HSPの認知が、

だんだんと広がりつつありますが、

 

本来のHSPの性質とは異なる情報も、

多くなっているようにも感じます。

 

 

ひといちばい敏感な子の中で、

アーロン博士はこうおっしゃっています。

 

最近、私はこの根底にある性質には「4つの面がある」と説明しています。

つまり、人一倍敏感な人にはこの4つの面全て存在するということです。

4つのうち1つでも当てはまらないなら、おそらくここで取り上げる「人一倍敏感」な性質ではないと思います。

参考 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン P425

 

つまり、

 

人よりも敏感であること=HSPとは限らず、

1つでもあてはまらなければHSPではないということです。

 

 

4つの面は以下のとおりです

 

D(深く処理する:Depth of processing)

O(過剰に刺激を受けやすい:being easily Overstimulated)

E(全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い:being both Emotionally reactive generally and havinng high Empathy in particular)

S(ささいな刺激を察知する:being aware of Subtle Stimuli)

 

 

 

D:深く処理する

 

敏感に反応したり、些細なことを察知する根底には「深く処理する」という性質があります。

物事を徹底的に処理したり、深く考えたり、は無意識で行われることもあります。

 

年齢の割に大人びた質問をしたり、あれこれ考えてなかなか決断ができない、じっくり観察して考えるので初めての人や場所を前に「行動を起こすのに時間がかかる」といった形でも表れてきます。

 

ヤージャ・ヤゲロヴィッチらによる研究では、HSPはそうでない人に比べて、物事の表面でなく複雑なことや細かいことを認識するときに使う脳が活発に働いていることが分かり、ビアンカ・アセヴェドによる研究では、脳内の「島(とう)」と呼ばれる、内面の状態や感情、体の位置、外部の出来事といった情報を統合して現状を認識する部位が、活発に動いていることが分かっています。

 

📖参考書籍 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン P425〜427

 

 

O:過剰に刺激を受けやすい

 

HSPは自分の内外で起こっている全てに人一倍気がつき、処理するので、精神的に負担がかかり、ゆえに体も人より早く疲労を感じます。

過剰に刺激を受けやすいのは、深く処理できる性質の裏返しです。

 

大きな音や気温の変化、匂いや肌触り強い光などからも人一倍刺激を受け、楽しいはずのイベントでも圧倒されぐったりし、興奮が強いと目が冴えて眠れなくなったりします。

 

ドイツの学者フリードリヒ・ゲルステンベルクによる、さまざまな向きのL字の中にTの文字が紛れているかどうかを判断する実験で、HSPはそうでない人よりも短時間で正確にできましたが、その後の疲労も強く感じたそうです。

 

過剰に刺激を受けるという性質は、自閉スペクトラム症(ASD)にも見られる特徴でHSPと混同されがちですが、まったく別のものです。

 

学術文献ではHSPの敏感さは「敏感性感覚処理」と呼ばれ、「感覚処理障害」や「感覚統合障害」とはまったく異なります。

 

📖参考書籍 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン P427〜429・P424

 

 

E:感情反応が強く、共感力が高い

 

過剰に刺激を受けることも深く処理することと関係がありましたが、感情反応も深く処理することと密接に関係しています。

 

HSPはどんなことにも人一倍注意を払い、観察し、学び、物事の一つひとつを深く感じ取り、涙もろく、人の心を読むことにたけていて、完璧主義で、ささいな間違いにも強く反応。

友人や家族、知らない人のストレスにまでよく気がつきます。

 

ヤージャ・ヤゲロヴィッチの脳の活動に関する研究によると、HSPはよい経験にも悪い経験にも人一倍反応することがわかり、強い感情を初めて体験した時に働く部位だけでなく、思考や処理をつかさどる高等な部位(処理の深さに関係する部位の一部)で見られたとのこと。

 

そして、HSPはそうでない人に比べて、ミラーニューロンの働きが活発です。

ミラーニューロンとは、ものまね細胞と呼ばれていて、相手の動作や感情を見ると、脳内で自動的に真似るという神経細胞のこと。

 

ミラーニュロンは模倣による学習の助けになるだけでなく、ビアンカ・アセヴェドの研究で、HSPで特に活発に働くことが認められた脳の部位と協働して(Dで出てきた「島(とう)」)、他人の意志や気持ちを深く酌み取る助けとなることがわかっています。

 

つまり、HSPはそうでない人に比べて共感を生む部位が活発に働いているのです。

 

📖参考書籍 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン P429〜431

 

 

S:ささいな刺激を察知する

 

小さな音、かすかな臭い、細かいことに気づくのは、感覚の器官が発達しているからではなくて(そういう人もいるが)、感受性が強いからこそささいなことに気づくのです。

 

人や場所の外見上の小さな変化、物の配置の変化に気づき、声のトーン、視線、しぐさや表情からいつもと違う変化を察知したりします。

 

ただし、神経が高ぶりすぎている状態だと、この察知力は発揮されません。

 

こうした性質についても研究データがあり、違いを見つける試験では、HSPの脳はそうでない人に比べて、はるかに活発に動いていました。

 

📖参考書籍 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン P432

 

 

「深く処理する」

「過剰に刺激を受けやすい」

「感情の反応が強く、共感力が高い」

「ささいな刺激を察知する」

 

この4つの面すべて存在することが、

「ひといちばい敏感な人(HSP)」であると、

アーロン博士は説明しています。

 

1つでもあてはまらない場合は、

「ひといちばい敏感な性質」とは言えず、

 

仮に、過敏であるとするならば、

他の理由が考えられるということです。

 

 

 

 

 

 

丸Facebookページ HSPnavi

丸ますとも Twitter