性別適合手術後、16日目。安静日 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

筋肉痛って意外に無いもので、元気いっぱいです。私って若いのね。:p
寝た切り5日をして、筋肉を失い浮腫んだ脚は、すっかり元通り。逞しくぶっとく生え揃っております。
窓の外を眺めると、ハイウェイの向こうに高層ビルが見えます。
高級住宅地、庶民の街を余すところ見たので、次はあそこ?と舌なめずりしてしまう私です。
でもあの交差点を渡れるかなあ?それにさすがにちょっと遠そうです。

今朝、患部を視認してみました。
腫れている右側に比べ、小さくなっていた左側の小陰径の下の方が、潰れたような形に。
う...私、大丈夫か?
まあ、形くらいならみんなそれぞれ違うもの。気にはしないけれど、しっかり形が残った右側からすると、なんか変な感じ。
落ち着くまでは、やはり歩くのはやめておこう。
ちょっと血が出たので、貧血ぎみ。

朝食はカルボナーラのパスタ。バナナ。

今日は快晴ながら、空に浮く雲が厚い。何やら雨の気配を感じているのは私だけでしょうか?


現地時間11時。
ダイレーションルームへ向かいます。
看護婦さんは昨日の段階で私の患部をどう見たんだろう。
しかし今日も特に何も言われず。
ただ、ダイレーター、今日はキツいです。なかなか入りません。
看護婦さんは11cmで諦めてしまいました。私はそんな馬鹿なとお尻の置き方を変え、ちょっとだけダイレーターを押してみました。すると13cm手前まで入りました。
何とかなったけれど、私の中に2号って入るの?
相変わらず痛みはありません。

また40分ほど居眠りしました。
ダイレーターを出す時はあまり違和感はなく、ただ少し血がついていました。外のものか、中のものかはわかりません。
看護婦さん、にこっと笑って「12cm」
あと1cm有る筈なんだけど、入りそうにないよ~。
ちょっとしょぼくれて、ダイレーションルームを後にします。


昼食です。
ガモンホテルでの隣室の方に食事を誘われましたが、アテンドさんとの遠出に誘われていたので、ごめんなさい、してしまいました。
その時、彼女、優しい笑顔でそっと私の腕に触れました。不思議な気持ち。
どれだけたくさんの人と触れあい、親しみ、その信頼に満足していても、それ以上の"触れる力"を思い知ります。
いい気持ち。
信じなければ、人は人に触れない。愛しみ、求めなければ、信じない。
私はそんな彼女の強い信頼を感じ取ってしまったのでしょう。
去り行く彼女の後ろ姿に声を掛けたくて、でもアテンドさんの手前も有り、躊躇う私。
まだまだ私は、心も意思も弱い。

車に乗り、出発です。
ガモンから繁華街と逆方向へ走ります。
こちらは100mくらい、寂れたフードコートまでは来たんです。
車はその更に先へ。
起伏の有る道、蛇行する道。
ガモン周辺では見られない、乗り合いバス、扉が開きっぱなしの今にも壊れそうな巡回バス、そして川、水上バス、みんな知ってます。
こちらから来たら、川まで大した距離では有りませんでした。でも道が歩き辛いのが難点。
また倍ほどの距離を行くと、大通りに出ました。見覚え有ります。
昨日、歩いた学生の繁華街。
橋を伺いながら曲がった道よりもっと遥かに手前に出てきました。昨日、あのまま歩き続けていたら確実に迷子でした。
やはりアテンドさんによると、ここは大学通りのようです。今日も学生さんで溢れ返っています。
大通りを走り、見覚えのあるものを懐かしみながら、更に先へ車は走ります。
何も無い路地に車が次から次へと入るのが見えます。
そこに私達も入ります。
その先は複雑な立体道路になっていて、またその先にあったのは見た目、ホームセンター。しかし車を停めて中に入ってみると、とても立派なモールでした。
平日なのにものすごい混みようです。
立体駐車場に入るにしてもなかなか車を進められません。
ただ、さすがのタイの人々。多岐から合流するも、順番争いは有りません。程好く譲り合い、流れが滞る事が有りません。
ちょっと面白かったのがバイクです。
車と同じ通路を走るのですが、狭い道なのに車を追い抜いて、どんどん進みます。
普通なら諦めようほどの僅かな隙間も、車と車の間でもすいすい。
私は唖然。アテンドさんも「タイ人は運転が上手すぎる」とこぼします。
普段の道でもそうです。広めとは言え2車線の道には多くの路上駐車が躊躇い無く停められています。ペーパードライバー気味な私なら迷わず軽自動車で走りたいもの。でもタイでは1度も軽自動車は見ていません。アテンドさんも「まず売っていませんから。ただ、日本から送られてきた古い型のをたまに見ますよ。車って思っているより遥かに長く乗れるものですね。日本じゃ直ぐに買い替えますもんね」
「確かに。バスなんて外装がボロボロで走っていますよね。ドアや窓が無いのは取ったのか取れちゃったのか気になります」
そう言えば、よく路肩に車を停めてボンネットを開けている姿を頻繁に見掛けました。
こんな道事情とメンテナンス対策の為にバイクが重宝されているのかもしれませんね。
もとい。
私達はモールのフードコートに向かい、そこでまた2品選んでご飯にかけるスタイルの食事をしました。
おかずにしろ食そのものにしろ、種類豊富で、綺麗、そして意外に安い。
魚のフライと野菜をあん掛けにしたものと、瑞々しい胡瓜と卵を炒めたものを頼みました。
在り来たりな味でしたが、美味しかったです。多様な人に合わせる為か辛味が控えめかもしれません。香辛料の香りもさほど漂いません。
アテンドさんさえ構わなければ、またここに来たいです。
フードコートはカードに現金をチャージして使う方式に成っています。余れば即時、手数料無しで返金されます。
50バーツ。

モールは警備員に溢れていました。
出入り口には2人ほど、中にも各所に立ち並びます。
立体駐車場に入る際にも、トランクを開けて警備員が確認する念の入れようです。
アテンドさんによると、少し前に起こったテロに対する厳重警備のようです。
テロ...
思わず、私でさえ、頭を巡らし、ほんの少しだけ胸の内でざわめきを感じてしまいました。

お土産を少し買って、帰ります。

干しバナナのチョコ掛け、海老の辛味佃煮?、トムヤムクン味のナッツ、ドライライムの皮♪


帰宅しようとすると、空が怪しくなってきました。
部屋に入ると同時に、パチパチと音がしたかと思うと、瞬く間に雨雫が窓に叩き付けられました。豪雨です。
私はほっとしてベッドに体を預けました。窓の外に目を遣ります。
灰白色の空。滴模様に形を失う風景。
深い溜め息。
何を見るわけでも無く、ただ、雨音の中で、雨に冷やされて僅かに下がる室温を肌で感じながら、虚ろな時間を味わいます。
降り頻る雨や雷は、世界だけでなく心に潜む何かをも洗い流してくれるような気がします。
滲みぼやける窓越しの空。
耳心地良い音、不快な音、全ての音が雨音に掻き消されていきます。
ぴちゃぴちゃと弾け、零れ落ちる雨滴。
雫の影が部屋に不思議な模様を描き出す。
私はこんなにも渇いているのに、何もかもが満ち溢れる水に沈んでいくかのよう。
繕われた私。秘められた私。
沈み行く内に、その境が曖昧になる。
全てを投げ出したくなる。全てを晒したくなる。
抗えない。溢れ出す私の滴り。
抗いたくない。この身が全て溶け出して、揺らぎ、さざ波をあげるまで。

世界が穏やかさを取り戻す。光が射し、濡れそぼった私を純白の幌に浮かび上がらせる。
"みそぎ"を終えたように私は清らかに。ほんの少しだけ洗いきれなかった濁りを宿して。
私は体をそっと起こす。
湿った唇を舐める。
甘い。でもほんの少し塩辛い。
そうして、私は私にほっとする。

鳥の囀ずり。心地良い雲間からの陽射し。
私はそのまま眠りに落ちてしまいました。

目を覚まします。
時間は...
16時2分?!
私は慌ててスカーチョを履いて、部屋を飛び出します。
アテンドさんは丁度電話中で、時間の確認が出来ていなかった模様。
私達は慌ててダイレーションルームへ向かいます。
12分過ぎ。
すみませ~ん...とばかりに入室。
看護婦さんは淡々と対応。
1時間。今日は考え事をして過ごしました。
私の体のこと。

ダイレーターの深度は私が見た限りでは13cm。でも、もしまだ入りきれていないと言うならば、ちょっと入りそうに有りません。更にこれ以上の太さが入る気など、全くしません。
6号?想像も出来ません。
1年のダイレーションは、果てしなく長く感じます。


夕食はアテンドさんの急用により、ひとりで頂きます。
時間は少し有ったので、付き合ってもらい、餅米とお肉もろもろの唐揚げを持ち帰りました。
しっかりとした味付けがされた唐揚げで、なかなか美味しかったかな。
脂身たっぷりの部位は秀でて美味しかったです。
さすがに4種類全部にしたのはミスで、おばさん、1日の最後だからとサービスも有り、量が多いのなんの。
満腹では無く、濃い味に口が飽きました。
85バーツ。


夜は「ラストデイズ」と言うスペイン映画を観ました。
人々がなんらかの理由で屋外恐怖症に成ってしまいます。ある者は家に、またある者は会社から出られません。
外に追い出された男性は痙攣しそのまま息絶えてしまいます。
人々は恐れおののきながも生きようと足掻きます。中には略奪にはしる者も。
次第に人々は諦め、ただ集い、生きるだけ。
しかし愛する人を探し出したくて諦めなかった男がいました。
彼は下水口や地下鉄を辿り、一路、家を目指します。余りある失望の中で、小さな希望と出会い、拾い集めながら、彼はただ進みます。彼女のもとへ。

低予算では有ると思いますが、胸に来る映画でした。
諦めない男。
そう、諦めてはいけないのです。
彼は幾度と無く苦境に晒されます。そして幾度と挫けそうになります。
でも彼は記憶と言う希望にすがり、共に寄り添う仲間を信じ、愛を胸に歩きます。

昨日、私の言葉を大切にしてくれていた方のエールを頂きました。
そのあなたの言葉こそが、私の力となっているんですよ♪
改めて、ありがとう。
私には幸せを忘れてしまうほどの苦悩が有りました。でも作り出し、育んだ希望が有ります。そして寄り添う仲間が居て、必死で向き合い説得した母が居ます。
大きな愛、小さな愛を掻き集めて、私もまだまだ明日へと歩みを進めます。
私も絶対に諦めない。



でも気楽が一番♥