たらウサギのジョディのコスプレしたいな。
今度は堂々の女の子だぞ。カメラ小僧らよ、撮りたまえ。
まだ戸籍は男だけど。:p


...ダイレーションは辛いけれど、私を満たす期待もたくさん有ります。
いつか"私"を見付けられる筈、そんな期待。
私を見守ってくれているたくさんの人達の声が、私を支えてくれます。
私はひとりじゃない。
だから、あなたもひとりじゃないよ。
(○´∀`人´∀`○)