先日亡くなったSergio Mendesとは随分たくさんの思い出があります。
その中でも特に印象に残っているのは、1979年にカネボウ・レディ80というキャンペーンとタイアップした全県ツアーの前半20数公演をセルジオが務め(後半はThe Brothers Fourが務めた)、そのロードマネージャーを担当したこと。
1部はミス(ミセスも可)コンテスト、2部がセルジオのコンサート、間にキャンペーンガールだった浅野ゆう子の歌唱も挟んで最後にコンテストの発表というのを47都道府県すべてで行い、最後は東京武道館で全国大会という感じだったと思います。
本が一冊書けるくらい色々なことがあったけど、このツアーでセルジオとは約一ヶ月の間共に過ごし、毎日昼食に寿司屋で本マグロの中トロの握りを食べ、夜には金額を無視してありとあらゆる美味しいものを食べ尽くしました。
舌の確かさは、彼が世界的に有名なワイン通であることからもわかりますが、一つだけエピソードを話すと、
このツアーから20年ほど経った頃、Beverly Hillsの路上で彼にバッタリ会って、自宅に招待されたとき、ある質問をしました。
「あの頃は毎日中トロを食べてたけど、これまでに何百回と食べた中トロの中でどれが一番美味しかったか言えますか?」
その質問には私なりの意図がありました。
セルジオが鹿児島でちょっとしたことからとても不機嫌になり、なんとか機嫌を直してもらおうと郊外の高級料亭に連れて行った時に最初に出た刺身の中トロが異次元の美味しさだった記憶があって、もしやそれを覚えていないかと試してみたのです。
彼はすぐさま答えました。
「ああ、言えるよ。京都の呑太郎も美味しかったし大阪ローヤルホテルの寿司屋で食べたのも素晴らしかったけど、ずっと南の方(日本では西の意)の、山の中腹にある和風の平屋のレストランで食べた刺身の中トロが一番美味しかった!」
そうです、まさに私が思っていたやつです!
さて、このカネボウとのタイアップはレコード会社が深く関与して決まったキャンペーンでしたが、そのアルファレコードで陣頭指揮を取っていたのが川添象郎さんです。
川添さんは飯倉キャンティを作ったことでも知られるモダンでグローバルに活躍した川添浩史・川添梶子夫妻のご子息です。
この川添さんとも随分いろいろとあったけれど、何とセルジオの訃報を聞いた二日後に今度は川添さんの訃報が届きました。
そんなこともあるんですね。
お二人のご冥福をお祈りいたします。
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セルメンは私がまだ大学生だった頃から大好きでレコードもよく聞いていたし、来日時には必ず観に行きました。
たくさんの名盤を残しているけれど、個人的に一番すごいと思うアルバムはこれ。
1970年、大阪万博内の会場で行われたコンサートを収録したライブ盤です。
この頃のSergioのアルバムはどれもフルオーケストラをバックに弦や管やギターや電子ピアノがたくさん入った超豪華なアレンジだったのに、何と生ピアノ、ドラム、ベース、パーカッションにツインボーカルという超シンプルな編成でアルバムの雰囲気をそのまま再現してるんです!
オリジナルアルバムではこれが一番好きかな。
前述のようにバックはフルオーケストラ、アレンジはDave Grusin、ツインボーカルのように聞こえるけどほとんどのトラックはLani Hallのダブリングです。
で、セルジオは?
時々Rhodesのソロとか、バックグラウンド・ボーカルで入っているけど、具体的な音としてはとても存在感が薄い!
なのに全体を通して聴いてみるとやっぱりセルメン以外の何物でもないんですよね。
ちなみにEXPO ’70の公演は全部生で見たけど、相方のKaren Philippに比べると地味な顔立ちで背も低いLani Hallのキュートで力強いパフォーマンスが圧巻でした。
でも、前座の「ボサリオ」のボーカルだったGracinha Leporaceの可愛さはちょっと異次元で、歌がどうだったかなんて覚えてないほど見た目に魅了されたものです。
ちなみにそれから間もなくして彼女はセルジオと結婚したけれど、先妻のあったセルジオはカトリックが国教のブラジルでは離婚が難しく、なかなか苦労したそうです。
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