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大阪の阿倍野に、飛龍という焼肉屋があった。
30年近く前から、外国のアーティストをよく連れて行った店だ。




店構えこそ普通の町の焼肉屋だが、扱う肉は信じ難い程上等で、
そのかわり、値段もかなり高かった。




ポール・アンカは、賄いの特別辛い豚キムチを、1人でおかわりをして食べた。




キャロル・キングは、バンド、スタッフ一行15人で、25万円分も食べた。




壁にはピーター・ポール&マリー、ドゥービー・ブラザーズ、クリストファー・クロス
エリック・クラプトン、その他数十枚の、来店した外タレのサイン。



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この飛龍が、大阪の店を閉めて、東京の西麻布にやってきた。




焼肉屋の本当の善し悪しは、タレの善し悪しで決まる。
この店は、確かに肉も凄いが、タレがまた凄い。




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揉みダレは、甘さを控えた、しっかりした味。
つけダレは酢味噌風で、肉の脂っこさを上手く緩和してくれる。




キムチだって、そんじょそこらの物とはまるで違う。




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とろみがあって、乳酸菌そのものを食べているような美味しさ。



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でも、この店が間違いなく日本一といえるのは、冷麺だろう。
注文を受けてから、毎回このようにして麺を打つ。









鶏ベースの、上品で雑味がなく、でも非常に濃厚なスープも、




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あまりにも美味しくて、最後の一滴まで飲んでしまう程。




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どうです? この輝くような細打の麺!




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はっきり言って、高いです。




大阪時代とは違って、店構えからして高そうだが、
まあ、言ってみれば、内容に器が追いついたという事でしょう。




でも、お金を出せば誰でも買えるブランド牛に塩を振るだけの「高級店」とは、
根本的にレベルが違う、本物の「最高級店」です。


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