ガモンホスピタルでの清々しい週末 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

今朝はゆっくり3時起き。うとうとしながら、いつもより静かな朝を過ごしました。週末だからか、病院全体が静かです。
さすがに髪の油っ気と匂いが気になり、ティッシュに水を含ませて拭いました。
結局、油っ気は取れず、べたつきは相変わらずですが、ちょっとスッキリしました。
しばらくして、朝一番の血圧測定と体拭きでしたが、お腹を冷さないように巻いたシーツがばれて、大笑い、ちょっと心地よい1日の始まりです。

カーテンを少しだけ開けて貰うと、そこに小さな点が。それ、てんとう虫でした。真っ赤なてんとう虫。
確かてんとう虫って子沢山だから繁栄の象徴とかじゃなかったかな?
だから日が昇ってきて部屋が暑くなってきたけれど「閉めます?」との問いに「ううん、いいの」
これでいい。

朝食は目玉焼きとウィンナーにパン。


現地時間9時頃、患部の消毒です。
淡々と行われ、最後に写真を撮りました。
その際、一番、世話になっているインターンの子(朝の子です)が、患部を見て、すっと私の方を向きました。
そしてにこっと笑うと「ビューティフル」と言ってくれました。
私は意味が分からなかったかのように目をぱちくり、脳がその思いがけない言葉を喜びと認識してくれません。
すると彼女は首を縦に振り、もう一度「ビューティフル」と言って微笑んでくれました。
私は気にしていないつもりでしたが、心配の糸がこんなにも張り積めていたんだと実感するほど、その糸が弛み、体がベッドに降りて沈んで行くのを感じました。
はあ...ほっとした。私の目が、初めて潤みました。
看護婦さん達を見送りながら、タイに来て本当に良かったと、心からの安堵に胸を暖めました。

空はいつもより明るく、陽射しがちょっと暑いけれど、窓に張り付いてちょこまか動くてんとう虫を見詰めながら、ほくほくな胸に手を当てました。
「良かったね」


お昼は天ぷらうどん。うどんは上手く食べられます。海老の天ぷらが美味しい。
やよい軒、ありがとう。
おやつはカスタードあんのどら焼きとFuji-Chaなる緑茶。でもどら焼きは小さいのひとつ。も少し、おくれ~。
餌を与え過ぎると贅沢になります。

夕食は照り焼きチキン?なかなかでした。


今日はアテンドさんは10時過ぎと16時頃に訪れただけ。あまりに静かで長い1日になりました。
つくづく私は暇耐性有り有りでした。ぼ~っとしてても何とかいけちゃう。時々、妄想入れれば、2、3時間は軽く消失します。UFOに拐われていた可能性も...可愛いから...もう:p

体力の回復は著しいようで、午後に少しだけうとっとしたくらい。今も元気でおめめパッチリです。
回復が人並みもしくはちょっと遅れているのが腹立たしいわ。


今日はホントに静かな1日。だったのですが、何処かの誰かが何度もナースコールをしています。
あのナースコール、ふた音が繰り返し鳴るのですが、そのふた音が映画「グレムリン」の可愛いギズモが歌を歌う出だしの2音なんです。お陰で耳に入ってくるのなんの。

看護婦さんらのタイ語の話を耳にして、多分ではありますが、少なくとも私以外に2人は性別適合手術の患者が居るようです。
アテンドさんによるとガモンホスピタルだけで平日はほぼ毎日、性別適合手術が行われているそうです。年間200人とか。
げ。
とすると、タイの有名どころはガモンにヤンヒーにスポーン。200×3で600人?!
日本やアメリカでも行われている訳で、少なめ推定年間1000人?!
子供が減る筈です。
遺伝子男性の本格的な性別適合手術以外にも、睾丸を摘出する去勢や、女性の胸の膨らみを除去するもの、子宮除去、等があり、近年は女性の性別適合手術が非常に増えているようです。
世の親足る方々、性別を前提とした価値観ばかり押し付けると、子供は追い詰められますよ。
性別の価値観で縛り付けなくても、多くの子が性同一性障害を抱えるかもしれない、でも、愛があれば、幾らかの子は、堪えられる筈です。それで無理なら運命です。優しく抱き締めてあげてね。

今度は叫び声をあげてる。怒鳴りに近いかな。
私、"良い患者"のイメージを看護婦さん達に持って貰えてると思うんだ。片言英語でも仲悪くないもん。後に続く日本人の為にもなってるんじゃないかななんて、ちょっと奢っていたのに。
あの声の主が日本人じゃないといいなあ...まあ、でも、辛い時は叫んじゃえば何とかはなるかもしれないし。私もダイレーション、有るしね。
ガモンホスピタルはホントに良いとこぞ。看護婦さんも掃除婦さんも、みんな手を振ってくれるし、笑顔満々だし。
片言英語で全く問題なしさ。結構、日本語を話してくれるしね。
こちらは"笑顔"と「イエス」「オーケイ」「大丈夫」で何とかなるよ。


明日はカテーテルを外します。
インターンいわく「ちょっとね~痛いよ」( 。゚Д゚。)!
まだガーゼに血が付くので、期待通りにはいかないかもしれませんが、ひと先ず、立てるようにはなるでしょう。
あ~「シャワー浴びたいよ~髪を洗いたいよ~」そう嘆いたら、インターンの彼女、表情で「だよね」と言って微笑みで慰めてくれました。
しかし尿が上手く出ないと、カテーテルが戻されます。
その時はまた「...痛いよ」になります。( 。゚Д゚。)!

期待し過ぎて、眠れません。


突然「ガタカ」と言う映画を思い出しました。
近未来の社会で生まれながらにして劣等遺伝子とされた男が、優等遺伝子だけど半身不随に成った男の遺伝子を買い、エリートへの道を歩もうとする話。
私達はひっそりといつの間にか何かになって生きています。劣等だった遺伝子を性別適合手術で覆い隠し、新しいものとして生きる。特別じゃない。古来から有る、道端に転がる人生の物語。
ただ、そうして生き抜ける素養があるかが問題。
私はガタカの主人公のような"遺伝子に負けない才能"は無いけれど、頑張りは持てると思う。
今日まで生きてきた、それこそが私の素養。