性別適合手術後、11日目。タイでの小さな散歩 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

夢を見ました。
私はこのガモンホテルで寛いでいます。
ふとドアがノックされました。
私は、ドアを開けます。
すると、コンシェルジュさんが笑顔で私を廊下へと導きました。
そこにはアテンドさんにガモンの日本人スタッフさん、そしてタイに来て親しんだ全ての人が、私を祝福するかのように手を叩いています。
私はただ驚くだけ。
するとダイレーションルームの看護婦さんが私の前に歩み出て、こう言いました。
「あなたは今日からタイ人よ」
拍手喝采は止みません...
目が覚めて、ベッドの上でぽつんとひとり。
「まぁ、悪くないかな」
タイに慣れてきました。


最近、朝がだれて来ました。それだけリラックスして来たとも言えますが、尿対策に苦しんで疲れているからかもしれません。
今日も配膳のおばさんが来るのをベッドで待ってしまいました。
さすがのおばさんも、入っても大丈夫?とばかりに警戒。
私、大丈夫なんだけどね。裸でも。:p
今日は少し前からトップスだけは着ていたので大丈夫よ♪

朝食はダノン・ビオのライチヨーグルトとツナサンド。それにバナナ。

現地時間11時。
おや?アテンドさんが来ません。体調不良がきついのかしら?
5分待って、アテンドさんにメールだけは入れ、ダイレーションルームに向かいました。
いつも任せっぱなしだったから、エレベーターを動かす為のカード認証さえ自信がない。
でも、見よう見まね。( ´∀` )b

ダイレーションルームでダイレーターを挿入した頃、アテンドさんが到着しました。
「どうも...」
「大丈夫?」
「すみません」
「ううん、それより体は大丈夫?」
「少しは良くなって居るんですが...」
「う~ん、そっか...」
無事で良かった。事故とか体調不良で倒れたまま動けないかしているのかと思ったんだぞ、この馬鹿たれめ。
つい肉じゃが作ってあげようかとか、滋養の有るものは...と考えていた私。
でもお陰でか、ダイレーションはあっという間に終わりました。
隣りにIVANちゃん(仮)が居ると思うんだけど、やはり脚が辛いらしく、随分、頻繁に動かしていました。
疲れはどうしようもないので、妄想で乗り越えられなければ、スマホかウォークマンを持って行きましょう。


昼食です♪
アテンドさんに気を遣って「食べられそうなのでいいから。大変そうならコンビニで良いから」と言っても、ちゃんと私に良かれとお店を探してくれます。
「調子は良くなってはいるんです」
「なら、調子が許す程度に合わせたもので」
そしてアテンドさんが選んだのは
「ラーメンいきますか?フォーみたいな麺ですよ、どうです?」
「はい」のひと声で決まりました。
店内は混んでいて、多くの人がラーメンとライスで食べています。
私はトムヤムクン・ラーメンを注文しました。アテンドさんは野菜中心のラーメンです。
机にはうっすら黄色の飲み物が置かれ、セルフで金属コップに氷を詰めてストローを差して、そこに流し込みます。
それは「レモネード?」と思った私を裏切ります。
ただの水。でも何かが違うような。
「ハーブを煎じた水なんですよ」
「あ~そうか、この黄色はハーブなんだ。確かに口に残るものが有ると思ったんだ」レモングラスかと思います。
ラーメンが運ばれてきました。
麺は透明の麺。量は意外と少ないです。
汁もあまり多くはなく、代わりにハーブやら肉やらがたくさん入っていました。
赤系の汁にも何やら混ざっているような印象です。
ひと掬い、口に運ぶと、トムヤムクンらしい清々しい味が口に広がります。ネギがちらほら、お肉もレバー1枚と鳥の肉団子2個、そぼろ肉がたっぷりで、まあ、味に飽きません。
何しろスープが逸品で、すごく後味が良かったです。軽く完食。
アテンドさんも殆ど食べたようで、体調は回復しているんだなと、安心しました。
料金は50バーツ。

問題がひとつ。私、いつもアテンドさんより早く食べ終わっちゃう。女としてどうなんだろう。:p


帰宅して、直ぐにトイレに駆け込みました。何故かなあ...
部屋に入る時と寝て起きた時は100%もよおします。
帰宅時、また共有スペースでIVANちゃん(仮)が家族と会食を楽しんでいました。
私はまたもや関わるどころでは無かったのですが、彼女の笑顔、天使のような美しさでした。
もう、早くもIVANちゃん(仮)とは呼べません。
小用を終え、鏡の中の私を見詰めながら、わざわざひどい顔をして、虚しさに心で泣きました。

しばらくぼ~っとして考えます。私の人生とは。
全く頭は回らず、すぼら姫はいねむりです。


現地時間16時少し前。
午後は午前と違い、行きだけでなく帰りも独りでダイレーションルームを為さなければなりません。
ちょっと迫る時間にドキドキしながら、また、うとうと...
時間直前に飛び起きて、慌てて飛び出します。

で。エレベーターに着くとコンシェルジュさんが「Hi」と呼び止めました。
私は逆走。すると
「How're you?」もう少し言葉が足されていましたが忘れました。
「I'm OK, I'm fine」そう答えました。
何か言葉を挟みましたが、文の最後に彼は「Are you japanese?」と。
「Yes, i'm japanese.」
すると彼はちょっと自問自答したようなひとことを添えた後、ちょっと辿々しい日本語でこう言いました。
「あなたは、可愛い」と。
その時、私の周りに花が咲きました。
白と黄色の花が、ぱあっと咲き乱れました。
私は腰が抜けそうに成りながら「Thank you♥」と返すと手を振って、エレベーターへ。ダイレーションルームへと向かいます。

私の人生とは。
こう言う小さな喜びをかき集めて生き長らえること。
ある程度たまればきっとお皿くらいにはなるでしょう。

ダイレーションはこの「可愛い」を振り返って、ほくほくしている内に終わってしまいました。
日本じゃコスプレしていても、総すかんなのに。なのに。
あぁ、何故、私に希望を与えるの?
わざわざ呼び止めてまで「可愛い」なんて言われたら、正直、気絶しそうです。
言われるとこんなに嬉しいんだ。しばらく忘れていました。
...初めの「How're you」から実は「その日本語を教えて欲しい」とかだったらどうしよう...と、また言語能力の乏しさに悔やむ、お馬鹿一匹。

もとい。
私の場合、全ての作業や治療にアテンドさんが付き合ってくれています。
ですが多くのアテンドはそうはいきません。
様々な場所に、ダイレーションさえも心細そうに独りで挑む方を見掛け、え?アテンド居ないのと思った事も多く有りました。
うちのアテンドSophia Bangkokは、多くのアテンドより多少なり、安い価格でアテンドを担ってくれます。
追加料金も無いし、基本、全ての場に付き添って、スタッフが日本人であるが故の分かり易い日本語でフォローしてくれます。
安心感は料金に比例しないんだなあとつくづく思いました。
他のアテンドには、日本語は流暢でも今時の若者風なアテンドさんも居て「○○っすよ。マジっすか?」とか言っているのを聞いて、がっかりした光景を見掛けた事が有ります。


今日もダイレーションが終わります。
隣の不明ちゃん、終わり際、看護婦さんの声が聞こえます。
「セブンティーン、Wow」
次、私なんだよね。なんか侘しい。
「13cmぃ~」


今日はアテンドさんが事情で午後は休み。ダイレーション後は、周辺散策に出てみました。
いつもと反対に行くとモールがたくさん林立し、その周辺に食堂がずらっと並んでいます。モールにはたくさんの警備員さんが居て、私が扉の前を通り過ぎようとすると、さっと扉に寄って「開けますよ」との素振り。私は笑顔で「入らないけれど、ありがとう」と感謝しました。
結構、馴染みのお店が目立ちます。
ウェンディーズ、ケンタッキー、マクドナルドにダイソー。店の雰囲気も店員の対応も日本とさほど変わりません。
道は車とバイクが縦横無尽、なのに大きな交差点も横断レーンは有るものの、信号が無い。隙をみて渡る大変さ。
稀にボタン押しの歩行者信号が有るのですが、横断中、私の後ろや前までも掠めるようにして「行けるなら行ってしまえ」信条の方達ばかりで、ちょっと怖かったです。
あげくカウント早すぎます。
バイクタクシーが多く、あちらこちらの道端にずらっとバイクが並び、運転手が集って座り込んでいます。
アテンドさんいわく「中心部だと道が混むので、バイクは車の間を抜けていけるから重宝されているんです。結構、儲かっているらしいですよ」
バイク事情は一般でも、なかなかのスポーツスタイルなものを軽くこなす女性も多いです。
何より、恋人ふたりのバイクは見ていて惚れ惚れ。映画「愛と青春の旅立ち」の曲が聞こえてきます。
でもスクーター3人乗りは見ていて怖い。子供を混ぜた4人乗りを見たような...

大通りをすいすいの屋台さん。

白線は消えているし、車も屋台もバイクも所構わず、停車、発車。なのに事故が起きない。クラクションが鳴らない。罵声を聞かない。
"安全"とは。考えさせられます。

カメラソフトのタイムラグを上手くこなせず、写真は撮れていませんでしたが、途中、ブライダルショップを見掛けました。シンプルで綺麗なクリーム色のドレス。
私はさほど結婚式には憧れては居ませんが、やはり私にも乙女心が有りました。意に反して、胸はきゅんきゅん痛みます。
入り口で時間を待つお2人さん、お幸せに♥

1キロ圏内をぐるっと巡り、ガモンにただいま。いつも目を反らし気味な警備員さんも笑顔でおかえりなさい。
あぁ、素敵な午後でした。

夕食は"Tamarind"のドライフルーツと、来た日に買って食べなかったチョコレートのカップケーキを食べました。
タイのパンって暑さで傷まないように、保存料が多いのかな?2週間、全く傷みません。


ふと、こんな意見を目にしました。多少、要約しています。
「最近多い「なんで女になったの?」と言うコメント。もう少し頭の良いコメントしよう。逆に質問。「何故トイレするのか?」「何故ご飯食べるのか」と。聞かれたら、ぽか~んとなるでしょ?」
この類いの想いは多い。
しかし私は考える。
タブーとは何かと言う事を。
元来は宗教的禁止事項らしい。
しかし特定の宗教が多用社会の中心でなくなった現代では、誰もがやめて欲しい事、そんなところではないか?
それは、その意味する対象を"貶めたり辱しめたりする事"とは言えないでしょうか。
「何故、女になったの?」は、意図するものが歪んでいない限り、それに当て嵌まらない。
確かに、聞かれる事が嫌な人も居るかもしれない。
しかし、無垢な問いに答えるのも大人のすべき事ではないでしょうか。
イスラム教の信者に「何故、お祈りするの?」と聞いたら「当たり前の事だからさ」と答えるでしょう。
空気の必要性、水の意味、全て当たり前だけれど知らない事も多い筈。知りたい渇望は止められるべきではありません。
私達は知っている。私達の事を。
語れ。それが何より私達が知ってもらいたかった事だったならば。


現地時間19時。何と無く疲れ、ベッドへ。
ぐっすり4時間眠りました。
起きて、小用をして、また眠ります。
今日も穏やかな1日でしたが、とても充実した1日でした。